PIVOT TALK FOOTBALL
日本 vs オランダ 現地から徹底レポート
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2026年6月15日

6/15(月) 10時から生配信で、W杯サッカー日本代表の初戦、オランダ戦をレビューしました。 これは、アーカイブ映像です。 <ゲスト> 木崎伸也|スポーツライター 1975年、東京都生まれ。2002年夏にオランダへ移住。翌2003年から6年間、ドイツを拠点に欧州サッカーを取材。スポーツ誌『Num...
オランダ戦 劇的ドロー深掘り:森保ジャパン「準備の勝利」を専門家が分析
激闘となったオランダ戦は、日本代表が2度のビハインドを追いつく劇的な2-2のドローに終わった。 試合後、専門家の間では日本の戦術や森保監督の采配について活発な議論が交わされている。この結果を単なる引き分けと捉えるか、それとも「準備の勝利」と評価するか。 本稿では、書き起こしと要約から、この一戦で何が起こっていたのか、専門家の見解を交えながら深掘りする。

Q. オランダ戦で見えた森保監督の「我慢のサッカー」とはどのようなものか? 前半の日本はプレスがかからず、中盤でのボール奪取もままならない苦しい展開が続いたと木崎氏は見解を示している。しかし森保監督は会見で「うまくいかないように見えても、粘り強く続ければ相手がミスをする」と発言し、自身の戦略がプラン通りであったことを示唆した。 一方レオザ氏は、格上であるオランダ相手にはボールを持たせて5-4-1のブロックで守り、カウンターを狙うしかない「これしかない戦い方」であったと日本の戦術を肯定している。 練習でも、ミドルゾーンでの4-4-2気味の守備と、ディフェンシブサードでの5-4-1への可変システムが準備されており、戦術的柔軟性をもって試合に臨んでいた。

Q. 日本代表が喫したファンダイクのゴールは、どのようにして生まれたのか? ファンダイクからの失点については、事前の対策がしっかりと行われていた事実がある。 渡辺剛選手は、以前のイングランド戦での反省から、複数人で強力な選手をマークするようコーチ陣に自ら提案し、実際に最初のコーナーキックでは渡辺選手と堂安選手の2人がかりでマークしていた。この際、渡辺選手はファンダイクが「嫌がっている」と感じたと言う。 しかし失点は、最初のコーナーキックではなく、セカンドボールからだった。流れの中でのプレーとなり、2人でのマークが不可能となった日本の最終ラインが一度上げた後、マークの再整理が遅れてファンダイクをフリーにしてしまった。 これは現場判断のミスであり、渡辺選手自身もプレミアリーグではファウルにならないレベルの巧妙な押し合いに負けたことを「自分の反省点」として挙げる。指揮官には防ぎようのない「アドリブ」の部分での綻びであり、この経験は今後のセカンドボール対応における教訓となろう。
Q. 名波コーチ考案の「レーンまたぎ」が中村敬斗の同点弾をどのように生み出したのか? 中村敬斗選手の同点ゴールは、名波コーチが指導する「レーンまたぎ」という戦術の成功例として評価できる。 右シャドーの久保選手が左サイドに流れることで、そのエリアに数的優位を作り出し、オランダの守備組織を混乱させた。久保選手自身もこのプレーが決まったことに手応えを感じていたと語る。 オランダは急遽5バックで対応を試みたものの、システムに不慣れで守備に綻びが見られ、本来であれば埋まるはずのスペースを日本に突かれていた。 また、日本の守備がオランダの攻撃の要であるドゥンフリースを機能不全に陥れたことも、このゴールの要因に繋がった。中村選手のシュートも、ファーサイドを意識させ、ニアサイドの股を抜くという高度な駆け引きが光った。

Q. 2失点後に森保監督が実行した「ファイアフォーメーション」の意図とは? 2点目の失点は、後半になりオランダが縦パスを増やし、日本の運動量低下と共にボランチとシャドーの間にできたスペースを使われたことが起点であった。 特に中村選手は、相手の利き足とオーバーラップしてくるドゥンフリースという両方の脅威に対応を迫られ、判断に迷った隙を突かれている。鎌田選手のプレスバックも一歩遅れた。 しかし森保監督は、2失点後すぐに伊東純也選手らを投入し、3-1-4-2の「ファイアフォーメーション」を発動。これは0-1や1-2のビハインド状況を想定し、事前に準備していた反撃プランであったと見られる。 この交代策では、伊東純也選手を得意の右サイドシャドーに配置し、菅原選手とのコンビでクロス攻撃を強化。左サイドは好調の中村敬斗選手の単独突破を活かし、中央にはストライカーを2枚配置した。これにより、選手たちは迷いなく攻撃の役割を遂行できるよう明確な指示が与えられた。

Q. 終盤に生まれた劇的同点ゴールは、周到にデザインされたセットプレーだったのか? 2点目の劇的同点ゴールは、偶然の産物ではない。 猛攻によって得たコーナーキックを活かすため、綿密にデザインされたプレーが実行されたのだ。オランダの守備がゾーンとマンツーマンを併用することを見抜き、その穴を突いた。 鎌田選手はファンダイクの動きをブロックし、塩貝選手は別の相手DFをおとりのように引き付けて無力化。これにより中央に決定的なスペースが生まれた。 オランダ守備陣の注意がこの2人に向く間に、最もヘディングの強い小川航基選手が巧みにマークを外し、フリーでゴール前へ飛び込んだ。公式記録上は最後にボールに触れた鎌田選手のゴールだが、小川選手の動きと塩貝選手らの献身的なブロックにより生まれたチームの勝利であった。 オランダのデパイのコンディション不良や、若手選手の時間稼ぎ失敗など、相手の詰めの甘さも重なり、日本の執念が実を結んだ。

Q. 失点しても動じない「リバウンドメンタリティ」はどこから来るのか? 2度リードされてもすぐに追いつく「リバウンドメンタリティ」は、森保監督の長期政権で培われた「準備」の賜物だ。 チームは様々なスコア状況に応じた複数のプレーモデルを事前に用意しており、失点後も動揺することなく次の手に移行できる。実際に選手たちは「得点後・失点後には一度集まって状況を確認する」というルールを徹底し、1失点後もパニックにならずに我慢を継続する意思統一ができたと見られる。 レオザ氏は「森保さんのベストゲームだ」とまで評しており、選手やコーチが監督の意図を深く理解し、ピッチ内外で「戦い方のガイドブック」が完成しているからこその成果だと分析する。長年共に歩んだ経験が、監督の指示がなくても選手が自律的に判断し修正できる成熟したチームを育んだのだ。 森保監督自身が以前は避けていた「プレーモデル」という戦術用語を使ったことも、このチームの変化を象徴する。ボール保持に固執せず、状況に応じて最適な戦術を選ぶ柔軟な哲学が浸透しつつあるのだろう。

Q. 次戦チュニジア戦へ向け、日本代表が解決すべき課題とは何か? オランダ戦は劇的なドローに終わったものの、課題も浮き彫りとなった。 次戦のチュニジアは、引いて守ってくることが予想されるため、日本は「綻びゼロの状態からいかに綻びを作り出すか」という、前回のワールドカップで苦戦したテーマに再び向き合うことになる。これは「引いた相手を崩す」という、日本代表にとって長年の宿題だ。 解決の鍵となるのは、後方の選手たち(DFやボランチ)による効果的な配球と、ウイングとシャドーの選手がサイドで入れ替わりながら仕掛ける攻撃の質。攻撃的な選手に良い形でボールを供給できるかが勝負を分けるだろう。 守備面では、今回の2失点がいずれもウイングバックが1対1の局面で起点を作られたものであり、今後相手チームはこの穴を突いてくる可能性がある。彼らが孤立した場合にどう対応するかが課題だ。 また、ミドルゾーンでのプレスのトリガーが不明確で、ボールを奪いに行けずにズルズル後退させられる場面も散見された。勝利が必須となるチュニジア戦では、より積極的なプレスの改善が求められるだろう。