ビジネス虎の巻
すごい言語化/世界の一流が実践する「最高のプレゼン術」
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2026年3月30日

「ビジネス虎の巻」、今回のテーマは「説明術・言語化術」。後編では、世界の一流が実践する「最高のプレゼン術」を専門家が解説。 <ゲスト> 犬塚壮志|教育コンテンツプロデューサー 元駿台予備学校化学科講師で、担当した講座が3000人以上を動員する超人気講座に。 化学受講者数で予備校業界日本一となる。現...
ビジネスを加速させる「伝わる」技術とは?AI時代に差をつける最強の言語化戦略
現代ビジネスにおいて、「伝わる」能力は極めて重要である。特にデジタル化が進んだ社会では、情報の正確な伝達だけでなく、相手の心を動かし、行動を促すためのコミュニケーションスキルが不可欠となる。
本記事では、多岐にわたるビジネスシーンで実践できる、言語化力を高める具体的な戦略や非言語的テクニックを、Q&A形式で解説する。本質的な言語化術を学び、明日から実践し、あなたのビジネスコミュニケーションを劇的に改善させるためのヒントを得られるだろう。

Q. なぜ今、自身の思考を的確に言語化する力がこれほどまでに求められているのか?
コロナ禍以降、コミュニケーションは劇的に変化した。チャットやオンライン会議が主流となり、LINEのスタンプや絵文字でのやり取りも増加したため、私たちは自分の頭の中にある漠然としたイメージや信念、思いを「言葉」として具体的に表現する機会が激減したのである。

これにより、多くの人が「言語化する」こと自体を苦手とするようになり、自己の考えを的確に言語で伝える「言語化力」の重要性が、かつてないほど高まっているのが現状である。
Q. 曖昧な表現を避け、自身の考えを具体的にする「言葉の粒度」を高める訓練方法は何か?
言語化力を鍛える第一歩は、「ヤバい」や「うざい」といった便利な言葉を安易に使わないことである。これらの言葉に頼ると、思考が停止し、言葉の解像度が低下する。
そこで実践したいのは「3つのフレーズで語る」訓練だ。例えば、美味しいラーメンを食べた際に「このラーメン、ヤバいですね」で終わらせるのではなく、
チャーシューがとても大きい。
スープが驚くほど澄んでいる。
麺の喉ごしが良い。
このように具体的な3つの要素で表現する練習を繰り返すのだ。言葉の粒度を上げることで、表現力は格段に向上し、自身の思考もクリアになる。これは「やばい」だけでは許されない環境で半年も訓練すれば、誰でも身につく能力だと言う。
Q. 人の心を動かし、行動を促す「動詞」の力はどこにあるのか?
ビジネスの根幹は、相手に行動変容を促すことである。そのため、コミュニケーションにおいて最も重視すべきは「動詞」の活用だ。「ヤバい」が形容詞であるのに対し、動詞は直接的な行動を喚起する力を持つ。
具体的な行動を促すには、抽象的な指示ではなく、効果的な動詞を盛り込むのが極めて重要である。「ちゃんと磨いて」と言う代わりに、「キュッキュッと音がするまで磨いて」と伝えれば、相手は具体的な行動をイメージでき、むしろ楽しみながらタスクを実行できる。
相手を動かしたいのであれば、語りかけに具体的な動詞を豊富に取り入れ、行動を具体的に促すようにすべきである。
Q. 説明力を格段に高める「比喩」を効果的に使うにはどうすればよいか?
比喩は強力な説明ツールだが、一歩間違えれば相手を混乱させ、情報伝達のノイズとなる「ハイリスク・ハイリターン」な手法だ。失敗しないためには、
多くの人が共通認識を持つであろう普遍的なジャンルを選び、「相手が100%知っている」と確信できるものに絞るべきである。具体的には、
料理
スポーツ(特に野球のようなメジャーなもの)
動物
国民的アニメ(ドラえもん、ワンピースなど)
これらのジャンルを活用すると良い。例えば、「説明とは相手に手料理を振る舞うことだ」と例えれば、相手の好みやアレルギーへの配慮の重要性が瞬時に伝わる。

また、擬人化は目に見えない概念をイメージしやすくする有効な手段だが、実在の人物、特に評価が分かれる著名人を例に出すのはリスクが高い。ドラえもんのジャイアン、スネ夫、のび太のように、誰もが共通して力関係をイメージできる架空のキャラクターを使うのが最も安全で効果的だ。
比喩を使う最適なタイミングは二つ。一つは話の冒頭で、専門的な内容への抵抗感を和らげる「掴み」として活用する場合だ。もう一つは、話が難しくなり、相手の顔に戸惑いの色が浮かび始めた際に、理解を助ける「補助線」として用いることである。乱用せず、効果的な瞬間に絞って使えば、比喩はあなたの説明力を劇的に高めるだろう。
Q. AIに代替されない、あなた自身のオリジナリティあふれる言葉を生み出す方法は何か?
AIが台頭する時代において、人と同じ言葉ではいずれ代替される。「自分ならではの言葉」を生み出すため、以下のような訓練法がある。
まず、「AはとんでもないBである」という思考法を実践する。自分とは全く関係ない「とんでもないB」を設定し、無理やりにでも共通点を探す試みだ。
「私はたわしである。」→ 「人の心の汚れを確実に落とす。」
「私はまな板である。」→ 「私自身は何も作らないが、私の上で多くの料理(学生・新人)が作られる。」
この強制的な発想の飛躍が、AIには不可能なユニークな自己表現につながる。
次に、トヨタ生産方式に由来する「なぜなぜ5回」も有効だ。一つの事象に対し「なぜ?」を5回繰り返すことで、表面的な理由の裏に隠された本質的な動機や真理に到達できる。例えば「手書きが良い」という主張を深掘りすると「知らない自分を発見できる」という普遍的な価値にたどり着く。
「なぜなぜ5回」の途中で論理的に行き詰まった時こそ、創造性のチャンスだ。論理で説明できない部分を直感や想像で飛び越えることを「クリエイティブ・ジャンプ」と呼ぶ。この「飛躍」こそが、AIでは模倣できない人間ならではの発想の源泉であり、オリジナリティを生み出す鍵となる。
Q. プレゼン、会議、オンライン会議、それぞれのビジネス場面で役立つ具体的なテクニックはあるか?
【プレゼン】聞き手の能動性を引き出すには、スライドにあえて「空白」を作るのが有効だ。完璧に情報を網羅するのではなく、聞きたいと思わせる「余白」を意図的に設け、質疑応答時に満点の回答を示すことで、相手の満足度と信頼感を劇的に高められる。
また、非言語コミュニケーションも重要だ。腕組みは閉鎖的な印象を与えるため、手のひらを開くジェスチャーで心を開いている姿勢を示す。さらに、最も重要な箇所ではケネディ大統領が用いた「ケネディチョップ」(手刀を打つ仕草)を使い、言葉の説得力を視覚的に強化すると良い。

【会議】意見が対立する場面では、感情的にならず、一度相手の意見を受け止めるクッション言葉が重要である。「なるほど、〇〇ですね」と要約し、相手の視点を尊重する姿勢を見せる。
その上で、逆説の「しかし」ではなく「その上で」という接続詞を使う。これにより、相手を肯定しつつ自身の意見を伝える建設的な議論を促進できる。新入社員などの立場が弱い者は「経験が浅いですが」「お客さんの立場で話しても良いですか」といった枕詞を添えるのも有効だ。
【オンライン】対面よりも情報量が伝わりにくいオンライン環境では、「1.2倍の法則」を意識すべきである。声のトーンや表情を普段より2割増しにすることで、ちょうど良い熱量が相手に伝わる。表情豊かに、声に張りを持たせよう。
また、画角も重要だ。目の動きが伝わるため、顔のアップは避け、身振り手振りが映る「バストショット」が望ましい。カメラより少し上に視線を置くことで、資料を見るために顔を下げる回数を減らし、より対話的な印象を与えられるだろう。
Q. 最高のコミュニケーションを築き、「また会いたい」と思われる存在になる秘訣は何か?
言語化や説明は、単なる情報伝達のスキルに留まらない。それは、異なる背景を持つ相手と「部分的にでも同じ世界を共有する」ための、本質的にワクワクする行為だ。
まず一つでも今回紹介したテクニックを実践し、相手に「伝わった」という成功体験を得ることで、コミュニケーションへの苦手意識は楽しさに変わる。
究極の言語化力とは、小手先のテクニックの前に「目の前の相手を好きになる」ことにある。人間は動物であり、誰もが最初は相手を警戒する「人見知り」が本能だ。しかし、相手のどんな小さな点でも良いので好きな部分を見つけ、「この人が好きだ」と思って接することで、その好意は必ず相手に伝わる。
この好意が、強固な人間関係の土台となり、細かなテクニックを超えた「またこの人に会いたい」と思わせるコミュニケーションへとつながるだろう。