PIVOT TALK MONEY
不動産市場の潮目が変わった:2026年夏の市況転換
(450)
1.0万回視聴
2026年9月11日

10年以上も上昇してきた都心の不動産価格に異変が起きている。なぜ今、都心で成約数が落ちているのか?住宅市場はどう変わっていくのか?買い手と売り手の正解について、TERASSの江口亮介社長に聞いた。 <ゲスト> 江口亮介|TERASS CEO 慶應義塾大学経済学部卒業。2012年にリクルート入社。S...
【2026年夏】不動産市場は歴史的転換点へ!買い時・売り時はどう判断するべきか
長らく活況を呈してきた日本の不動産市場は、今、歴史的な転換点を迎えた。従来の常識が通用しない中、自宅の購入・売却を検討する人々は新たな戦略を迫られている。本稿では、最新データと専門家分析に基づき、市場変化の要因、エリア・物件種別の動向を深掘りする。買い手は交渉か早期決断か、売り手は市場の現実とどう向き合うべきか。個人に最適な不動産戦略を提示する。

Q. 不動産市場に、どのような「潮目の変化」が起きているのか?
2026年夏以降、実需不動産市場に明確な潮目の変化が見られる。東京都心の成約数は前年比約13%減。一方で神奈川・埼玉・千葉など近郊の中古マンション成約数は約15%増加し、都心の高価格を避け需要が郊外へシフトしている。在庫消化月数も10ヶ月から14〜15ヶ月へ長期化しており、市場全体の流動性低下と需給ミスマッチが顕著である。
Q. 都心の中古マンション市場で価格が乖離する「ワニの口」現象とは何か?
不動産市場では「ワニの口」現象が拡大中だ。新規売り出し価格が上昇する一方で、実際の成約価格が伸び悩み、両者の乖離が現在35%を超えるケースもある。売主の強気と買い手の高価格忌避が原因で、需給ミスマッチが深刻化。物件が市場に残り、売買が停滞している。ポータルサイトの売り出し価格は実勢価格と乖離している可能性が高く、鵜呑みにすべきではない。
Q. 市場転換の主な背景にある金利とローンの関係について教えてほしい?
市場転換の大きな要因は金利上昇とローン審査の厳格化にある。住宅ローン審査で用いられる「審査金利」が今年4月から約3.5%から4%程度へ引き上げられたのだ。これにより銀行の返済能力評価が厳しくなり、一般サラリーマン層の借り入れ上限額は年収の約8倍から約7倍へと減少。購買力低下に直結する。加えてローン優遇停止や担保評価の厳格化も進み、本審査落ちや取引トラブルを招く。これらが都心高額物件の成約減少の背景にある。

Q. 現在の不動産市場で特に影響を受けている物件やエリアは何だろうか?
現在の市場で特に影響が大きいのは、東京都心の中古マンション、特に1億円以上の高額帯物件である。購買力低下や買い手のマインド変化で需要が冷え込む。対照的に、神奈川・埼玉・千葉などの郊外エリアや一戸建て市場は活況を呈し、都心価格を避けた層が「広さ」「コストパフォーマンス」を求めこれらへ需要を移動させた。約13年続いた不動産価格の「ボーナスステージ」は終焉し、市場は明確な調整局面。ただし2億円以上の超高額物件は海外富裕層のキャッシュ購入により堅調だ。
Q. 自宅購入を考えている買い手は、今、どのような戦略を取るべきか?
買い手の戦略はエリアと状況で異なる。東京都心で物件を探すなら、焦らず交渉余地を活用せよ。今は売主心情を見極め、粘り強く価格交渉することで、売り出し価格から10〜20%の値引き成功も可能だ。都心物件の根本価値は長期的に保たれるため、好条件での購入はメリットとなる。
郊外エリア検討時は「待つコスト」を重視すべきである。価格下落を待つ間の家賃支払いや団信リスクは見過ごせない。郊外市場は活況で価格の大幅下落は期待薄なため、良い物件との出会いは早期決断が賢明だ。賃貸市場は売買市場の遅行指標で上昇が続くため、賃料交渉は現実的ではない。家賃負担が高いなら購入も選択肢に入れよ。

Q. 物件を売却しようと考えている売り手は、どういった点に注意すべきだろうか?
売り手にとって「出せば売れる」時代は終わった。ポータルサイトの「売り出し価格」ではなく、プロが見る「成約価格」を基準に現実的な値付けが重要だ。不動産会社は高値査定しがちだが、それでは売却に至らない。販売戦略を立て、市場反応を見ながら週次で価格改定などPDCAサイクルを回す俊敏さが求められる。特に競合が多いマンションでは、他物件動向をチェックし価格調整が必要だ。
住み替え時は「売り先行」戦略が安全である。売却価格を確定させ、その資金計画に基づき次の購入を立てるのが賢明。契約時に引き渡し期間を長めに設定する交渉も有効である。売却益の税制優遇は5年以上保有で税率約20%となるため、出口戦略に活用することを推奨する。

Q. 今後、住宅ローン破産は増える見込みがあるのか?
日本の住宅ローン制度には買い手を保護する「5年ルール」「125%ルール」があるため、急激な住宅ローン破産者の増加は考えにくい。政府も無秩序な破産は避けるだろう。ただし、生活が「少し苦しい」と感じる層は増加する可能性があり、自己投資による年収アップなど、個人の返済能力強化が推奨される。
長期的な住宅需要も変化。人口減少は進むが都市部への一極集中は続くと予測される。世帯数増加や居住ニーズの小型化は、都市部の需要を一定程度維持する要因となるだろう。つまり、どこに家を買うかが、これまで以上に重要となる時代だ。