ビジネス虎の巻
【コピペで使える】企画を成功に導く最強AI壁打ち
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2026年5月9日

「ビジネス虎の巻」、今回のテーマは「AIプロンプト」。BuySell Technologies執行役員・田中奏真氏が、AIを敵に回す 最強企画術を解説。 <ゲスト> 田中奏真|BuySell Technologies執行役員 マーケティング統括本部統括本部長 2006年に神戸大学経営学部卒業後、エ...
AIを「最強の敵」に設定するビジネス新常識: 企画を徹底的に磨き上げるAIプロンプト活用術
AIの活用はビジネスにおいて不可欠な要素となりつつある。多くのビジネスパーソンはAIを効率化や情報収集のツールとして利用するが、これとは一線を画す斬新なアプローチが存在する。「AIを最強の敵にする」という発想がそれだ。自分の企画をAIに徹底的に批判させ、あらゆる角度から弱点を洗い出すことで、企画の精度と実現可能性を飛躍的に高められる。これは単なるAIツールを超え、企画を磨き上げる新しい壁打ち相手を得ることを意味する。

Q. 企画を成功に導くためにAIはどのように活用できるのか?
企画は自分が良いと考えても、受け取る相手の立場や評価ポイントによってその評価は大きく異なる。社内での合意形成から顧客へのアピール、競合との差別化、潜在リスクの洗い出しまで、企画には多角的な視点からのブラッシュアップが不可欠となる。これまでの人手によるプロセスでは、多くの時間と労力が必要であった上に、見落としも発生しがちだった。
この企画磨きのプロセスをAIを活用することで効率化し、より質の高いものにするのが現代のビジネスパーソンに求められる新たなスキルである。特に、AIに「最強の敵」としての役割を与え、自分の企画を徹底的に批判させるアプローチが注目を集めている。この方法は、客観的かつ建設的なフィードバックを可能にし、感情的な障壁なしに企画のレベルアップに直結させることを可能にする。
Q. なぜAIを「最強の敵」として批判させる必要があるのか?
従来の組織では、上司や経験豊富な先輩からの厳しいフィードバックが企画の質を高めていた。しかし、現代のビジネス環境では、そのようなストレートな批判はハラスメントと捉えられかねず、忌憚ない意見が出にくい状況が散見される。これにより、企画の欠陥がそのまま見過ごされたり、手戻りが発生したりするリスクが高まっていた。
AIを批判者として設定するメリットは、感情を介さない客観的な指摘を、いかなる立場の人からでも引き出せる点にある。スポーツにおいて強敵との練習が己を強くするように、AIに企画を徹底的に叩かせることで、精神的な負担なく、純粋に企画の欠陥と向き合い、改善を重ねることが可能になる。これは批判を「顧客満足度を高めるためのプロセス」として捉え直し、企画の完成度を盤石にするための極めて有効な手段となるだろう。
Q. 企画力を向上させるAIプロンプトにはどのような視点があるのか?
優れた企画を実現するには、多岐にわたる視点からの検討が不可欠である。このアプローチでは、特に重要な4つの観点を軸にAIプロンプトを設定し、企画を多角的に検証する。これらの視点は、企画が成功するために乗り越えるべき「壁」を示すものでもある。
まず、社内の合意形成は企画の第一関門であり、「社内の壁を突破するAIプロンプト」は、チームや上司を納得させ、企画を通すための説得力を高める視点を提供する。次に、どんなに優れた企画でも顧客に響かなければ意味がなく、「顧客の心を掴むAIプロンプト」は、顧客が本当に求めていることや懸念していることを理解し、企画に反映させる手助けをする。また、市場競争は避けられず、「競合に差をつけるAIプロンプト」は、競合の動きを予測し、自社の優位性を確立するための戦略構築を支援する。最後に、あらゆる企画にはリスクが伴い、「リスクを先読みするAIプロンプト」は、実行に伴うコストや潜在的な問題を事前に洗い出し、リスクヘッジを可能にする。
これら4つの切り口でAIに批判させることで、一人では気づけない盲点を補完し、より確度の高い、強固な企画を生み出せる。これらのプロンプトを体系的に活用することで、企画全体の解像度と品質を飛躍的に高めることができるのである。
Q. AIに「社内の壁」を突破させるためのプロンプトの具体的な設定方法は?
AIに効果的な批判を行わせるには、まずAIに「どのような役割」を演じさせるかを詳細に設定することが最も重要である。例えば、超合理主義的な執行役員という役割を与え、PL(損益計算書)への影響、法務リスク、現場のオペレーション負荷を最優先する人物像を設定する。さらに、インサイドセールス、査定士、経理、法務、経営管理を各3年ずつ経験し、現在は全社のリスク管理を統括するといった、現実では一人の人間が持つのが困難なほど多岐にわたる専門知識と経験をAIに持たせることで、多角的な視点からの深い洞察を引き出せる。

回答条件では、「論理的な飛躍」「市場からの視点」「コストとリソース配分の矛盾」といった観点から、「容赦なく欠陥を指摘すること」を明確に指示する。当たり障りのない褒め言葉や妥協案を排除するよう設定する点が肝要だ。加えて、回答形式を箇条書き10点、重要度と影響部門の明記を求め、最後に「提案者が撤回したくなるような鋭い質問をさせる」ことで、思考を深く促し、次の改善ステップへと導く仕組みを構築する。
具体例として、ある企業が英字ロゴをカタカナロゴに変更する企画をAIに批判させたところ、AIはブランド資産の毀損リスク、莫大な実行コスト、物理的な資産変更に伴うコスト、商標権の問題、広告・SNSの変更作業など、経営、法務、経理、マーケティングといった複数部門からの多角的な欠陥を指摘した。これは、実際の現場で多くの時間と手間をかけて議論しなければ浮上しないような問題点である。
AIからの指摘は非常に辛辣で、最終的には「万が一計画が未達の場合、どの職を辞して責任を取る覚悟があるのか」といった強烈な問いを投げかける。この「予行演習」を経ることで、本番のプレゼンテーションで完璧な企画を提示できるようになる。さらに、特定の社内関係者の過去の発言やインタビュー記事をAIに読み込ませれば、その人物になりきった批判も引き出せ、特定の相手を説得するための戦略精度を極限まで高められるだろう。
Q. AIに「顧客の心」を掴むためのプロンプトはどのように活用するのか?
顧客の真のニーズを掴み、サービスをより魅力的にするためには、既存顧客だけでなく、「利用していない未顧客」の視点に立たせることが特に重要である。既存顧客は既にサービスにある程度の満足をしているため、厳しい本音が出にくい傾向があるためだ。
AIに「サービス利用を検討中の未顧客」という役割を与え、「企業側の都合には無関心で、少しでも面倒そう、自分に関係ないと感じたら即座にサービスから離れる」という、ウェブ上のユーザーにありがちなシビアな行動原理を指示する。また、マーケティング用語やお世辞、妥協案を一切排除し、「生活者の言葉で正直な不安や不満を述べる」ことを回答条件とする。これにより、忖度なしの率直な意見を引き出すことができる。

このプロンプトに対してAIは、英字ロゴからカタカナロゴへの変更企画に対し、「安っぽくなった」「近所のチラシ感が出て大事なものを預けるのが不安」「名前が変わって偽サイトではないかと疑う」といった、企業側の狙い(親しみやすさ)とは真逆の本音の懸念を表明した。これらは通常の顧客インタビューでは表面化しにくい、率直で辛辣な意見であり、顧客視点での決定的な弱点を早期に発見するための貴重なフィードバックとなる。
AIから得られたフィードバックはあくまで参考であり、全てを取り入れると企画が凡庸で尖りのないものになるリスクがある。批判の中から本質的な課題を抽出し、最終的には自分の「覚悟」と「美意識」に基づいて企画を尖らせ、意思決定することが重要だ。このプロセスは、若手ビジネスパーソンが多様な顧客視点を疑似体験して経験不足を補う上でも、またベテランが自身の凝り固まった思考を「アンラーニング(学習棄却)」し、新たな視点を取り入れる上でも極めて有効なスキルアップツールである。
Q. AIの批判を受け入れた上で、企画をどうブラッシュアップすべきなのか?
AIによる批判のプロセスは、あくまで企画の欠陥を網羅的に洗い出すことに主眼がある。その批判を真正面から受け止めた上で、具体的な改善策を検討するフェーズは別途設けるべきだ。両フェーズを明確に分離することで、批判は徹底的に行いつつ、建設的な改善議論へと円滑に移行できる。

無制限にAIとの壁打ちを続けると、終わりなく時間だけが過ぎる可能性もあるため、田中宗真氏が実践するように、AIとの対話回数を「5回まで」と自主的に制限するのも有効な戦略である。これにより、決められた時間内で最大限の改善を図るスピード感と効率性を両立させられる。AIとの壁打ちは、実際の会議における予行演習と同じ役割を果たす。最終的にAIが企画を承認するわけではないが、あらゆる側面からの批判に事前に晒されることで、企画は盤石なものとなり、自身の「覚悟」を持って市場に提案する自信と裏付けとなるだろう。成功はこうした入念な準備と、最終的な覚悟に基づいているのだ。