PIVOT BASKETBALL
河村勇輝不在の危機
(311)
3,044回視聴
2026年6月27日

日本バスケ界は歴史的な転換点にある。トム・ホーバス体制で躍進を遂げた日本代表だが、海外組不在時の戦力底上げが急務だ。PG不在時の得点源は誰か。比江島慎の後継者問題にどう終止符を打つか。アナリストの佐々木クリス、千葉ジェッツコーチの西村文男、東京サンロッカーズのベンドラメ礼生に徹底解説してもらった。 ...
バスケ日本代表、進化の序章!W杯アジア予選スタメンと次世代を徹底考察

新番組「ピボットバスケットボール」の初回では、豪華ゲストを招き、FIBAバスケットボールワールドカップアジア地区予選に臨む日本代表のスタメンについて熱い議論が交わされた。

トム・ホーバス前HCが築き上げた日本のバスケットボール「OS 1.0」を、桶谷HCがどのように「OS 2.0」へと進化させていくのか、その戦術の行方やキーポジションの重要性、そして将来を担うスター候補選手たちの実力と可能性が深掘りされている。
データ、戦術、選手目線で紐解く、現代バスケの最前線を考察しよう。

Q. 現在の日本代表において最も重要なポジションは何か?
現日本代表にとって、最も重要だとされるポジションはシューティングガード (SG) だと複数の専門家が指摘している。ポイントガード (PG) の川村選手がNBAに挑戦し、代表活動に参加できない期間があった際、ポイントガードが攻めきれなくなった時に、次の攻撃の起点となれる選手の必要性が顕在化したという。
世界と戦う上で、ポイントガードに次ぐ第二のクリエイター、すなわち自らペイントアタックしてディフェンスを崩せる選手がコート上に少なくとも2人、理想としては3人いるべきだと考えられている。
日本のPGは身長が比較的小さめな選手が多いこともあり、身長190cm近くのSGがペイントアタックに絡めることはチームにとって非常に大きなアドバンテージとなるのだ。
Q. ワールドカップアジア予選に臨む日本代表はどのような特徴を持つか?
日本代表のFIBAランキングは2019年の48位から現在22位まで急上昇している。しかし、7月に行われるワールドカップアジア地区予選は、1次ラウンドの点数が2次ラウンドに持ち越されるため、すべての試合が極めて重要になる。
前回対戦した韓国はヘッドコーチ交代直後、中国も世代交代や負傷者が多くフルメンバーではなかった。今回は両国ともに選手層を拡充してくることが予想され、日本はこれまで以上に厳しい戦いを強いられるだろう。
今回の招集メンバーを見ると、ビッグマンは若手が中心で、全体的にサイズが不足していることがわかる。重量級のセンターが不在であるため、チームはスリーポイントシュートと速攻を武器にした「速いバスケットボール」を展開するだろう。ポイントガードの数が多いことも特徴で、ツーガードの布陣も積極的に試される可能性が高い。
Q. 専門家が選出したスターティングファイブの注目選手と選考理由は?

専門家3名によるスタメン予想では、ポイントガードに齋藤拓実、シューティングガードに西田優大、センターにジョシュ・ホーキンソンの3名が満場一致で選出された。
齋藤拓実選手は、身長172cmという制約を全く感じさせない「魔法使い」のようなプレーヤーだ。自分の空間を正確に把握し、相手ディフェンダーを巧みに翻弄する。経験を積むことで判断力が向上し、ターンオーバーが激減。ピックアンドロールからのプルアップスリーポイントも安定しているなど、試合を支配する時間が増している点が評価された。
西田優大選手は、オフェンスの起点となる「ペイントアタック」能力が最大の強みである。彼のドライブが相手の守備陣形を崩すことで、チーム全体の攻撃が活性化される。パリオリンピックの代表落選を乗り越え、自身のプレースタイルを見つめ直した結果、精神的にも肉体的にも大きく成長を遂げた選手だと評されている。
残りの2枠は、主に渡邊雄太選手の起用法とウィングのディフェンス能力の高い選手に注目が集まった。渡邊選手は3番 (スモールフォワード) でも4番 (パワーフォワード) でもプレーできるため、戦術上の重要な駒となる。4番で起用すれば、長身を活かしたリバウンドとリムプロテクターとしての貢献が期待され、3番であればNBAでも活躍した3&D (スリーポイントとディフェンス) 能力を発揮し、アウトサイドからのチャンスが増える。
また、馬場雄大選手と吉井裕鷹選手は、相手エースのボールハンドラーを無力化する守備のスペシャリストとして不可欠だ。彼らは、スクリーンプレーそのものを阻止するフィジカルの強さで、相手の得意な攻撃パターンを封じ込める力を持つ。
ベンチからの起爆剤としては、22歳のジェイコブス晶選手が注目される。彼は身長とスリーポイントに加え、非常に高いバスケットボールIQと戦術理解度を持ち合わせている。渡邊選手やホーキンソン選手の負担を軽減し、セカンドユニットの核として比江島慎選手らと効果的な連携を築くことが期待されている。
Q. トム・ホーバス前HCと桶谷HCの戦術アプローチはどのように異なるか?
トム・ホーバス前ヘッドコーチが採用したのは、「リアリティベース(結果重視)」のバスケットボールであった。目の前の勝利を最優先し、スターPGを軸とした一点突破と、大量のスリーポイントシュートによる得失点差で相手を上回る戦術を徹底。佐々木クリス氏はこのホーバスHCのバスケを「日本の戦い方の基盤となるOS 1.0をインストールした」と表現する。
一方、桶谷新ヘッドコーチは「ビジョンベース(プロセス重視)」のアプローチをとっている。中長期的な育成も視野に入れ、特定の選手に依存せず、より多くの選手が攻撃の起点となれるような多様性のある戦術を目指しているという。
この桶谷HC体制では、ポイントガードだけでなく、シューティングガードやスモールフォワードといったポジションの選手にも、積極的に攻撃を仕掛ける機会が与えられる。「機会の均等化」が進められる中で、それぞれの選手が勝利に貢献できる「ウィニングインパクト」を示せるかが問われている。
攻撃戦術においても、これまでの単一のピックアンドロールに頼るだけでなく、2回、3回と連続してスクリーンを活用する、より複雑で連動性の高い動きが求められている。
Q. 中国戦での勝利の鍵は何か?今後の戦術はどう進化するのか?
次の対戦相手である中国は、211cmの胡金秋選手に加え、「チャイニーズヨキッチ」の異名を持つ216cmの楊瀚森選手も合流する可能性がある。楊瀚森選手はポストプレーだけでなくスリーポイントも打て、パスもさばけるため、中国のオフェンスシステム自体が大きく変化する危険性をはらむ。高さで圧倒的に不利な日本が勝利するためには、まさに「2点取られたら3点取り返す」という攻撃的な姿勢を貫き、オフェンス力で圧倒するしかない。
ホーバスHC時代はショットクロックの最初の8秒で速攻を仕掛ける「アーリーオフェンス」を徹底していた。ビッグマンのいない現体制でもこの速い展開は維持されると見られるが、ハーフコートオフェンスにおける崩し方は、より多様化する可能性があるだろう。
また、相手がスイッチディフェンスで日本の組織的な攻撃を阻害してきた場合、単なる組織プレーだけでは打開できない場面も生じる。その際には、個の能力による突破が必要となるため、攻守における個人スキルの向上が今後の日本の進化を大きく左右する。
Q. 日本バスケの未来を担う注目選手は誰か?
未来の日本代表を担う存在として、いくつかの注目選手が挙げられた。
一つは、206cmの大型ビッグマンでありながら走れる能力を持つ河野豊茂選手である。日本人離れした跳躍力と速攻の先頭を走れる脚力は、これからの日本代表にとって不可欠な存在となると期待されている。
もう一人、高いゲームコントロール能力を持つ黒川虎徹選手も挙げられる。彼は、コート上でどの選手が活きており、どこを攻めるべきかを瞬時に判断する能力に長けているため、優れた司令塔としての活躍が期待される。
さらに、190cmの身長と驚異的な身体能力を持つポイントガード、小川敦也選手は、日本のバスケ界に新たなフェーズをもたらす可能性を秘めている。彼がゲームコントロール能力をさらに習得すれば、日本バスケが長年抱えてきたサイズの課題を解決し、世界と渡り合えるゲームチェンジャーとなりうるだろう。