SNS SKILL SET
高橋弘樹×国山ハセン 緊急対談(後編)「辞めテレ東 高橋弘樹の逆襲」
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2023年3月8日

「撮られる経験はこれまで沢山してきたが、撮る経験を培っていきたい」。アナウンサーからPIVOTし、映像プロデューサーとしてのキャリアを踏み出した国山ハセンがSNS運用にまつわるスキルセットをインフルエンサーから対話形式で学ぶリスキリングドキュメンタリー。
「転職しながら独立する」キャリア新時代: 高橋弘樹氏が語る変革期を生き抜く戦略
テレビ東京の人気プロデューサーとして活躍し、現在は起業家としても注目を集める高橋弘樹氏。彼は自身のキャリアを再構築し、「転職しながら独立する」という新しい働き方を提唱している。動画コンテンツを軸に、既存の枠にとらわれないキャリア形成やYouTubeでの成功戦略、そして起業のリアルについて、彼の独自の視点を掘り下げる。
本稿では、激変する時代において個人の価値を最大化し、挑戦を続けるための具体的な思考法を、Q&A形式で詳しく解説する。
Q. 高橋氏が実践する「転職しながら独立する」とはどのような働き方なのか?
高橋氏はテレビ東京を退社後、映像コンテンツ系の企業へ「転職」しながら自身の会社も経営するハイブリッドな働き方を実践している。具体的には、大企業に会社員として所属し、その豊富なリソースや安定性を享受しながら、並行して自身の起業活動も展開するという形態だ。
これは完全な独立ではない。副業を許可している会社員として、大企業のバックアップを受けつつ、個人の自由なクリエイティブ活動も推進する。動画ではAbema(サイバーエージェント)の存在を示唆しており、この「優しい会社」からは常務のポストも提示され、キャリアアップの機会も与えられていると語る。高橋氏は「自身の強みを複数のフィールドで発揮することで、相乗効果を生み出し、個人の価値を最大化する」働き方を標榜している。
Q. 大企業のリソース活用と個人の自由な活動の両立で生まれるメリットは何があるか?
「転職しながら独立する」最大のメリットは、大企業の安定したリソースと、起業家としての自由な活動を同時に享受できる点にある。高橋氏の場合、新しい勤務先では潤沢な予算を背景にバラエティ番組制作に携われるという。一方、自身の会社ではYouTube運営や執筆活動といった「本当にやりたいこと」を追求する。これらは全て、従来の働き方では得られない相乗効果を生む。
大企業というプラットフォームを通じて社会的影響力を拡大し、個人のブランド力を高めることで、自身の会社における活動の可能性も広がる。このモデルは、個人の多様な能力や熱意を最大限に引き出し、新たな価値創出へと繋げる可能性を秘めている。
Q. 自身の新しいキャリア戦略を「リハックピボット」と表現することに込めた意味は何か?
高橋氏が新しいキャリア戦略として提唱する「リハックピボット」は、既存の価値観を壊し(Hack)、新たな方向へ転換(Pivot)し、疑問を持ち続ける(Question)という三つの概念を統合したものだ。「Hack」はライフハックのように「うまいことやる」というポジティブな意味だけでなく、「壊す」や「再構築する」という挑戦的な意味も持つ。また、「Pivot」は事業の方向転換を意味し、変化に対応して柔軟にキャリアを変えていく姿勢を示す。そして「Q」には疑問(Question)を常に持ち、学び続ける姿勢が込められている。KをQに置き換えることで、そうしたキャリアに対する疑問を提示するという。
この言葉は、現代の流動的な社会でキャリアを築く上での羅針盤となり、「転職」と「独立」の概念を再定義することで、キャリアに対する既存の考え方そのものに揺さぶりをかける。自身の強みを活かし、市場価値を高めるための具体的な戦略を象徴する言葉と言えるだろう。
Q. サラリーマンとして企業内で「偉くならないといけない」という思いはなぜあったのか?
高橋氏はテレビ東京退社を振り返り、「負け」と表現する場面がある。彼にはテレビ東京の常務になり、組織のあり方を変えることで、より良いコンテンツを生み出すという目標があったためだ。組織内での出世が、自身のクリエイティブな理想を実現するための重要な手段だと考えていた。しかし、その目標は一旦「降りた」形となる。それでも、社内での駆け引きや決済プロセスといった「サラリーマンゲーム」の面白さを理解し、そこでの成功を通じて自身の理想を実現することへの情熱は変わらないという。
「偉くならないといけない」という彼の発言は、単なる地位欲ではなく、自身のビジョンを実現し、影響力を行使するために不可欠なプロセスであると捉えていたことを示唆する。この思いが、現在の新しいキャリアモデルを追求する原動力の一つとなっている。
Q. 自身の新会社設立に際し直面した現実や、著名なプロデューサーの独立との違いは何だったのか?
自身の新会社設立において、高橋氏はシビアな現実を突きつけられた。人を雇用した場合の年収計算に1.5倍から2倍の人件費を見込んでいなかったため、初年度から数千万円規模の赤字に直面したのだ。これは、会社を経営することの厳しさと、それまで個人で活動していた状態とは全く異なるリスクがあることを浮き彫りにした。高橋氏自身も「社員を失業させるわけにいかない」と語り、雇用主としての責任感を強く意識している。
これは、佐久間宣行氏のように30代でマンションローンを完済し、妻もテレビ東京勤務で生活の心配が全くないという盤石な経済基盤の上で独立したケースとは対照的である。高橋氏の経験は、経済的な基盤を確立しないままの起業が伴う現実的なリスクを示しており、一般的な「独立」がいかに覚悟を要するものかを示す実例と言えるだろう。
Q. YouTubeというレッドオーシャンで継続的に「勝ち続ける」ためのプロデューサー戦略とは?
YouTubeという飽和状態のレッドオーシャンで勝ち続けるためには、ただ単にコンテンツを投稿するだけでなく、極めて戦略的なアプローチが必要だと高橋氏は語る。彼の提言は、「生産効率の最大化」にある。KPIを達成するためには週に何本、年間で何本のコンテンツを出す必要があるかを見極め、それを実行する効率的な体制を築くことが不可欠だ。例えば、初期の「リハック」チャンネルでは自身が編集も担当していたが、それでは物理的に「死ぬ」と判断し、最適な方法として「収録中に編集も終わらせる」ことを提案した。つまり、MC自身が議論を整理し、テーマの進行をリードすることで、視聴者のストレスをなくし、企画を盛り上げて、後編集を最小限にするのである。
プロデューサーは単にコンテンツを作るだけでなく、システムとしての全体像を設計し、持続可能な運用モデルを構築する能力が求められる。これは登録者数といった短期的な成果だけでなく、長期にわたり「インパクトのある企画を生み出し続ける」ために必要な思考であると言えよう。
Q. 新しいコンテンツやジャンルを創造するためのクリエイティブな発想はどこから生まれるのか?
新しいジャンルを創造する上での高橋氏の発想の源は、「これまで否定されてきたものに価値を見出す」という逆転の発想にある。彼は親鸞の「悪人正機説」(悪人こそ救われる)を例に挙げ、従来の常識やヒエラルキーを覆す視点が重要であると説明する。これは、クリエイティブにおいて「マイナス」とされていた要素に光を当て、「プラス」に転換することで、唯一無二の作品が生まれるという思想だ。
さらに、YouTubeの一般的な「アバン(冒頭のハイライト)は本編を見てもらうため」という考え方自体を疑うべきだと提言する。YouTubeにおいて常識とされているフォーマットや定石を盲信せず、一つ一つの要素が本当に目的と合致しているかを問い直す。既存の常識を疑い、その本質を問い続けることが、差別化され、共感を呼ぶコンテンツ創造に繋がると彼は示している。