日本再興ラストチャンス
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2023年2月15日

【collaborated with 経済同友会】 日本再興ラストチャンス。日本が失われた30年を経て、これからどのように経済を再興するべきなのか。経営者と有識者と対談を通じて、日本再興に向けた具体的なアクションプランを発信していく。 【Sponsored】
日本が再び経済成長の牽引役となるために、スタートアップの創出と育成は不可欠である。
しかし、現状は「エリートの内輪話」に留まり、グローバルな視点や社会全体での挑戦を後押しする文化が不足しているとの指摘がある。
本記事では、この課題を克服し、起業を身近な選択肢とするための具体的な提言を深掘りする。過剰な個人保証の撤廃、挑戦が評価される文化の醸成、東大の成功事例に見る教育の重要性、そして起業を「日常」とするための啓蒙活動まで、日本をスタートアップ大国へと導くための処方箋を読み解く。
日本のスタートアップ業界は現状、閉鎖的な「村社会」の様相を呈している。
この内向きな特性を脱却し、世界基準で戦うためには「開国」が不可欠である。海外の起業家やベンチャーキャピタルを積極的に誘致し、コミュニティに取り込むことで、ガラパゴス化の危機感を持ち、グローバルな視点と競争意識を醸成する必要がある。
グローバル視点を持つことは、事業戦略上も極めて重要だ。
自身の事業がローカルな課題解決を目的とする場合でも、海外の先進事例から学び、世界基準を知った上で国内市場を選択することが、単に日本に留まるのとは大きく意味が異なる。広い視野を持つことで、ローカルビジネスにおいても新たな展開や海外への技術転用などが見出せるだろう。
起業への挑戦を阻む大きな障壁の一つに、経営者に過度な負担を強いる「個人保証」がある。
現状、企業の債務が個人の破産に直結するリスクを伴うため、起業の意欲を削いでいる。これは金融機関が事業性評価をせず、個人の信用に依存した安易な融資を助長する構造的な問題だ。個人保証の禁止は、より健全な事業評価を促し、起業家の再チャレンジを可能にする上で極めて重要である。
日本は「失敗を許容する社会」よりも、むしろ「挑戦が評価される社会」を目指すべきである。
挑戦そのものを人材としての市場価値向上に繋がる経験と捉える視点が求められる。スタートアップで経験を積んだ人材が、たとえ事業に成功しなくても、その挑戦が評価され大企業の幹部や別職種で再び活躍できるキャリアパスが必要だ。
DeNAの「出戻り文化」は、挑戦を後押しする好事例である。
起業に失敗しても元の会社に戻れるというセーフティネットは、社員が安心して新しい道に進む心理的な安全保障を提供する。人材排出企業として、こうした文化を持つ会社が増えることは、社会全体の挑戦の裾野を広げる役割を果たすだろう。
日本をスタートアップ大国にするためには、起業家教育、大学発ベンチャー数、リスクマネーの供給額、オープンイノベーションといったエコシステムに関わる全ての要素を「10倍」にするという大胆な目標設定が不可欠である。
例えば、現状1%の高校生に対する起業家教育の普及率を数年で100%にするような意識改革と実行が求められる。
東大が国内最多の大学発ベンチャーを生み出している背景には、25年をかけて築かれた成熟したエコシステムがある。
入学時からの全学生に対する起業家教育、実践的な「ベンチャー道場」、ファンドによる資金提供、インキュベーションオフィスといった一貫した支援体制が存在する。学生にとって、起業が身近で「当たり前」の選択肢となっている環境だ。
このエコシステムを全国に広げる上での最も重要な鍵は、資金だけでなく「しつこく努力を続ける担い手」の存在である。
東大の変革も、わずか数名の熱意ある人物が20年以上にわたり尽力した結果である。こうしたエバンジェリストを全国の大学や地域に配置し、口先だけでなく手を動かし制度を作り上げていく地道な努力が、変革の成否を分ける。
現在、スタートアップや起業家は一部のエリート層の「内輪話」と化しており、多くの人々にとっては縁遠い存在である。
このギャップを埋めるためには、起業家がもっとメディアに登場し、あるいは「いかがわしい」と揶揄されるようなキャラクターであっても世間の目に触れる機会を増やすべきである。堀江氏や前澤氏の時代に見られた「プチ芸能人化」も、一般の認知度向上に寄与した経緯がある。
起業を究極的にはスタンフォード大学のように「日常」にする必要がある。
それは「とりあえずビール」を注文するように「とりあえず起業」が自然な選択肢となる状態である。学生がキャンパスの至る所で、成功した起業家だけでなく、様々な背景を持つ先輩や仲間と日常的に触れ合い、彼らの挑戦を目にする環境の醸成が不可欠だ。
この「日常感」を生み出すための最も効果的な手段の一つは、既に起業している全ての人が自分の母校(高校や大学)に一度足を運び、後輩たちに自身の経験を語りかけることである。
成功しているかどうかは関係ない。身近なロールモデルとの直接的な出会いが、若者の意識を変え、彼らの将来の選択肢の中に「起業」という道を自然と組み込む力となる。
日本の教育システムが持つ「一律に導入できる」という強みを活かすべきだ。
中学校のダンス必修化によって若者のダンスレベルが劇的に向上したように、大学の教養課程や高専において「起業家教育の必修化」は、起業家人口の裾野を一気に拡大させる可能性を秘めている。否応なく起業に触れる機会を作ることで、そこから興味を持つ人材が間違いなく増加する。
国民全体の意識改革も不可欠である。
現在政府が進めるスタートアップ育成5か年計画は、日本社会に大きな変革をもたらす革命運動とも言える。この計画を単なる「他人事」とせず、多くの人が「野次馬」としてでも関心を持ち、その動向を注視することが、改革を進める人々を様々な障害から守り、計画を成功に導く力となる。
この取り組みが実を結べば、2027年には「意外と日本も良くなった」と感じられるような変化が訪れるだろう。
若い世代が「面白いこと」「楽しいこと」が日本でも実現できるという感覚を持つことができれば、それが新たな挑戦者を生む最大の起爆剤となる。東大が25年かけて実現した「とりあえず起業」の日常を、今こそ日本全体で作り上げる時である。