マーケット超分析
バフェットに学ぶ長期投資/専門家厳選の注目6銘柄
(1154)
1.7万回視聴
2026年5月30日

月イチで株式相場の解説を行う、「マーケット超分析」の5月回。後編のテーマは、「バフェットに学ぶ長期投資」。 <出演者> 柴田阿弥(MC) 木野内栄治|大和証券 チーフテクニカルアナリスト 1988年に大和証券に入社。 以来一貫してテクニカル分析業務に従事。 日経ヴェリタス「人気アナリスト」テクニ...
長期投資の極意: 栫井氏が選ぶ、日本株6選と銘柄選定の鉄則とは?
「素晴らしい企業を適切な価格で買い、素晴らしい企業である限り持ち続ける。」
このウォーレン・バフェットの言葉は、長期投資の本質を見事に表している。
日々の株価の変動に一喜一憂せず、企業の持つ本質的価値を見極め、時間を味方につけることこそが成功への鍵を握るだろう。
ここでは、株式投資アドバイザーでありつばめ投資顧問代表の栫井駿介氏が提唱する長期投資の哲学と、その厳格な基準に基づいて選定された日本株6銘柄について深掘りする。
成長の潮流に乗る「順張り」と、短期的懸念を乗り越えポテンシャルを秘める「逆張り」の双方から、将来を見据えた銘柄選びのヒントを探っていく。

Q. 長期投資において最も重要視すべき考え方とは何か?
栫井氏は、ウォーレン・バフェットの哲学を繰り返し強調する。
すなわち、「素晴らしい企業を適切な価格で買い、その企業が素晴らしい限り持ち続ける」という考え方だ。
日々の株価のアップダウンは基本的にはノイズと捉えるべきで、企業が永続的に生み出す利益に焦点を当てる必要である。単に割安な株を探すのではなく、その企業の持つ価値そのものが重要であり、良い企業を長期にわたり保有し続けることが本質だと語っている。
長期投資の目安期間は、最低でも5年以上とする。
企業の業績が株価に適切に反映されるには、それくらいの時間が必要となるからである。それ以下の期間では、株価はランダムな動きを示しやすく、企業価値に基づく投資の意義が薄れる。投資のスタンスとしては、企業の成長と共に歩む意識が不可欠となるだろう。
Q. 銘柄選定時に考慮すべき5つの重要なポイントとは何か?
栫井氏は、長期投資における銘柄選定のポイントを以下の5つに集約する。

EPS(1株当たり利益)の継続的な成長: 伸びている企業への投資は成功確率が高い
高水準のROE(自己資本利益率): 8%以上が望ましい。15%以上あれば複利で5年で倍になる可能性も
潤沢なフリーキャッシュフロー: キャッシュフローは嘘をつかないため、利益の質を確認できる
独自の勝ち筋(経済の堀): 参入障壁となり、高収益を維持する源泉となる
長期潮流に乗っているか: AIだけでなく、地味でも着実に伸びる市場も含む
特にフリーキャッシュフローについては、会計上の利益であるEPSが調整可能であるのに対し、現金であるフリーキャッシュフローは企業の実態を表すと指摘する。両方がプラスで推移する企業は盤石であると言えよう。
また、長期潮流はAIのような華やかな分野だけでなく、物流の3PLなど目立たないが確実な成長を遂げている分野にも存在すると語る。業界自体の成長に乗ることで、高い確率で資産を増やせるとする。
Q. 成長の潮流に乗る「順張り」の銘柄として、どのようなものがあるのか?
栫井氏は、「順張り」銘柄として東京エレクトロン、伊藤忠商事、ファーストリテイリングの3社を挙げる。
これら企業は強力な成長テーマや独自の強みを持ち、現在の市場の主役ともいえる存在である。ただ、高値警戒もあるため、それぞれの特性に応じた投資戦略が重要となるだろう。

東京エレクトロン: 半導体製造装置の世界的なサプライヤーとして、AI時代における強力な長期潮流の真っただ中にある。長年の顧客との信頼関係は「なくてはならない下請け」という経済的な堀を形成している。PER47倍と高値だが、AIのポテンシャルを考慮すればまだマイルドともいえる。買い時としては、半導体業界の高いボラティリティを利用し、TSMCの設備投資の「減額修正」発表時など、市場の不安による一時的な下落局面を狙うのが賢明だ。
伊藤忠商事: 他の商社と異なり、ファミマなどの「川下」つまり消費者向けビジネスに強いことが特徴だ。資源価格の影響を受けにくいため業績のブレが少なく、安定成長が期待できる。巧みなM&A戦略で高いROEを維持しており、近年では資源分野への再注力も示唆されているため、新たな成長ドライバーにも注目が集まる。
ファーストリテイリング(ユニクロ): 日本から始まり中国で成功、そして今、欧米市場で急成長を遂げる。長年の試行錯誤の末、成功を掴み取った。顧客が一度利用すると離れにくくなる高いリピート性や、「ライフウェア」として日常に根差した存在である点が強みだ。規模の経済を活かした高品質・低価格は、他社が模倣しがたい「堀」となっている。PERは常に高いが、日経平均が大きく下落するなどの個別要因外の調整局面、あるいは不況で競合が淘汰される時期はシェア拡大のチャンスにもなりうる。
Q. 短期的な懸念を乗り越える「逆張り」のポテンシャルを秘めた銘柄の魅力は何か?
「逆張り」銘柄として、ラクス、モノタロウ、住友林業の3社が選ばれている。
これら企業は、現在の市場が過小評価しているものの、中長期的には確かな成長ドライバーを持つと栫井氏は見ている。足元の株価調整は、まさにバフェットの言う「適切な価格で買う」好機である可能性を秘めているだろう。
ラクス: 「SaaS is dead」とも言われる時代だが、ラクスは中小企業向けに特化しており、自社でAIシステムを開発するより既存SaaSの方が効率的という強みを持つ。AIは脅威ではなく、むしろAdobeのように機能追加で値上げするチャンスともなる。経費精算のように正確性が求められる業務では、AIのランダム性が課題となるため、既存のSaaSの価値は揺るがないだろう。今後は、M&Aによりプラットフォームを拡大する成長戦略も期待される。
モノタロウ: B2B版Amazonとも呼ばれるこの企業は、既存顧客が毎年購入額を増やしていく「地層型成長モデル」が特徴だ。ネジ一本からプロ向けの細かな部品まで取り揃える専門性の高さが独自の堀を築いている。日本のインフラ老朽化に伴う補修需要や建設業界の人手不足は、モノタロウが現場から資材を迅速に供給するサービス価値をさらに高め、強力な追い風となるだろう。足元の株価下落は、MSCI指数の除外といった需給要因が大きいと見られている。
住友林業: バフェットが米国住宅会社に投資している事実から、もしバフェットが日本株を買うなら候補の一つになるという見立てだ。米国の住宅市場は慢性的な不足状態にあり、長期的な成長潮流が明確である。金利高で業績が一時的に低迷している今は、そのポテンシャルを「適切な価格」で仕込む好機となる。M&A戦略も特徴で、不況時に経営難に陥った現地のホームビルダーを安値で買収し、自社の技術で再生させることでシェアを着実に拡大している。将来的に米国の金融緩和や「50年住宅ローン」解禁などの政策変更があれば、株価が大きく飛躍する可能性がある。
Q. もし今、長期投資でたった1銘柄を選ぶとしたら何だろうか?また「落ちるナイフ」と「買い場」をどう見極めるのか?
栫井氏は、現時点であえて1銘柄選ぶとするなら「住友林業」だと答える。

短期的な金利高という逆風はあるものの、明確な長期成長ストーリーがあり、現在の株価は割安感があると見る。買ってからすぐに大きく上がるとは言えないが、配当を受け取りながら「買って忘れる」くらいの長期目線で仕込むのに適しているという。
多くの投資家が悩む「落ちるナイフ」と「買い場」の見極め方については、その企業が「本当に良い企業か」という一点に集約される。
良い企業だと確信できるなら、株価の下落は絶好の買い増しチャンスとなるだろう。底値は誰にも分からないため、下がり始めたら少しずつ買い増していく「ナンピン買い」も有効な戦略だと述べた。
市場が悲観論に包まれ、「もうダメだ、買いたくない」というセンチメントが広がる時こそが、歴史的には最大の買い場であることが多い。自身の感情に流されず、冷静に企業の価値を分析し、時間をかけて投資を続けることこそが、長期的な成功をもたらす鍵となるだろう。