
日本株はさらなる下落へ/急落は8月まで続く?/来年に復活、日経平均9万4000円に
日本株はさらなる下落へ/急落は8月まで続く?/来年に復活、日経平均9万4000円に
世界経済が不安定な状況にある中、来年の日本株に対して8万8000円という強気な見通しが提示された。この予測を支えるのは、AIデータセンター需要の劇的な拡大と、米中両国のマクロ経済における特殊要因である。一方で、米国発のインフレ懸念や中東の地政学リスク、日本銀行の金融引き締め、さらにAI半導体業界の供給問題など、警戒すべきリスク要因も複雑に絡み合っている。本記事では、現在の市場の核心を深掘りし、これらの変動要素が今後の市場に与える影響を分析する。そして、予測不能な相場を乗りこなし、資産形成を着実に進めるための具体的な投資戦略を提示する。


Q. 来年の日本株相場にはどのような展望がありますか?
現在、株式市場は調整局面にあるものの、2025年には日経平均株価が8万8000円、高値基準では9万4000円まで上昇するとの強気な予測が出ている。これは、「逆ディープシークショック」と呼ばれる現象と、大規模なAIデータセンターの建設に伴う設備投資需要が持続するという見方に基づいている。
過去の経験則では、株価は約3割上昇すると利食い売りなどで一時的な調整局面に入る傾向がある。現在の調整は一時的な押し目であり、最悪5万2000円水準までの下落も視野に入るが、その後には再び3割以上の力強い上昇サイクルに戻ると予測されている。
この強力な設備投資の動きが日本経済全体の成長率を高め、結果的に株価を強力に押し上げる要因になると見られる。市場の一時的な変動に惑わされず、長期的な視点を持つことが今後の投資判断において重要だ。
Q. AIデータセンター需要拡大の背景にある「逆ディープシークショック」とは何ですか?

かつてAIモデルの進化に伴いデータセンター規模が縮小するという「ディープシークショック」が懸念された。しかし、「知識は圧縮できない」という認識が広がり、この前提が覆されたことが「逆ディープシークショック」の背景にある。
この認識の変化により、巨大なAIデータセンターがやはり不可欠であると再認識され、大規模なデータセンターの構築が世界的に加速している。これにより、AIの演算に必須となる半導体、特にHBMメモリの需要が爆発的に拡大しているのだ。
この動きは、関連する設備投資を促し、電線メーカーなどのサプライチェーン全体に大きな恩恵をもたらしている。日本企業はAIデータセンター関連の部材や製造装置において高い競争力を有するため、この強力な需要の波が日本株全体を底上げする強力な原動力になると予測されている。
Q. 米国および中国のマクロ経済状況は来年の相場にどのように影響しますか?
来年の日本株相場には、米国と中国双方からのマクロ経済的な追い風が期待される。中国では、5年ごとに開催される共産党大会の年がカギを握る。この時期は党員の人事評価のタイミングであり、現行の五カ年計画が推進する半導体・AI分野での成果が強く求められる。そのため、この分野への集中投資が急速に拡大し、中国からの半導体輸入が大幅に増加する。これは日本を含むアジア経済全体に強力な需要として波及し、好影響を与えるだろう。
米国では、大統領選挙前年にあたる「3年目のジンクス」が日本株の支援材料となる。特に共和党政権下において、3年目は歴史的に最も株価が上昇しやすい時期であることが過去のデータから示されている。次期政権の座を狙う政治家は、再選を見据え経済成長を促進する政策を打ち出す可能性が高く、この景気刺激策が米株の底堅さを生み、日本株にも良い影響を与える見込みだ。
今年の日本株の底入れ時期に関しては、日本株の季節的な傾向と騰落レシオの分析から、8月の特別清算指数(SQ)週前後が最初の有力な買い場となる可能性が高い。例年7月にピークアウトし、8月にかけて下落した後、株価が安定する傾向が見られるためだ。
Q. 現在の市場で特に警戒すべきリスク要因は何ですか?

現在の市場は複数のリスク要因に直面している。米国では、住宅価格が下落傾向にあるが、消費者物価指数(CPI)の帰属家賃反映に統計上の遅れが生じ、インフレ懸念が続く可能性がある。
この統計上のタイムラグに加え、緊迫する中東情勢が原因で原油価格が高騰すれば、FRBは利下げに転じにくくなる。過去1987年のブラックマンデーのように、新FRB議長の利上げと中東紛争による原油高が重なり、市場が急落する再来リスクが今年の秋口までに起こり得る。厳重な警戒が必要だ。
日本では、日本銀行の国債量的引き締めが実質的な長期金利上昇、いわゆる「ステルス引き締め」として作用している。この政策はすでに企業活動に負の影響を与え始めており、設備投資意欲を減退させ、日本の輸出産業の供給能力や貿易収支を悪化させる懸念がある。
AI半導体市場では、NVIDIAの次世代製品「ルービン」や「HBM4」の製造難易度が高く、供給遅延が懸念される。SKハイニックスの下方修正観測やTSMCの粗利率引き下げも、このリスクを裏付ける。データセンター投資の鈍化は、日本経済を牽引するAI関連輸出に打撃を与え、日経平均が大幅下落するリスクを抱えている。
加えて、株高時に円売りポジションを積んだ外国人投資家が、市場調整でヘッジを解消(円買い戻し)することで「円高ショック」を引き起こす可能性もある。これらの複合的リスクに警戒を要する。
Q. 今後の市場において、投資家はどのような戦略で銘柄を選択すべきですか?
市場の複合的なリスクと成長機会を踏まえると、年後半から来年にかけての投資戦略は、バリュー株へのシフトが効果的である。例年8月以降はバリュー株がグロース株を上回る傾向があり、現在の調整局面を賢明なポートフォリオ見直しの機会と捉えるべきだ。過熱感のあるテック株一辺倒の投資から、テーマ性のあるバリュー株へ分散投資することが推奨される。
AIエージェントや小型AIベンチャー: 新型半導体によるAIデータセンター利用コスト低下は、AIを効率的に活用する企業の利益拡大につながる。TOPIX改革による小型株への資金流入も期待される。
AI関連のインフラバリュー株: データセンター建設は継続しており、サーバー設置の遅延があっても、電源設備や電力機器などのインフラ需要は先行する。三菱電機、富士電機、明電舎、日立といった重電株はAI需要に紐づくインフラ企業として魅力がある。
また、「フィジカルAI」(現実世界でAIを活用するロボティクス)も今後の注目分野である。GoogleのWaymo(自動運転タクシー)のように仮想空間での大規模学習を通じてAIの性能を向上させる技術は、高性能AIデータセンターの安価な利用によって加速するだろう。こうしたAIデータセンターを効果的に活用する企業群にも着目すると良い。
このような多角的な視点から、市場の調整局面を優良株の仕込み場と捉え、リスク分散と成長性追求のバランスをとった投資戦略が求められる。単一セクターに偏らず、新たなトレンドと従来の堅実さを兼ね備えた銘柄への分散投資が、変動の大きい市場で成果を出す鍵となる。
