PIVOT TALK BUSINESS
前編:歴史上 人を馬鹿にする奴はろくな奴じゃない
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2022年10月18日

マネー、キャリアなど、各業界の最前線で活躍するトップランナーにスキルセットとマインドセットを学ぶトーク番組 <ゲスト> 深井龍之介|COTEN CEO 島根県出雲市出身。九州大学文学部社会学研究室を卒業後、大手半導体メーカーに入社。その後株式会社リーボに取締役として参加。事業計画立案、資金調達、採...
「人をバカにする奴は何も生み出さない」—ひろゆきとガーシーの時代から中庸思想へ
時代の振り子はどこに向かうのか
Q. 深井さんのやっている事業とメディア露出について、どう考えていますか?
深井龍之介は、世界一のデータベースを作ることによって経営者のメタ認知を引き起こすきっかけを提供している。三浦崇宏は、この活動がアンテナの高い人には認知されているものの、全国の経営者、特に地方や大企業の方々にはまだ十分に届いていないと指摘する。
三浦は、社会を変えるアプローチには「トップダウン」と「ボトムアップ」の二つがあると説明する。深井の事業は経営者の意識を変える「トップダウン」だが、社会の空気を変えていくには「ボトムアップ」も必要で、それにはメディアへの露出が重要だと主張する。
一方、深井は「メディア露出は会社にとって意味があるかどうかの軸だけで決めている」と語り、「個人が有名になりたいかどうかだけ」の段階には興味がないという姿勢を示している。
ひろゆきとガーシー —現代の「言論人」とは
Q. ひろゆきさんについてはどう評価していますか?
深井は率直に「あまり好きじゃない」と答え、「社会にとっていいと思っていないから」と理由を述べる。さらに「哲学や歴史を勉強していると、人をバカにしている人はろくな人ではない」と厳しい見解を示した。
三浦も同様の見解を持ち、ひろゆきの言動や存在に対して良い印象は持っていないと語る。三浦は「コメンテーターというものがめちゃめちゃバカにされている」現状を指摘し、かつてのコメンテーターには「専門家」「共感者」「ピエロ」という3つの役割があったが、現在は「ピエロ」だけになってしまったと分析する。
その理由としてSNSの普及を挙げ、「自分で発信できるようになって、テレビに出ている人と自分は何が違うのだろうと思うようになった」と説明。ひろゆきは「コメンテーターのポジションにいながら他のコメンテーターを全員バカにしている」ことで、視聴者の共感を得る戦略を取っていると分析した。
「壊す」ことを掲げる時代
Q. ガーシーさんと成田さんについてはどうですか?
深井は成田さんについては「特に何の感情もない」と述べる一方、ガーシーについては「やばい」と評価。「反社会的な人が国会議員になる」という現象は前例のないものだと指摘する。
三浦も、過去の猪木やほうまつ候補と違い、ガーシーは「建前さえ立てない」点で異質だと同意。ガーシーの「全部ぶっ壊せ」という主張と、成田さんの「老人は死ね」という主張(三浦による極端な要約)は、社会の価値観の変化を示していると分析する。
三浦はここに時代の流れを見出し、「頑張れ、熱狂しろ」から「熱狂しても無駄だよ」を経て「全部ぶっ壊れちゃえ」という方向に進んできたと整理した。
歴史は繰り返す—「転生願望」の時代
Q. この現象は歴史的に見るとどう解釈できますか?
深井は現代の状況を鎌倉時代に例え、「転生者もの」の流行と結びつける。「1回死んで生まれ変わらないと状況が変わらない」という考え方が、鎌倉時代の武士が争い続ける中で鎌倉仏教が広まった状況と類似していると指摘する。
「もうどうにもならないと思って、真っ向勝負なんだな」と深井は現代社会の空気を読み解く。
次に来るのは「中道主義2.0」?
Q. この流れの先に来るものは何だと考えますか?
三浦は時代の流れを「振り子」に例え、「頑張ろう」から「頑張っても無駄」、「全部ぶっ壊れちまえ」と来たら、次は「いいこともあるし、悪いこともあるけど、どれも無価値だから自分の好きなことをやればいい」という「中道主義2.0」のような価値観が来るのではないかと予測する。
そして、この新しい価値観を最も体現しているのが深井ではないかと三浦は指摘。同様の思想を持つ人物として、Twitter小説家のあざぶ競馬場と短歌家の木下達也の名前も挙げている。
深井はこの分析に対し、歴史的な例として中世キリスト教会の時代を挙げる。「カトリック教会が特権を持っていた時代から、個人と神のつながりを重視する時代へ、さらにカルヴァンの『頑張っても意味はない』という思想へ」という流れと現代の状況が似ていると指摘し、「令和はカルヴァン時代」かもしれないという見方を示した。
転換期の処世術
Q. この時代をどう生きるべきでしょうか?
三浦は「深井さんはこのまま行くと売れちゃう」と予測するが、深井は「めちゃくちゃちゃんと嫌われる」「有名になりたくない」と応じる。
深井は「これから降りるのは相当難しい」と語り、以前は「調子に乗ってダメになる人は愚か」と思っていたが、実際の立場になって難しさを実感していることを告白する。
これに対し三浦は、知人のミノアが「文春に叩かれて表に出にくくなって、すごく安心した、落ち着いた」と言っていたエピソードを紹介した。
時代の振り子が次に向かう先を見据えながら、自分の立ち位置を冷静に判断することの重要性が浮かび上がる対話だった。