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海外派遣プログラムの全貌
(2)
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2023年6月26日

Video Podcast番組「PIVOT SESSION」。経済産業省 新規事業創造推進室長 石井芳明氏、デロイトトーマツベンチャーサポート社長 斎藤祐馬氏と「海外派遣プログラム J-StarX」について話しました。 【Sponsored】 <ゲスト> 石井芳明/経済産業省 新規事業創造推進室...
政府が本腰!日本経済の未来を拓くスタートアップ育成戦略「J-Startup X」
2022年を「スタートアップ創出元年」とし、日本政府は過去に例を見ない規模でのスタートアップ支援に乗り出した。
「新しい資本主義」の実現に向けたその中心には、新たな価値創造と社会課題解決を担うスタートアップの存在がある。
特に注目されるのは、1兆円規模の予算を投じ、グローバルに活躍する起業家「海外組」を育成する「J-Startup X」プログラムである。
本記事では、この国家戦略がなぜ、そしてどのように日本の未来を大きく変えようとしているのかを紐解く。
Q. 政府がスタートアップに力を入れる理由は何だろうか?
政府が現在推進する「新しい資本主義」の柱の一つにスタートアップの育成が掲げられている。新しい資本主義とは、経済の活性化と社会課題の解決を同時に目指すものである。
これらを実現するには、既存の枠組みに囚われず、新しい分野や技術、ビジネスモデルを機動的に活用し、社会課題を解決できる新しいプレイヤーが不可欠となる。
政府はそのプレイヤーこそがスタートアップだと明確に位置付けており、その重要性は大幅に高まった。今後、スタートアップは日本経済において極めて重要な役割を担う存在であると見なしている。
Q. 「スタートアップ育成5か年計画」では、どのような支援を目指しているのか?
「スタートアップ育成5か年計画」は、従来の単年度予算主義と異なり、5年後の世界という明確な目標を設定し、継続的かつ集中的に支援する画期的な取り組みである。
計画は主に三つの柱から成り立っている。一つは「人材」であり、人材育成やネットワーク構築を通じてスタートアップを牽引する人物を増やすことを目指す。二つ目は「資金」で、創業初期から成長期まで、官民ファンドを含む多様な手段で資金を供給する。
三つ目は「オープンイノベーション」で、大企業や大学とも連携し、スタートアップを応援するエコシステム全体を強化する方針である。
予算規模も異例の1兆円規模を確保し、5年後に現在の投資金額の10倍、ユニコーン企業100社、スタートアップ10万社創出という高い目標を掲げている。これは従来の数100億円規模とは桁が二つ違う、まさに革命的な変化といえよう。
Q. 現在の日本のスタートアップエコシステムの課題は何だろうか?
過去10年間で日本のスタートアップに対する資金調達額は10倍に増加し、東大や京大の学生がスタートアップを就職先として意識するなど、エコシステムの土台は確実に成長している。
しかし、課題も依然として残る。例えば、ユニコーン企業数では米国が700社以上、中国が240社以上に対し、日本は11社と国際的に見ても見劣りしているという指摘がある。ただし、マザーズ市場への早期上場企業を含めれば、実質40社程度で世界6位前後に位置するとの見方もある。
重要な点は、時価総額数兆円規模の企業、すなわちグローバルで本当に「勝てる」企業が生まれていないという現実である。
国内マーケットでの成長に満足せず、創業時から世界を目指す高い視点と、その後の急成長期に巨額の資金を調達できる環境の構築が日本の急務であると言える。
Q. 諸外国の成功事例から日本は何を学ぶべきだろうか?
スタートアップ支援は、既に各国がしのぎを削る国家競争の様相を呈している。例えばフランスでは、マクロン大統領が陣頭指揮を執り、2017年からわずか6年間でユニコーン企業数を1社から25社に激増させた。
これは政府トップが強くコミットすることが、スタートアップの成長に直結するという明確な証拠である。
また、起業家教育の面ではフィンランドが注目される。同国は小中高一貫で起業家教育を実践し、結果として起業意欲を持つ若者の割合が日本の8%程度に対し、4割に達しているという。これは「かっこいい大人」、すなわち起業家自身が教育現場に赴き、子供たちに挑戦することの意義を伝えることで、将来のキャリア選択肢を広げている成果である。
日本も文部科学省と連携し、小学校からの起業家教育を検討しており、フィンランドのような挑戦的な文化を醸成していくことが、日本経済を抜本的に変える鍵となると期待されている。
Q. 「J-Startup X」プログラムは、具体的に何を目指しているのか?
「J-Startup X」は、「令和の国費留学」とも呼ばれ、5年間で1000人の起業家を海外へ派遣するという大規模なプログラムである。
これは、明治維新時の国費留学にヒントを得たもので、新しい経験と知識を海外で習得し、日本に戻ってイノベーションを推進する「海外組」を育成することを目指す。サッカーや野球の日本代表が海外組の刺激を受けて強くなったように、スタートアップ界においてもこの海外組が全体のレベルアップの起爆剤となると期待されている。
派遣先もシリコンバレーに限定せず、多岐にわたる。
ディープテックに強いボストン、Fintechのニューヨークといった米国東海岸、さらにアジア諸国、フィンランドなどの北欧地域も含まれる。特にフィンランドへは学生を派遣し、同国特有の起業カルチャーを肌で感じさせ、世界最大級の学生起業家イベント「Slush」での人脈構築を促す。
このプログラムの最大のメリットは、政府の「お墨付き」を得られる点にある。
西村大臣が海外視察に日本のスタートアップを同行し、現地の政府関係者や企業に直接売り込む「トップセールス」を行うことで、一企業では決して開けないような強固な繋がりとビジネスチャンスが生まれている。これにより、参加企業は圧倒的なレバレッジ効果を得て、グローバル市場への進出を加速させることが可能となる。
Q. 「J-Startup X」で「海外組」が育成されると、どのような未来が拓けるのだろうか?
「J-Startup X」から多くの「海外組」が輩出されることで、未来の日本ではダイナミックな変革が起こると予想される。
具体的には、今後5~10年で、既存の大企業ばかりだった日本の時価総額トップ10を、新しいスタートアップが塗り替えるような未来像が描かれている。アメリカや中国のように、常に新しい企業が台頭し、産業構造の新陳代謝が活性化する国となるだろう。
プログラムのキーワードは「Thinker to Doer(考える人から行動する人へ)」である。評論家ではなく、自らリスクを冒して行動し、社会に変革をもたらすイノベーターが増加することで、日本全体のイノベーションが加速すると見込んでいる。
「J-STAR」の名称が示すように、一人ひとりの起業家が星(スター)のように輝き、それが集まることで新たな星座を形成し、日本全体を明るく照らすという希望が込められている。
Q. どのような人が「J-Startup X」に応募できるだろうか?
「J-Startup X」は、幅広い層からの応募を期待している。
フィンランドへの派遣が学生を主な対象としているように、将来起業を目指す意欲的な学生。あるいは、既に起業はしているものの、世界進出への一歩を踏み出せていない起業家。
さらに、大企業で新規事業の立ち上げを検討している担当者や、大学の研究者も対象に含まれる。
挑戦したいという強い意志さえあれば、様々なバックグラウンドを持つ個人がこのプログラムを通じて、通常のビジネスでは接することのできないレベルの人脈や経験を得られる機会となるだろう。
応募の詳細は、2023年6月26日に公開された「J-Startup X」の公式サイトで確認できる。国内トレーニングを経て海外派遣へと進む選考フローが用意されている。