
日銀利上げで株価暴落か/連休明けが危ない/令和のブラックマンデー再現も
日銀利上げで株価暴落か/連休明けが危ない
激動のマーケットで個人投資家はどのように立ち振る舞えば良いのか。今回は、著名投資家テスタ氏が1年ぶりに登場し、大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏と共に、現在の株式市場の深層を多角的に分析する。
日米の金融政策、地政学リスク、そして産業構造の変化といった複雑な要因が絡み合う相場環境において、両氏が示す指針は、投資家が混乱の時代を生き抜くための羅針盤となるだろう。

Q. 現在の相場概況と、今後の日経平均の見通しはどう描けるか?
8月末から9月初めにかけて、中東情勢の緊迫化による原油高や日米の利上げ観測が市場の重荷となった。日経平均は一時大きく下落し、AI半導体関連株への売りも重なり不安定な値動きが続いている。
しかし、木野内氏は歴史的な季節性を重視し、「投資の日」である10月4日前後に相場が底入れする可能性を指摘する。過去のデータからも10月は良い買い場となるケースが多く、騰落レシオの低下やSQ(特別清算指数)週の需給改善も重なり、この時期を転換点として市場が持ち直すとの見方が強い。
短期的な調整で日経平均が6万円台を割り込む局面も視野に入るが、来年には9万円という水準も理論上は射程圏内にあるという。ただし、テスタ氏はより控えめに「7万円程度」と見ている。個人投資家の体感としては、日経平均の上昇よりも中小型グロース株の動きが重要であり、指数全体の数字だけでなく、自身のポートフォリオとの連動性を注視すべきだ。
Q. 米国経済における利上げの行方と、AI時代における投資戦略とは?

米国では年内複数回の利上げが市場に過度に織り込まれているが、FRBの利上げが実際に実施されれば、不透明感が解消される「あく抜け」の契機となるだろう。特に家賃CPI(消費者物価指数)の鈍化が確認されれば、追加利上げの可能性は後退するとみられる。
このような状況でテスタ氏は、誰でも計算可能なファンダメンタルズ指標で優位性を確保することは、AIが分析を効率化する現代においては困難であると指摘する。ニュースに接した際、過去の自身の経験則データベースから具体的な好影響銘柄が自然と閃かない案件は、無理に資金を投じない規律が求められるという。自分の「データベース」に引っかからない領域には手を出さない、というテスタ氏の投資哲学は、AI時代における投資家にとって示唆に富むだろう。
Q. 原油価格の動向が示すものと、中東情勢や米中間選挙が相場に与える影響は何か?
足元の原油価格の急騰は、サウジアラビアのタンカー攻撃などの武力行使を伴っており、一見すると地政学リスクの高まりに見える。しかし木野内氏は、これは米中間選挙を控えた米政権から有利な条件を引き出すための、短期的な政治的揺さぶりであると分析する。中銀ウィークの一時的な撹乱要因に留まり、長期化するリスクは低いという。
また、米国の投資信託は10月末の期末に向けて実現益を圧縮するための「損出し売り」を集中させる傾向にある。この需給悪化が一巡した10月以降は、大統領サイクルにおける3年目の景気刺激策も手伝い、年末年始にかけて力強い上昇局面に転換する可能性が高い。
Q. 日本銀行の金融政策、特にQTと利上げは、日本経済にどのような影を落とすか?

日本の長期金利上昇の主要因は、財政不安ではなく、日銀による年数十兆円規模の量的引き締め(QT)にある。この急速なQTや利上げは、名目GDP成長率を上回る金利上昇を招き、企業の設備投資意欲や求人を削ぎ、景気を「オーバーキル」(過剰冷却)させる深刻なリスクを孕んでいる。既に設備投資は2四半期連続で前四半期比マイナス、求人数も減少傾向にある点は看過できない。
サービス物価など基調的なインフレ率が目標の2%に届いていない段階での拙速な利上げは、デフレマインドへの逆戻りを招く危険性がある。過去、利上げ過剰で景気悪化とゼロ金利復帰を余儀なくされたスイスの教訓も軽視できない。
今週末が5連休であることも、薄商いの中で日銀のタカ派な発言が続けば、為替ヘッジ付きの海外投資家によるポジション解消スパイラルが起き、急激な円高ショック(令和のブラックマンデー再現)が再発する恐れがある。木野内氏は、目先の利上げで円高を演出するのではなく、外貨準備を活用しつつ国内の生産設備投資を促進し、供給力を高める政策こそが必要だと力説する。
Q. 予期せぬ暴落相場で、投資家はどのように資産を守り、対応すべきか?
ボラティリティの高い相場では、いつ暴落が起きるか分からない。テスタ氏は、暴落時に最も重要なのは「損失を取り返すこと」ではなく「市場で生き残ること」であると強調する。実際に暴落が発生した場合、まず行うべきは、その下落要因に直結する銘柄のポジションを直ちに縮小し、損失を限定することだ。次に、その暴落とは無関係な理由で不当に連れ安している優良株を物色し、買いに転じることを推奨する。
ナンピン買い増しで助かろうとするのではなく、まずは損切りで退場を回避し生き残ること。市場で生き残りさえすれば、いつか取り返せるチャンスは来るとの教えは、多くの個人投資家にとって普遍的な金言となろう。
Q. 半導体市場の底打ちシグナルと、今後注目すべきセクター・テーマは何か?

詳細な地方の鉱工業統計データからは、半導体市場の底打ちを示唆するシグナルが見えている。特に三重県の鉱工業生産統計を分析すると、半導体メモリーの大幅な減産と単価下落は、次世代AI向け製品の立ち上がりに伴う一時的な生産ラインの再編が要因と考えられている。9〜10月の業績警告を通過し、TOPIXの浮動株見直しを契機に、需給は底入れの転換点を迎えるだろう。
次なる注目セクターとしては、高性能半導体の登場によるデータセンター利用料の低下の恩恵を受けるAIソフトウェア、AIエージェント、そして仮想空間での学習コストが劇的に下がる自動運転関連のロボティクスが挙げられる。
また、米国の国債買い戻し(バイバック)や超長期住宅ローン解禁によって米金利が抑制される局面では、現地の住宅市場に強い日本企業(「アメリカ住宅プレイ銘柄」)や、地政学リスク後退と買い替えサイクルが重なる自動車セクターがアウトパフォームしやすいと考えられる。
