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成功するプライシングの秘訣
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2023年2月9日

Video Podcast番組「PIVOT SESSION」。Pricing Studioの高橋社長に「成功するプライシングの秘訣」について聞いた。[sponsored] <ゲスト> プライシングスタジオ株式会社(https://bit.ly/3JXABEU ) 代表取締役CEO 高橋嘉尋 <目...
トヨタの時価総額4.5兆円アップも夢じゃない?日本企業が軽視してきた「価格戦略」の最前線
トヨタが製品価格を2%上げるだけで、時価総額が4.5兆円も上昇する──。これは驚くべき試算だが、プライシング(価格設定)がいかに企業の利益と成長に直結するかを示す好例だ。多くの日本企業は長らく価格競争の波にのまれ、科学的なプライシング戦略の導入が遅れている。しかし、原材料高騰や円安といった外部環境の激変は、日本企業にプライシング戦略の重要性を突き付けている。
価格戦略は決して一時的な値上げを指すわけではない。事業目標、市場状況、顧客価値、競合動向、社内体制までを見通した多角的なアプローチが不可欠となる。本記事では、プライシングスタジオ代表取締役社長の髙橋義弘氏が語る価格戦略の奥深さと、日本企業が今取り組むべき真のプライシングのあり方について探る。
Q. なぜプライシングは企業の利益や成長に不可欠なのか?
プライシングは企業の利益や時価総額に極めて大きなインパクトを与える要素である。数%の価格調整が、数百億円から数千億円の利益増、あるいは数兆円規模の企業価値向上につながる可能性を秘めている。販売数量の増加やコスト削減と異なり、価格は未開拓な領域が多く、改善余地が極めて大きい。しかし、世界の有名企業ですら半数以上が根拠のあるプライシング戦略を持たず、特に日本においては感覚的な価格決定が多いのが現状である。
Q. なぜ日本企業はプライシング戦略が遅れているのか?
日本企業は過去20〜30年にわたり価格競争を続けてきたため、価格を「下げる」ノウハウはあっても「上げる」ノウハウの蓄積が極めて乏しい。かつては国内企業の86%が「過度な価格競争」を自覚していた。このデフレ的な状況により、経営者の多くはプライシングを経営戦略の核心として捉えてこなかった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大による販売数量の制約、近年の原材料価格の高騰や円安が、否応なしに価格戦略の重要性を浮上させた。このような環境変化の中で、価格決定が「勘」頼みになっている企業が圧倒的多数を占めているのが現実だ。
Q. 良いプライシングと悪いプライシングを分ける決定的な要素は何ですか?
成功するプライシングは、企業の事業戦略と価格戦略の方向性が一致しているかどうかで決まる。例えば、市場シェア獲得を優先するフェーズでの安易な値上げは失敗となる可能性が高いが、利益最大化のフェーズであれば成功しうる。最も重要なのは、事業目標(売上目標、利益改善目標など)を明確にし、それを達成するためのプライシング戦略を逆算して設計する「目的設計」である。価格決定にはコスト、競合、そして最も軽視されがちな「提供価値」の定量化が不可欠である。感覚に頼らず、客観的なデータに基づき、企業のフェーズや目標に応じた適切な戦略を構築すべきだ。
Q. 成功するプライシング戦略を実行するための具体的なコツや事例はあるのか?
リーダーシップのコミットメントと全社的なデータ収集体制: 利益に直結する価格決定には、経営トップがコミットし、各部門から必要な情報(事業戦略、顧客データ、競合情報など)を吸い上げる体制が不可欠である。
社内と顧客の「納得感」醸成: 従業員(特に営業)と顧客の双方に価格改定の理由と目的を丁寧に説明し、理解を得ることが重要だ。社内に対してはデータで根拠を示し、顧客に対しては値上げを「より良いサービスへの投資」という前向きな文脈で伝えるコミュニケーションが求められる。
隠れた付加価値の発見: SaaSのMRRを顧客離脱なく3.5倍にした事例では、高価格を許容する顧客が利用する機能を特定し、プランを分割して一部のみを値上げすることで収益を大幅に改善した。また、家から近いジムのように、一見小さな「付加価値」も、顧客の選択理由として数円〜数十円の値上げを正当化する根拠となりうる。顧客がなぜ自社サービスを選ぶのか、その本質的な理由を突き詰めるべきだ。
Q. プライシング能力を組織に定着させるためにはどうすればよいのか?
プライシングは市場環境や経営戦略の変化に伴い、継続的に見直す必要がある。そのため、常に外部コンサルタントに頼るのではなく、社内でプライシング能力を育成し、自走できる組織を築くことが肝要だ。プライシングの専門組織は、社長直下、マーケティング部署内など企業の規模や戦略に応じて最適な配置を検討する。求められる能力は、基礎知識、経営戦略と紐づける思考力、調査・分析を行う実務スキルと多岐にわたるため、役割に応じた人材育成プログラムやツール提供も有効である。
Q. 「一物多価」のような価格戦略は日本でも有効な選択肢になるか?
日本でも一物多価戦略は有効である。マクドナルドが地域によって価格を変えた事例があるように、消費者の支払い意欲は居住地、利用方法、サービスの目的といった様々な要因で変化する。全国一律の価格である必要はなく、顧客が「この金額なら払う」という条件を見極め、セグメントごとに最適な価格を設定することが可能だ。これは「価格戦略の科学」の核心の一つであり、データ分析を通じて支払い欲求を左右するトリガーを発見し、きめ細かな価格設定を行うべきである。
Q. なぜ今、日本企業はプライシングに真剣に取り組むべきなのか?
利益を構成する要素のうち、販売数量(マーケティング、セールス)やコスト削減は多くの企業で既に取り組みが進み、アップサイドが限定的になりつつある。しかし、「価格」は依然として手つかずの領域であり、最も大きな利益改善ポテンシャルを秘めている。特に今は世の中が値上げを受け入れやすい環境にあり、戦略的なプライシングに取り組む絶好の機会だ。現在の取り組みが企業の10年後、20年後の業績を左右する可能性がある。感覚ではなく科学に基づき、プライシングを経営の最重要課題として捉え、積極的にリソースを投入することが、日本企業全体の競争力向上につながるだろう。