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ゼロから学ぶ暗号資産
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2026年2月12日

ゼロから学ぶ暗号資産 <ゲスト> 田中康浩|アセットマネジメントOne 商品本部 商品開発部 リテール・プロダクト開発チーム チーム長 2007年、興銀第一ライフ・アセットマネジメント(通称:DIAM、現アセットマネジメントOne)入社 アリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン、ティー・ロ...
「ゴールドラッシュを掘るな、ツルハシを売れ」:新常識となる暗号資産関連株式投資の魅力
デジタル経済の台頭により、暗号資産市場は過去10年間で516倍という驚異的な成長を遂げ、その時価総額は現在約495兆円に達した。この成長速度はAI市場にも匹敵すると言われる。
かつて「投機」の対象として見られがちであった暗号資産は、現在「投資」の対象として世界的に地位を確立しつつある。
しかし、直接暗号資産に投資するのではなく、その成長の恩恵を株式投資で取り込む新たな戦略が注目されている。本稿では、この「暗号資産関連株式ファンド」を通じて、知られざる暗号資産の世界と新たな投資の機会について解説する。

Q. 暗号資産とはどのような資産で、他のデジタルマネーと何が違うのか?
暗号資産はインターネット上でやり取りできるデジタルな資産を指す。国や企業が価値を保証しているわけではない。代わりにブロックチェーン技術により、銀行や国といった特定の管理主体を介さず、ネットワーク全体で取引記録を共有し成立している新しい金融インフラである。

電子マネーや法定通貨との最大の違いは「換金性」にある。SuicaやEdyなどの電子マネーは民間企業が発行する前払い式の決済手段であり、一度チャージすると基本的に円に戻せない。
しかし暗号資産は、取引所で売却すればいつでも法定通貨(円など)に戻せる資産である。これが決定的な相違点だ。
Q. 暗号資産の価格はなぜこれほど乱高下するのか?また、その価値はどのように担保されているのか?
暗号資産の価格が大きく変動する理由は主に二つある。一つは、従来の株式のようなPERやPBRといった明確な企業価値評価指標が存在しないためである。価格は需要と供給、そして投資家の心理に大きく左右される。もう一つは、株式市場と異なり、値動きの上限・下限(ストップ高・ストップ安)がなく、24時間365日取引されているため、より大きな変動が生じやすい。
一方で、その価値を保つ独自の仕組みも存在する。ビットコインは発行量が2100万枚と上限が定められており、希少性が担保されている。イーサリアムでは、取引手数料の一部が「バーン」(焼却)され、市場から供給量が減少する仕組みを持つ。ネットワーク利用が増えるほどバーン量も増え、希少性が高まる設計だ。また、不正防止のために高額な預託金を没収されるペナルティ制度も存在し、これらがシステム全体の信頼性と価値維持に貢献している。
Q. ビットコインETF承認や法整備の進展が暗号資産市場に与える影響は何か?
2024年1月に米国でビットコイン現物ETFが承認されたことは、暗号資産市場に画期的な変化をもたらした。一つ目の大きな変化は、公的年金基金のような機関投資家が、規制に準拠した形でビットコインをポートフォリオに組み入れることが容易になった点である。二つ目の変化は、一般投資家が専用の取引口座を開設せずとも、使い慣れた証券口座を通じて手軽にビットコイン投資に参加できるようになったことだ。これにより、市場の流動性や安定性が向上し、ボラティリティも低下傾向にある。
各国での法整備も進展しており、特に法定通貨に連動する「ステーブルコイン」の役割が重要視されている。日本は2017年に世界に先駆けて法整備に着手しており、暗号資産分野の規制先進国として位置付けられている。2025年の改正資金決済法では、暗号資産サービスの仲介業への参入を容易にし、銀行や家計簿アプリなど多様なプラットフォームでのステーブルコイン利用が拡大する見込みだ。
Q. 暗号資産市場は今後どのように発展し、どのような社会実装が進むのか?
暗号資産市場は、過去10年で516倍という驚異的な成長を遂げ、今後のさらなる拡大が見込まれている。この拡大は、単に投資市場としてだけではなく、社会の様々な側面でブロックチェーン技術の活用が進むことによって加速する。実際に、家電量販店でのビットコイン決済や、フリマアプリでのメルペイチャージといった形で、既に身近な決済手段としての導入が始まっている。

さらに、地方自治体のふるさと納税において、ウイスキー樽の所有権をトークン化し、売買可能とする事例のように、権利の流動化やコミュニティ形成への応用も進む。画期的なのは、配車サービスUberが運転手への報酬を乗車の都度、ステーブルコインで支払う実証実験を開始したことだ。これにより、銀行送金よりも格段に安い手数料(1万円の送金でわずか5円程度)と即時支払いが可能になり、給与支払いの概念を大きく変える可能性を秘めている。デジタル決済の新たなインフラとして、暗号資産が社会に深く浸透していく展望が広がっているのだ。
Q. 暗号資産に直接投資するのではなく、「関連企業」への株式投資が推奨される理由とは?
「ゴールドラッシュで最も儲けたのは、金を掘った者ではなく、ツルハシやジーンズを売った者である」という歴史的な教訓が、暗号資産市場の投資戦略においても当てはまる。すなわち、高ボラティリティの暗号資産そのものに直接投資するよりも、市場拡大の恩恵を受ける関連ビジネスを展開する企業への株式投資が有効だ。暗号資産関連ビジネスはAI市場にも匹敵する成長力を持ち、株式投資を通じてこの成長を取り込む戦略は、NISAの成長投資枠も活用でき、税制面でも有利である。
具体的な注目企業の一つが「マイニング企業」だ。彼らはビットコイン採掘だけでなく、その膨大な計算施設を「AIデータセンター」としてAI企業に貸し出すことで、新たな収益源を確保している。例えば、米国のライオットはAIデータセンター貸し出し契約を長期で結び、ビットコイン価格変動に左右されない安定収益を得始めた。また、新規上場企業の「Figure」は、米国の住宅ローンプロセスをデジタル化し、住宅の含み益を担保にしたローン取引をスマートフォンで完結させる革新的なサービスを提供している。法整備に則った信頼性の高いステーブルコイン(USDC)を発行する「サークル」もまた、魅力的な投資対象と言えるだろう。こうした未開拓な成長分野は、個人投資家には見つけにくいが、関連株式ファンドであれば専門家が発掘し投資している。
Q. 暗号資産関連株式ファンドで投資するメリットと、注目すべき企業はどのようなものか?
暗号資産関連株式ファンドは、主に以下の6つのビジネス領域に投資する。マイニング企業、暗号資産の保管を行う受託銀行(カストディ)、決済・送金サービス提供企業(PayPalなど)、暗号資産交換所、証券取引所、そして運用会社である。このように多様な関連ビジネスに分散投資することで、暗号資産エコシステム全体の成長の恩恵を取り込むことを目指す。

このファンドの最大のリスクは暗号資産市場の価格変動の大きさ(ボラティリティ)にあるが、このボラティリティは裏を返せば、割安な時期に優良銘柄を仕込む「リターンの機会」でもあると考えることができる。ファンドは既存の「コア資産」(全世界株など)に加える「攻めのサテライト資産」として位置づけられ、ポートフォリオの収益源を多様化する。また、暗号資産の直接投資にかかる最大55%の総合課税と異なり、ファンドはNISAの成長投資枠の対象であり、税制面で非課税や約20%の分離課税という大きな優位性を持つ。
ファンドの真骨頂は、個人投資家では難しい優良銘柄の発掘力にある。運用チームはシリコンバレーに50年拠点を構え、足で稼いだ情報と強固なネットワークを駆使して、まだ一般には知られていない、次に大きく成長するであろう約20社の有望企業を常に追跡している。このようなプロの知見と銘柄選定能力が、このファンド投資の大きな意義である。