REBOOT JAPAN
英単語3000語で9割カバーできる/なぜ話せないのか/会話重視・文法軽視の代償/早期教育の是非/英語ペラペラ森本が語彙テストに挑戦
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2026年9月13日

日本の社会にこびりついた古い成功体験や思考停止した習慣を強制終了し、日本人と日本という国をリブート(再起動)していく番組。第4回のテーマは「日本の英語教育」。ゲストは、鳥飼玖美子氏と内田諭氏。前編では「なぜ日本人は英語を勉強しても話せないのか」を徹底議論する。 <ゲスト> 鳥飼玖美子|立教大学 名...
REBOOT JAPAN: 日本の英語教育、30年の誤解とAI時代への対応
中学・高校で何年間も英語を学習したにもかかわらず、「日本人は英語を話せない」という通説が長年日本社会に蔓延している。この問題の根源には、学習指導要領の変遷と、それに伴う教育アプローチの揺れが存在する。
過去30年以上にわたり、コミュニケーション重視へと舵を切った日本の英語教育は、時に文法や発音といった基礎を軽視し、効率の悪い学習方法を生み出してきたとの指摘がある。
本稿では、アポロ月面着陸中継の同時通訳を務めた経験を持つ鳥飼玖美子氏と、ベストセラー『英単語1万語習得法』の著者である言語学者・内田諭氏の議論に基づき、日本の英語教育が抱える真の問題点と、AI時代におけるあるべき姿を深掘りする。


Q. 長年英語を勉強しているのに日本人が話せない背景には何があるのか?
日本では30年以上前からコミュニケーション能力の育成を重視する英語教育が進められてきた。1989年の学習指導要領改訂では、文法教育を軽視し「とにかく喋りなさい」という英会話中心のアプローチが取られた。
しかし、この教育方針は「コミュニケーション重視」という名の下、英会話の定型文を繰り返す活動に偏り、英文の構造を理解するための文法力や主語と動詞の組み立てを学ぶ機会を奪ったのである。
その結果、この方針で教育を受けた世代は、英会話のフレーズは知っていても、自分で英文を構成し、複雑な内容を表現する能力が著しく低いという弊害を生み出したと専門家は指摘している。
これは「文法ばかり」という批判とは裏腹に、むしろ文法軽視が会話能力を妨げている実態を示している。
Q. 現行の学習指導要領における英語教育の問題点と弊害とは何か?
現在の英語教育では、小中高合わせて約1000時間の学習時間が設定されているが、ネイティブスピーカーが英語に浸る時間と比較すると圧倒的に不足している。
さらに、学習指導要領は小学校での英語導入に伴い、中学校で学ぶべき語彙数を大幅に増やしたため、現場の教師と生徒はパニックに陥った。
限られた時間の中で大量の単語を詰め込むだけの学習は、単語が深まらず、発信に使える語彙力が育たないという問題を生んだ。学生たちは目標と現実の乖離に苦しみ、英語嫌いを増やす結果を招いているのである。
単語の「量」は十分学んでいるが、それをアウトプットに転化させる「質」の学習が不足しているのが大きな課題だ。
Q. 日本の英語教育はAIの台頭によりどのように変化するのか、またその課題は何か?

次期学習指導要領では、初めてAIの活用が盛り込まれる。AI翻訳やAI記述アプリは、リーディングやライティングを補助する強力なツールとなるだろう。
しかし、AIが出力した情報の「最終判断」を下すのは人間の役割であり、利用者の基礎的な英語力がなければ、その判断は難しい。AIの情報を盲信する危険性が伴うのだ。
専門家は、人気の発音アプリを例に、AIの限界を示唆した。ゲーム感覚で楽しめる反面、アプリは「何が間違っているか」を具体的に教えず、ただ「不合格」と判断するのみであった。
このようなアプリでは、生徒は理由が分からないまま自信を喪失する恐れがある。教師が英語音声学の訓練を受けていない現状では、AIに頼りきりになる懸念も存在する。
AIはあくまで学習をサポートするツールであり、人間による的確なフィードバックや共感が不可欠であることを認識すべきである。
Q. 英語学習において母語の能力を養うことの重要性とはどのようなものか?
新しい学習指導要領では「母語を踏まえて外国語としての英語を学ぶ」という視点が重視されている。これは非常に重要な要素であると専門家は説く。
思考の根幹となる母語の能力が高くなければ、外国語での複雑な思考や表現は難しい。母語がしっかり確立されていれば、それを土台として外国語の学習言語を効率的に習得できる。
例えば、英単語と日本語の単語を1対1で対応させがちだが、”house”と「家」では、母語話者が思い描く文化的イメージが異なる。こうした等価ではない概念を客観的に捉えるには、自らの母語への深い理解が必要だ。
単なる外国語の習得に留まらず、英語学習を通じて自分の母語を相対的に見つめ直し、言語の本質を理解する「メタ言語能力」を養うことにも繋がるだろう。
Q. 早期英語教育は本当に必要か?英語習得に最適なアプローチとはどのようなものか?

幼児期からインターナショナルスクールに通うMC森本氏の経験から、早期教育の是非が問われた。専門家は、日常会話の習得は早い一方で、教科を学ぶための「学習言語」の習得には数年を要すると指摘する。
バイリンガル研究によると、母語の基盤が強固であるほど、学習言語の習得速度は速まる傾向にある。幼い頃から性急に英語環境に置くよりも、まずは母語を確立することの方が重要だ。
家庭内で日本語を過度に排除し、両方の言語が中途半端になる「ダブルリミテッド」の状態は避けるべきだ。母語で安定した思考力を形成した上で、良質なインプットを大量に浴びせる学習が、英語力向上の堅実な方法といえる。
豊富なインプット、すなわち「読む・聞く」活動を通じて語彙やフレーズが自然と体に入っていく経験が、効果的な英語学習には欠かせない。