PIVOT TALK LIFE
「結婚しない」20代が急増。多様化するライフプラン
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2026年4月12日

20代の結婚に対する価値観が大きく二極化している。結婚に必要な世帯年収が「800万円」へと高騰する一方、女性を中心に「結婚しない」選択が急増。都市と地方で差がなくなった若者の価値観の変化や、「推し活」へ向かう消費行動の実態について、最新の調査データから読み解く。 <目次> 00:00 ダイジェスト...
20代の結婚・出産観とマネーの新潮流:「今」を生きる彼らの価値観を読み解く
現代の若年層は、人生の大きな節目である結婚や出産、そしてお金に対する価値観を劇的に変化させている。
SMBCコンシューマーファイナンスが12年にわたり実施してきた「20代の金銭感覚に関する調査」は、そんな変化の最前線を鮮やかに描き出している。
この調査結果を基に、従来の固定観念を打ち破る20代のライフイベント観とマネー意識の最新トレンドを深掘りしていく。

Q. 20代が結婚に必要だと感じる年収水準はどのくらいだろうか?
20代が結婚に踏み切るための世帯年収水準は高騰している。調査によると、半数以上が結婚を意識する世帯年収は「800万円」に達しているのだ。これは前年の調査から100万円も上昇しており、物価高などの社会経済状況が若者の結婚に対する経済的ハードルを押し上げている実態を如実に示している。
さらに、子どもを一人育てていくために必要だと感じる世帯年収は「900万円」と、こちらも前年から100万円の上昇を見せた。これは、子育てに伴う費用負担の大きさと、それに対する不安感が強まっている証左と言えよう。
Q. なぜ20代は、年収が高くても結婚や出産をしたくないと考える人が増えているのだろうか?
興味深いことに、高年収を求めつつも、「年収がどんなに高くても結婚したいと思えない」と回答した20代は3割を超え、この割合は前年から大幅に増加している。出産や子育てに関しても同様に、「年収が多くても出産・子育てをしたいと思えない」層は34.1%に達し、3人に1人以上が子育てをライフプランに含めていない実情があるのだ。
この現象は、単に経済的な理由だけで結婚や出産を回避しているわけではないことを示唆する。若者の価値観が多様化し、個人の生き方や自己実現を優先する傾向が強まっていると分析できるだろう。
Q. 特に20代女性の結婚意向が低下しているのはなぜだろうか?
時系列データを見ると、特に20代女性の間で「年収に関わらず結婚意向なし」と回答する割合が2021年以降に急増し、わずか4年でほぼ2倍に跳ね上がっていることがわかる。これは男性と比較しても顕著な変化である。この背景には複数の要因が考えられる。

一つは、女性の社会進出が進み、正規・非正規雇用を問わず就労者数が増加したことだ。これにより、経済的に自立する女性が増え、結婚をせずとも豊かな生活を送れるという選択肢が現実的になったと考えられる。
また、2022年以降の急激な物価高騰も無関係ではない。消費者物価指数の上昇時期と女性の結婚意向低下時期が酷似しており、生活費の増加が結婚や子育てという大きな変化への踏み出しを躊躇させる一因となっている可能性がある。
さらに、現状の子育て支援策、例えば一時的な給付金についても、子育て中の母親たちからは「継続的な支援」や「これなら産もうと思えるインパクトのある施策」を求める声が聞かれ、根本的な不安解消には至っていないようだ。
Q. 都会と地方で結婚や出産に対する価値観に違いはあるのだろうか?
意外なことに、結婚や出産に対する意向について都市部と郊外を比較したところ、年収への意識や「そもそも結婚・出産したくない」という傾向において、大きな地域差は見られなかった。つまり、結婚や出産を望まない若者の増加は、特定の地域に限られた現象ではなく、日本全国で進む社会全体のトレンドであることがデータで裏付けられたのである。
「地方の方が結婚が早い」といった従来の肌感覚とは異なり、情報化社会の進展によって、地域を問わず多様なライフスタイルや価値観が共有され、均質化している可能性も示唆していると言えるだろう。
Q. 賃上げで増えた20代の収入は、何に使われているのだろうか?
賃上げや初任給アップにより、20代の年収は増加傾向にあるものの、その増加分は結婚や将来への備えといったライフイベントには直接結びついていない実態がある。
彼らの消費動向は、「自分が価値を感じるもの」への投資に集中している。具体的には、美容、健康、リスキリングなどの「自己投資」が挙げられ、平均で月約7,190円を費やしている。
さらに顕著なのは、熱中しているアイドルやキャラクターなどを応援する「推し活」で、約35%が平均月12,150円を投じている。特に女性は男性より約3,000円多く消費しており、中には月3万円以上を費やす層も存在する。この傾向は、「今しかできない体験」や現在の満足度を追求する若者の意識を反映している。

Q. 「婚活疲れ」の現状や、既婚者が結婚に際して妥協したことは何だろうか?
結婚への意向がある人は全体の6割を超えるものの、そのうちの75.9%もの人が「婚活疲れ」を感じているという。年々上昇する年収などの条件に見合う相手が見つかりにくいことや、相手に好意を持ってもらう難しさが背景にあると考えられる。
一方、既婚者への調査では、結婚相手に求めていた条件のうち最終的に「妥協したこと」の1位が「容姿」、2位が「年収」という興味深い結果が出た。
これは、婚活中に重視されがちな高年収という条件も、最終的には容姿と同様に、他の要素とのバランスや現実を鑑みて妥協されるケースが多いという実情を示している。理想と現実のギャップが婚活疲れを生み出し、結婚の形そのものに影響を与えているようだ。
Q. 従来のライフイベントにとらわれない、20代の新たな価値観とはどのようなものだろうか?
調査全体を通じて明らかになったのは、「30歳までに結婚、35歳までに出産」といった画一的なライフモデルがもはや過去のものであるという認識だ。特に女性においては、年収の高低に関わらず結婚や出産を回避する傾向が顕著であり、これは個人のキャリアや生き方を優先する強い意志の表れと言えるだろう。
現代の20代は、世間的な「幸せ」の標準を無理に追い求めることなく、自分だけの「推し」や、若さゆえに享受できる「今しかできない体験」に戦略的に投資する。彼らは、不確実な未来に投資するよりも、確実な「現在の自分」を充実させ、成長させることに価値を見出しているのだ。

このような「今を生きる」価値観は、消費行動にも表れ、賃上げで得た収入を自分自身のアップデートや趣味の充実へと惜しみなく投じる。彼らにとって、他者に依存しない自己充足と、経験を通じた自己成長こそが、誰にも裏切られない最高の資産なのである。