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【左ききのエレン】才能の見つけ方
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2026年8月18日

多くの人が人生で直面する、自身の「才能」の有無。自身の手で才能を見つけることはできるのか?なぜ「下手でも人目にさらす」ことが重要なのか?『左ききのエレン』原作者の漫画家・かっぴー氏に聞いた。 <ゲスト> かっぴー|漫画家 株式会社なつやすみ代表。東急エージェンシーでアートディレクターを務めた後、面...
『左ききのエレン』原作者かっぴー氏に聞く「才能の見つけ方」
誰もが一度は「もし自分に何か特別な才能があれば」と考えたことがあるだろう。一方で、天才と呼ばれる存在は限られた一握りの人間にのみ許されるものだと、半ば諦めにも似た感情を抱くことも少なくない。
そんな凡人意識を持つ現代人の心に深く響くヒット作『左ききのエレン』の原作者である漫画家・かっぴー氏は、新著「天才になれなかったすべての人へ」で「天才」や「才能」について独自の解釈を提示している。
彼は「天才とは誰もがなり得る状態である」と語る。本記事では、かっぴー氏の考える天才の定義、そして凡人が自分だけの才能を見つけ、武器とするための実践的な思考法について解説する。

Q. 天才とは具体的にどのような存在か?
かっぴー氏は「天才とは状態を指す言葉である」と定義する。それは、単に生まれ持った天賦の才だけでなく、個人の資質が100%発揮され、それが社会的に価値を生み出している状態、さらには環境、時代、運といった複数の要素が合致した状態を指す。
「天才」という言葉から想起されるのは限られた一部の人間というイメージがあるかもしれないが、この「状態」という視点で見れば、すべての人が天才になり得る可能性を秘めていると言う。もちろん、その状態に至るには「努力」が前提条件となるが、自分らしい「才能」というカードは誰にでも存在し、それを活かせる機会はあるのである。
Q. 劣等感や弱みはどのように自身の強みへ転換できるのか?

人は誰しも、人よりも劣っている部分や弱みがあると感じることがあるだろう。しかし、かっぴー氏は「劣っている部分は、むしろ自身の才能を見つけやすい」と語る。才能は長所と短所が必ずセットで存在する「裏返し」の関係にあるからである。人より劣る点があるならば、それを逆手に取ることで必ず独自の価値や強みを生み出すことができると言う。
例えばかっぴー氏自身も、漫画の絵が「下手」だという弱みを持っていたが、それは作品に「感情が乗りやすい」という熱量のある作風という強みに転換された。また、30歳から漫画家を始めた「遅咲き」という点も、社会人経験の豊富さから来る「深い人生経験」という形で物語に説得力をもたらす強みとなったのである。このように、自分の弱点や劣等感を見つめ直すことは、他にはないユニークな武器を発見する機会となるだろう。
Q. 自分の才能を見つけるために最初の一歩として何をすべきか?
多くの人は「準備不足」を理由に、自分のアイデアや作品を人目に晒すことをためらいがちである。かっぴー氏はこれを「みんなやりたがらない」「もったいない」と指摘し、最も重要で最初の一歩は「完璧を待たず、まず下手な状態でも世に出すこと」だと力説する。
彼自身も、まだ絵が上手ではない状態で漫画をインターネットに公開し始めたことが、漫画家としてのキャリアを築く上で最も大きな功績だと語っている。人目に晒すことで他者からの反応(フィードバック)を得られ、それが自己の特性や価値への気づきに繋がる。「悪口を言われたらどうしよう」「評価されなかったらどうしよう」といった不安は、多くの人が抱くものだろう。しかし、かっぴー氏は「ある一定のレベルを超えるまでは、誰も気に留めないから安心してほしい」と述べる。むしろ、リアクションがある状態にまで達することで、それが称賛であれ批判であれ、自身の才能のヒントになる情報を得られるのである。恥ずかしい気持ちや完璧主義を捨て、まずは自分の「何か」を世に問うことが、才能発見の第一歩と言えるだろう。
Q. 自身の持つ特性を最大限に活かすためにはどのような環境が理想的なのか?

才能とは、個人の能力だけでなく、それを活かせる環境と深く結びついている。かっぴー氏が会社員時代に自身の特性「過集中」が発揮しきれなかった経験は、この重要性を示唆している。会社という組織においては、定時勤務や会議など、周りのペースに合わせる働き方が一般的であり、彼のように一度仕事に入ると昼夜問わず没頭するタイプには合わなかったという。
これは、「左ききのエレン」のタイトルにも通じる概念である。左利きの人々が、右利きを前提にデザインされた世の中で生きづらさを感じるように、個々人の特性と合わない環境では才能がブーストされない、もしくは発揮されにくいことがある。
重要なのは、自分の「天才状態」がどのような状況で現れるのか、その特性を理解し、その特性を最大限に活かせるような環境を選択することである。世の中の大多数の人が望む枠組みに囚われず、自分のペースや集中力を維持できる場所を選ぶことが、才能開花への近道となるだろう。つまり「置かれた場所で咲く必要はない」のだ。
Q. 嫉妬や恥ずかしさといった感情を乗り越え、才能を開花させるにはどうすればよいか?
かっぴー氏は、才能の発揮を阻む大きな障壁として「恥ずかしさ」と「悔しさ(嫉妬)」を挙げている。
まず、嫉妬については「手の届く範囲の人間」に対してのみ発生することが多いと言う。大谷翔平選手に対して嫉妬する人は少ないように、手の届かない圧倒的な存在を「漫画の強キャラ」のように客観的に捉えることで、余計な感情を排し、学びの対象とすることができるのである。
次に「恥ずかしさ」については、「みんな準備しすぎである」ことが根本的な原因であると指摘する。多くの人が完璧な状態になってからアウトプットしようと抱え込んでしまうが、それによってせっかくの可能性が埋もれてしまう。「そんだったら裸でいいじゃん」と自身の「弱み」すら開示する覚悟で人目に晒すことが重要だと言う。
自分の才能を知るためには、ひたすら人と交わり、さまざまなフィードバックを受け取ることが欠かせない。「一人きりでいたら見つかるものも見つからない」から、臆することなく行動し、自分の評価のサンプル数を増やしていく姿勢が求められるのである。
Q. やりたいことと得意なことのミスマッチに悩んだ場合、どう判断を下すべきか?

「やりたいこと」と「世の中に求められること・得意なこと」の間で悩むケースは多いだろう。かっぴー氏によれば、どちらを選んでも正解であり、重要なのは「とにかく徹底的にやり切ること」である。中途半端な試みでは、それが本当に自分に合っているのか、向いていないのかの判断はできない。
例えば、2週間で2万個のコピーを作成するような圧倒的な試行を経験したからこそ、かっぴー氏はコピーライティングにおける向き不向きを把握できた。何かに取り組むのであれば、後悔の念を残さないレベルまでやり込み、「納得する」ことが次なる人生のステップに進む上で不可欠であると言う。
Q. 私たちはなぜ一度、自分を「天才状態」に導くべきなのか?
かっぴー氏が最終的に伝えたいメッセージは、人生で一度は「天才状態」を経験してみてほしいということだ。
彼自身も、かつて天才に憧れ、その追っかけを続けた日々から、自らが天才になれると信じるに至った。天才とは状態であるからこそ、誰でも、少なくとも人生の一時はこの状態を経験できる可能性がある。一度、自分の才能が最大限に発揮され、それが世の中に価値を生んでいる「天才状態」を体験することは、その後の人生を豊かにするための自己理解に繋がる。たとえその状態が長く続かなくとも、自身の幸福の定義を知り、その後のキャリアや人生の選択において迷いや後悔を少なくすることができるのである。
「天才状態の自分」と向き合うこと。それが、充実した人生を送るための鍵となるだろう。