PIVOT TALK FOOTBALL
ラ・リーガ展望:バルサの黄金時代。レアルのモウ革命
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2026年9月6日

バルセロナの3連覇は固いのか?モウリーニョはレアルをどう改革するのか?久保選手、佐藤選手の展望と合わせて、スペイン在住の小澤一郎氏に聞いた。 <ゲスト> 小澤一郎|サッカージャーナリスト 1977年、京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、社会人経験を経て渡西。2010年までバレンシアで5年間活動...
2026-27シーズン ラ・リーガの注目と日本人選手の躍動を徹底解説
現在スペインは、インバウンドの活況と海外からの積極的な投資により、EUの中でも際立った経済成長を遂げている。
この好調は社会全体を明るくし、サッカーのラ・リーガにも活力を与える原動力だ。
3強クラブは大型補強を敢行し、例年以上にエキサイティングなシーズン開幕を迎えた。
本稿では、ジャーナリストによる最新分析をもとに、その熱狂の理由とシーズン展望、そして日本人選手の現在地を明らかにする。

Q. スペイン経済が現在、好調を維持している要因は何か?
スペイン経済は、好調な観光業と旺盛な外資系投資に力強く牽引されている。
EU域内でも見通しは明るく、国内には活気があふれている状態だ。
年金制度も手厚く、60歳を過ぎた多くの引退世代が悠々自適の生活を送ることが可能である。
一方で、海外富裕層による物件買い漁りが進み、都市部の家賃は数年で3倍に高騰、学生の住居確保は深刻な問題となっている。
政治的には、他国で反移民の動きが強まる中、スペインは不法移民を合法化し、若い労働力として社会保障に積極的に組み込む政策を推進している。
サッカー界では、ヤマルやニコ・ウィリアムズといった移民ルーツ選手たちの活躍が代表チームの一体感を高め、社会統合の成功例となっている。
Q. 今シーズンのラ・リーガ全体としての注目点は何か?
今シーズンのラ・リーガ最大の見どころは、FCバルセロナ、レアル・マドリード、アトレティコ・マドリードの「3強」が大型補強を敢行した点にある。
バルセロナはロドリ、レアルはディアマンテやベルナルド・シウバらを獲得するなど、世界的タレントが集中した。
これにより3強と他クラブとの戦力差は一層広がり、リーグは激しい上位争いを展開するだろう。
新たな戦術や若手選手の台頭が、リーグの勢力図をどのように塗り替えるかにも注目が集まる。
Q. ロドリを擁するバルセロナはどのような戦術的進化を遂げたのか?

バルセロナはレアル・マドリードからロドリを奪い取り、中盤の絶対的な軸に組み込んだ。これはフリック監督が志向する縦に速いドイツ式サッカーとバルサ伝統のポジショナルプレーを融合したハイブリッド戦術の要である。
ロドリのアンカー起用でペドリらがより高い位置でプレー可能となり、戦術の完成度が高まっている。
絶対的な9番を置かない「ゼロトップ」システムを採用し、ハフィーニャを偽9番に配置。彼の高いモビリティと守備意識は、前線からのハイプレスにおいて重要なスイッチ役を果たし、チーム全体の守備強度が劇的に向上した。
特に注目すべきは、19歳のシャビ・エスパルトが偽サイドバックとして機能する点である。
彼の流動的な動きは相手守備陣を中央に引きつけ、ゴードンやヤマルが両サイドで高速突破するための広大なスペースを生み出す。
この多角的な攻撃は対策困難であり、開幕から圧倒的な破壊力を発揮している。新加入ゴードンも高いサッカーIQと守備意識を持ち、シャビ・エスパルトとの連携で左サイドから驚異的な脅威を与え、リーガ最高の新戦力としての呼び声が高い。
Q. レアル・マドリードの「モウリーニョ革命」とは、どのような内容か?
レアル・マドリードはエムバペやヴィニシウスの管理失敗の反省から、13年ぶりにモウリーニョを招聘。かつての「スペシャル・ワン」はマイルドな手腕を発揮し、選手を気持ちよくプレーさせながらチームバランスを整える。
攻撃陣にも「アリバイ守備」を課し、最低限の守備関与を要求。昨年は守備を放棄しがちだった彼らも、前線からプレスに参加しチーム全体の守備強度を底上げする。
最も顕著な変化は、ジュード・ベリンガムをトップ下に固定した4-2-3-1システムだ。彼は攻守両面で高い意識を持ち、無駄な動きを省き、本来の爆発的なパフォーマンスを発揮する。
エムバペとヴィニシウス間の覇権争いが解消された点も大きい。
エムバペがチーム内の序列最上位となり、ヴィニシウスがこれを受け入れたことで、互いが協力しスペースを共有する動きが生まれた。
昨年連携不足だった両者だが、今シーズンは流動的な連動により多くのゴールを生み出すだろう。
さらにコナーテ、ククレジャといった対人能力の高い守備陣を補強し、個人の力で相手を封じる戦術を確立。クロースやモドリッチ不在のゲームメーカー問題も、ベルナルド・シウバ獲得で補完している。
Q. アルバレス騒動を乗り越えたアトレティコ・マドリードは、どのようにチームを再編したのか?

アトレティコは主力のフリアン・アルバレスがバルセロナ移籍を画策し練習を休む騒動に直面した。
バルセロナによる不適切なアプローチがあったとされる中、アトレティコは放出を断固拒否し、彼の残留が決定。彼はホーム戦でブーイングを受け、謝罪会見の必要性まで指摘されている。
この事態を受け、チームはアルバレスに代わる新たな軸としてパブロ・バリオスを据えた再編に着手。バリオスは卓越したテクニックと戦術眼を兼ね備え、ペドリのように時間と空間を操るダイナミズムを持つ選手だ。
シメオネ監督は従来の守備的戦術から脱却し、バリオス中心のポジショナルプレーを志向する。新加入の左サイドバック、グリマルドをインナーラップさせ中央に流動的に配置する戦術で左サイドからのビルドアップが活性化された。
グリーズマンの7番を継承した新加入のイ・ガンインも注目だ。強力なミドルシュートと積極性を武器に、チームの新たな攻撃のアクセントとなるだろう。
バリオスはラ・リーガらしい高いテクニックと、プレミアリーグのライスのように攻守広範囲をカバーする走力を併せ持つ。このハイブリッド能力により、彼は現在リーグ最高のMFとして無双状態にある。アルバレス騒動はチームにとって思わぬ好転をもたらした形だ。
Q. 久保建英はなぜレアル・ソシエダで正念場を迎えているのか?
レアル・ソシエダ在籍5年目を迎える久保建英は、今シーズンが正念場である。
度重なる怪我と稼働率低下により、得点数が9→7→5→2と年々減少傾向にある。
プレシーズンからバレネチェアにスタメンの座を譲り、開幕時点でレギュラーの地位を失った。
膝の怪我に悩まされ、テーピングを巻いてプレーする姿が見られるなど、コンディションは万全ではない。
チームのエースだった時期があるだけに、良いタイミングでビッグクラブへの移籍を果たせなかったことが、現在の停滞とマンネリにつながった可能性も指摘される。
6000万ユーロと高額な契約解除金に見合う評価を得るためには、シーズンでの2桁得点が必要不可欠だ。
チーム内での序列を覆し、反骨心を持って本来の輝きを取り戻せるか、真価が問われるシーズンとなるだろう。
Q. 佐藤龍之介はバレンシアでなぜ衝撃的な活躍を見せているのか?

バレンシアに19歳で加入した佐藤龍之介は、周囲の懐疑的な目を吹き飛ばす衝撃的な活躍を見せている。
チームが低迷し残留争いに喘ぐ中、彼は希望の星として開幕からスタメン出場を続け、早くもチームのキーマンとして機能する。
その要因は、卓越した戦術理解度と周囲の状況を認知する能力にある。
これに加え、豊富な運動量を活かし、ボール保持時にはドリブル突破だけでなく、内側に良いポジションを継続的に取り、得点にも絡む貪欲さを持つ。
コルベラン監督が英語堪能なため、熱心に英語を学んでいた佐藤はコミュニケーション面でも問題なくチームにフィットした。
今シーズン6~7点という目標を達成すれば、1年でのステップアップ移籍も現実味を帯びるだろう。
彼のスタイルは「日本のフェルミン・ロペス」と称され、日本代表や将来的なビッグクラブでの活躍が期待される。これはJリーグのレベルアップを欧州に示すモデルケースともなり得る。
Q. まとめ
2026-27シーズンのラ・リーガは、伝統強豪の戦術的進化と、それを支える若き才能の躍動が随所に見られるシーズンとなる。
ベリンガムやバリオスといったスター候補から、日本の佐藤龍之介のような新たな驚きまで、決して目が離せない。
多様なフットボールの魅力を存分に楽しんでほしい。