PIVOT TALK BUSINESS
新卒年収1400万円の衝撃。給料をもっと上げないと、日本の才能が流出する
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2026年8月28日

霞ヶ関キャピタルが新卒向けの特別枠として、年収1400万円の採用を開始した。なぜ新たな採用方法に取り組んだのか?どんな結果が出ているのか?同社社長室の 矢口太一ヴァイスプレジデントに聞いた。 <ゲスト> 矢口太一|霞ヶ関キャピタル 社長室シニアヴァイスプレジデント 1998年生まれ、東京大学大学院...
新卒年収1400万円はなぜ生まれたか?霞ヶ関キャピタルが日本の採用市場に投じた一石の真意
近年、日本の新卒採用市場に大きな波紋を呼んだのが、不動産投資開発事業を展開する霞ヶ関キャピタルの「新卒年収1400万円」という発表だ。この破格とも言える提示額は、単なる給与の高さを超え、日本の雇用慣行、特に新卒一括採用や年功序列といった構造的課題に疑問を投げかけるものとして注目を集めた。同社の社長室シニアバイスプレジデントである矢口太一氏が、この大胆な挑戦の背景にある狙いや社会へのメッセージ、そして将来展望について語る。

Q. 霞ヶ関キャピタルが新卒に年収1400万円を提示した真意とは何か?
新卒年収1400万円という提示額は、決して話題作りのためだけではない。矢口氏自身が、ソフトバンクの孫正義育英財団1期生として多くの優秀な学生と接する中で、彼らが海外のスタートアップや大企業から数千万円から数億円といった巨額のオファーを受ける現状を目の当たりにしてきた。これに対し、日本国内の給与水準は国際的に見ても低い。このままでは本当に優秀な人材が海外へ流出してしまうという強い危機感があった。会社として、価値を生み出す人材には相応の対価を支払うべきだという極めて当たり前の原則を実行し、才能を日本に留め、社会課題を解決へと導くための必然的な判断だと言う。
Q. この破格の採用に対する社会や学生からの具体的な反響、応募状況はどのようなものか?
新卒年収1400万円の発表は、メディアやSNSで大きな反響を呼んだ。特に2027年卒の採用に関しては、約1300人の学生から応募が殺到し、内定者は約10人前後に絞られた。応募者には、すでに学生時代に起業経験を持つ者や、AI技術に精通する者、さらには人間的魅力が突出していると役員が評するほどの個性豊かなタレントが含まれている。

これは単に高額な年収だけでなく、「能力と成果に報いる」というメッセージが、既存の画一的な採用に疑問を持つ学生層に深く響いた結果と分析できる。
Q. 日本の従来の採用慣行にはどのような課題があると考えているのか?
日本の新卒一括採用や年功序列の慣行は、多くの才能の可能性を阻害していると矢口氏は指摘する。特に、能力の高い学生がコンサルティングファームや投資銀行といった一部の業界に集中する傾向があるのは、「みんな同じ役割、みんな同じ給料」という日本企業の均一な採用が背景にある。海外に羽ばたけるAI人材やグローバルな才能も、均一な評価の中で「つまらない」と感じ、結果として一部の業界へと流れていく。これでは、日本全体の課題解決に多様な才能が分散・活用されず、社会の進歩を妨げてしまうというのが同社の問題意識だ。
Q. この「トップタレント」枠における具体的な選考基準とは何か?学歴や技術スキルだけが重視されるのか?
霞ヶ関キャピタルの「トップタレント」枠では、学歴を一切問わない選考を行っている。高卒であろうと大卒であろうと関係なく、その人の持つ「価値創造能力」や「社会課題解決への意欲」を重視する。

確かにテック系の人材はわかりやすいが、起業経験があるビジネスプロデューサーや、役員が「一目惚れした」と語るほど人間的魅力に溢れる人材も採用している。同社は、明確な技術スキルだけでなく、人間力やユニークな経験、そして会社や社会に貢献しようとする「いいやつ」であるかどうかを多角的に評価するスタンスだ。
Q. 高額な新卒を受け入れることで、社内の秩序や既存社員のモチベーションはどうなるのか?
当初は「高すぎるのではないか」という声がゼロではなかったものの、同社は「完全に実力主義」の原則を貫いており、社内秩序への懸念は低い。既存社員に対しても年功序列ではなく、成果に応じて公平な評価がなされている。実際、入社から10年も経たずに年収が6〜7倍になるケースもあるほどだ。このため、新卒の高額年収が特別視されるのではなく、「成果を出せば報われる」という納得感のもと、才能が集まることを既存社員も好意的に受け入れている。

同社のカルチャーとして、若手が高いモチベーションを持ち、先輩社員も自発的に彼らを育成する環境が自然と醸成されていると言う。
Q. 若手AIネイティブ世代の強みとは何か?彼らが最大限に活躍するための環境作りで重要視することは?
現在27歳の矢口氏が対象とする20歳前後の新卒世代は、まさに「AIネイティブ」世代と言える。彼らはノーコードツールを当たり前のように使いこなし、経験が豊富な年長者には難しい、新しい技術への対応力を持つ。この能力により、これまでの経験の壁を飛び越えて、若くして実務で大きな価値を生み出すことができる。同社は、人事からの指示ではなく、役員やベテラン社員が自発的にメンターとなり、若い才能を育て、共に挑戦する環境を提供している。これは、彼らがAIを駆使して現場に価値をもたらす過程で、さらにその力を伸ばすことを後押ししていると言える。
Q. 霞ヶ関キャピタルのこの挑戦が、日本の採用市場全体、特に新卒マーケットの未来にどのような影響を与えると考えているのか?
この取り組みは、単に自社の利益のためだけでなく、日本社会全体の課題解決を目的としていると矢口氏は語る。「新卒一括採用」が典型的である「才能が開花しない」「生かされない」という社会の現状を変えるための、”ファーストペンギン”としての役割を自負している。実際に、同社の発表後、X(旧Twitter)などで追随する動きも見られると言う。同社は今後も積極的にその採用手法や成果をオープンにし、より多くの企業がこの波に乗り、個人の才能とマーケットバリューに見合った評価をできる多様な採用システムが広がっていくことを強く望んでいる。日本の若手優秀人材が海外に行かずとも国内で最大限に活躍できる土壌を作ることは、企業の枠を超えた日本の競争力向上にも繋がると確信している。