
10万人グローバル社員の「情熱 熱意 執念」
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2024年4月29日
売上高2兆円、社員10万人を超えるグローバル企業 Nidec。新社長へのインタビュー、国内外の生産・開発現場のリポートなどを通して、世界最大のモーターメーカーに迫る。【SPONSORED】 <ゲスト> 岸田光哉 Nidec 社長執行役員 / 最高経営責任者 竹本心路 Nidec上席主幹技師 入...
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Nidecが牽引する「京都シリコンバレー」AI時代を動かす次世代モーター戦略と第二創業の覚悟
デジタル技術の進化が世界を席巻する現代において、AIや半導体といったキーワードが頻繁に語られている。しかし、情報がどれだけ発達しても、実際にモノを動かす物理的な力は不可欠である。その核心を担うのが「モーター」であり、この分野で世界をリードするのがNidecである。同社は戦後日本において最も成長した製造業の一つとして、独自の経営哲学と技術力で時代を切り開いてきた。その原動力と、創業から50年を経て新たな局面を迎えるNidecの未来像を探る。
Q. AI時代の隠れた主役「モーター」の存在感とは一体何か?
早稲田大学ビジネススクール教授である入山章栄氏は、これからの新時代の三種の神器としてAI、半導体、そしてモーターを挙げている。AIや半導体がどんなに進歩しても、最終的に物理世界で何かを「動かす」にはモーターが不可欠であり、あらゆるIoTデバイスやEV、ロボットの心臓部として機能しているからだ。特にNidecは、日本電産という社名だった頃から戦後日本で最も成長した製造業として注目を集め、創業から約50年で売上高2兆円を超える規模に達しながらも、いまだベンチャー企業のような勢いを持つ稀有な存在だ。同社は世界の経済を動かす大きな影響力を持ち、その動向は日本経済の未来を映し出す鏡であるといえる。
Q. Nidecを世界企業へ押し上げた創業者の経営哲学とは?
創業者の永守重信氏は、「両利きの経営」を実践してきた経営者として知られる。強烈なカリスマ性を持ち、M&A戦略を73社も成功させ、赤字企業を次々と黒字に転換させてきた大胆さの一方で、買収先の現場で従業員と自費で弁当を共にするような繊細さも持ち合わせている。M&Aの成否は最終的には人間関係にかかるとの理解から、現場の心を掴むことでPMI(買収後統合プロセス)を成功させてきたのだ。
またNidecには、創業以来「情熱、熱意、執念」「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という三大精神が掲げられている。これは一見すると古臭い企業理念に見えるかもしれないが、実はベンチャー企業が成功するために不可欠なマインドセットそのものだ。永守氏は、社員に「夢を見せる」ことを自身の最も重要な役割だと考えており、「自家用ドローンが飛び交う2030年代には、Nidecのモーターが世界を動かし10兆円企業になっている」と具体的に未来を語り、壮大なビジョンで社員のモチベーションを鼓舞し続けてきた。大企業となった今もこのベンチャーマインドが失われていない点がNidecの成長の原動力である。
Q. カリスマ経営者のバトンを受け継ぐ「第二創業」への覚悟とは?
創業50年を経て、カリスマである永守氏からソニー出身の岸田光哉氏に社長が交代した。この「リジェネレーション(第二創業)」への移行は、Nidecの新たな成長フェーズを象徴している。永守氏自身はかつて、外部に理想の後継者を求めていたが、それは「錯覚」であり、社内にはNidecの文化と経営哲学を理解し、成長させていける人材が豊富にいることに気づいたと語る。
新社長の岸田氏は、永守氏から社長就任を打診された際、「こんな仕事を受けて自信がある人は嘘つきだ」と率直に答えたという。しかし、「自信はないが、知らないことを知らないと言える勇気と、周囲から教えてもらう素直な気持ちは持っている」と伝え、誠実な覚悟を示した。岸田氏は未経験の車載事業責任者としてドイツへ赴任するなど、Nidecの「未経験者にもどんどん挑戦させる」社風の中で実績を積み重ねてきた経験がある。創業者の精神を受け継ぎながらも、チームでグローバルな技術力と人材を束ねていくことで、新しいNidecの形を模索しているという。
Q. Nidecはなぜ「京都シリコンバレー」の要石となりえるのか?
Nidecの本拠地である京都は、ITの分野において「京都シリコンバレー」とも称されるほど重要な地域である。JR京都線沿線には、Nidec、オムロン、島津製作所、村田製作所といった世界的に評価の高いハードウェア企業が多数集積している。これらの企業が生み出す精密なハードウェア技術がなければ、GAFAMのようなシリコンバレーのソフトウェア企業もその存在価値を十全に発揮できない。つまり、京都はソフトウェアだけでは動かない世界のITインフラを根底から支える、極めて重要な役割を担っているのだ。Nidecはその中心に位置し、モーター技術でハードウェア領域を牽引することで、世界のデジタル社会に不可欠な存在となっている。
Q. 不可能を可能にするNidecの「軽薄短小」技術と開発スピードとは?
Nidecの技術力の真髄は、「軽薄短小」(軽く、薄く、短く、小さい)を極限まで追求することにある。同社のエンジニアは、わずか1%の効率向上や、1ミリメートル、1グラムの削減といった地道な努力を日々積み重ね、技術の進化を推進している。その驚異的な開発力は、あるエピソードに象徴されている。GAFAMレベルの米大手企業から「用途を明かさず、1週間で新型モーターを開発せよ」という超難題を突きつけられたNidecは、京都の開発拠点と新川崎テクノロジーセンターが連携し、これまで蓄積された膨大なデータとスーパーコンピューターを駆使することで、通常数カ月かかる開発をわずか1週間で成功させた。この圧倒的なスピードと組織的な協力体制が、世界中の競合他社を圧倒するNidecの強みとなっている。
Q. 世界的課題解決と事業成長を両立するNidecの未来戦略は?
世界の総電力消費量の約半分がモーターによるものだと言われている。この事実を踏まえ、Nidecのモーター効率をわずかでも高めることは、世界全体の省エネルギーに大きく貢献することにつながる。そのため、小型化と省エネの両立という相反する課題に対して、日々技術的な挑戦を続けている。例えば、ドローンのモーターでは、軽くて小さくないと機体が重くなり、省エネでなければバッテリーの持続時間が短くなる。このような矛盾を同時に解決する技術が、便利な世の中を実現するために不可欠であると考えている。
さらに、EV化が進む自動車産業をはじめ、今日の産業界では部品単体ではなく、制御回路やソフトウェアを統合した「モジュール」として製品を提供する傾向が強まっている。Nidecはこのような市場の変化に対応し、モーターを単なる部品としてではなく、例えば「パワーステアリングのパワーパック」といった複合システムとして提供する戦略をとっている。部品メーカーでありながら、システム提案を通じてサプライチェーンにおける主導権を握ることで、さらなる付加価値創造と持続的な成長を目指しているのだ。
