PIVOT TALK SPECIAL
藤田代表に聞く「維新の経済政策」。歳出削減を本当にできるのか?
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2026年2月3日

消費税減税ばかりに注目が集まる経済政策議論。今回の衆議院選挙で各政党はどんな経済政策を掲げているのか?各党のリーダーたちに聞いた。 <ゲスト> 藤田文武|日本維新の会 共同代表 筑波大卒業後、高校教員を経て豪州等に留学。スポーツマネジメントを修める。帰国後、関連企業で経営に参画し独立。2012年維...
高市政権の経済政策、維新が切り開く未来か?食料品減税、歳出改革、供給サイド改革への視点
今日の経済政策議論は複雑な課題に満ちている。インフレ、円安、財政赤字といった問題に対し、日本維新の会の藤田文武代表は独特の視点と具体的な改革案を提示した。
本稿では、同氏と経済学者・中室牧子氏の議論を通じ、消費税、社会保障、経済成長戦略、そして自民党との連携における維新の立ち位置と改革への覚悟を深掘りする。

Q. なぜ維新は食料品に限定した消費税減税を主張するのか?
一律での消費税減税は、大規模な減収を招き、需要を過度に刺激して物価高を加速させる恐れがある。過去の事例では、減税分が消費者に還元されず、結局は物価が下がらなかったというエコノミストの指摘が多い。

これに対し維新は、賃金上昇が追いつかず家計を直撃する物価高に対応するため、食料品に限定した消費税減税を提案している。これは、一律減税によるマクロ経済への悪影響を最小限に抑えつつ、生活困窮者へのピンポイントな支援を実現する施策である。
食料品限定減税の財源は約5兆円。これは、効果が薄いとされる賃上げ税制の見直しをはじめとする歳出改革や税収増で賄う考えを示している。さらに、この減税を2年間の時限措置とし、その間に給付付き税額控除へ移行することで、より持続可能で真に困窮する人へ届く再分配システムを構築する方針だ。欧州での一時的な減税措置では、元に戻す際に物価が大幅に上昇する「リバウンド効果」も報告されており、恒久化ではなく計画的な移行が求められている。
Q. 膨張する社会保障費・社会保険料削減の道筋は?
日本維新の会は、社会保険料の削減、あるいは少なくとも引き上げの抑制を目指してきた。実際に、社会保険料の上昇は避けられたものの、依然として削減には至っていない現状がある。
その背景には、高齢化に伴う医療費の自然増があり、現状の年間48兆円の医療費は2040年には80兆円に達するという予測だ。これに対し維新は、無駄の削減と効率化で対応する。
具体的には、全国で余っているとされる11万床の病床削減によって約1兆円の医療費削減効果を見込む。また、市販薬(OTC薬)で代替可能な医薬品について自己負担割合の引き上げも実現した。これらは痛みを伴う改革だが、持続可能な社会保障制度には不可欠だと主張する。

しかし、根本的な課題は医療費の増加ペースを上回る国民所得の増加が実現できていない点にある。そのため、医療改革と同時に経済成長戦略を両輪で進める必要性がある。医師会などの既得権益の抵抗は強いが、しがらみのない維新だからこそ、これらの改革を断行できるという立場を示している。
Q. ばらまきではない「責任ある積極財政」の具体策とは何か?
藤田氏は、「責任ある積極財政」が単なるばらまきではなく、「責任ある歳出改革」とセットで初めて機能すると強調した。これは、企業が事業に投資するのと同じで、大胆な投資は必要だが、成果が出ない場合は迅速に撤退・修正する「スクラップ&ビルド」の機能を政府も持つべきだという考えである。
現在の行政事業レビューは形骸化しており、具体的な成果よりも、当初目標達成を正当化する側面が強いと指摘。この問題を解決するため、予算全体を俯瞰し、優先順位をつけ直す権能を持った「政府効率化局」の創設を提唱した。これは、部分最適に陥りがちな現状に対し、全体最適を目指すものだ。
また、税金(財務省)と社会保険料(厚生労働省)という縦割りで管理されている徴収を一元化するため、「歳入庁」の設立を訴えた。これにより、国民全体の負担構造を可視化し、デジタル化を通じて個人の状況に応じた支援を効率的に実施できる「給付付き税額控除」の基盤を整備できるとする。
こうした改革には省庁間の強い抵抗が予想されるが、歴史的経緯や実務的な困難さを理由に二の足を踏まず、明確な政策思想に基づいたゴールを目指すべきだと維新は主張している。
Q. 日本経済成長に必要な「供給サイド改革」はなぜ進まないのか?
日本経済の長期的な課題として、人手不足と生産性の低さという「供給サイド」の問題が指摘されている。現状の経済政策が財政出動や消費税減税といった「需要サイド」の刺激に偏ることで、供給能力が追い付かず、かえってインフレを加速させる懸念があると藤田氏は危惧する。
真の成長を促すためには、規制緩和を通じた供給サイド改革が不可欠である。例えば、ライドシェアや自動運転の社会実装は労働力不足を緩和し、生産性向上に貢献するはずだ。また、介護や障害福祉分野においても、現場の実態に合わない人員配置基準を見直すことで、効率化と人員確保のバランスを取ることが可能だ。これにより、現状から10〜15%の人員最適化が実現する可能性もある。
しかし、こうした規制緩和には、既存業界や業界団体からの強い抵抗が伴う。藤田氏によれば、最大の抵抗勢力は業界団体と密接な関係を持つ自民党自体である。自民党は選挙において票に繋がりやすい補助金やばらまき政策を優先する傾向にあり、痛みを伴う規制緩和には消極的だ。そのため、しがらみに縛られない維新こそが、供給サイド改革を推進する「エンジン」としての役割を果たす必要があると訴える。
Q. 成功する産業政策とは何か?「副首都構想」は成長にどう寄与するか?
政府主導の産業政策は、中国のような国との国際競争において必要な場合もあるが、成功させるには重要な原則がある。それは、政府の「目利き」は完璧ではないという前提に立ち、投資した事業がうまくいかない場合は、ためらわず即座に撤退・修正する「スクラップ&ビルド」の機能を確立することである。これができなければ、無駄な投資が残り続け、経済成長を阻害しかねない。
現状の産業政策の意思決定プロセスには課題がある。例えば、高市政権の産業政策である17の重点分野は、それぞれが縦割りのワーキンググループで議論されており、横断的な連携や全体最適な視点が欠如している。アジャイルな政策転換や柔軟な官民連携には、トップの強力なリーダーシップと、各分野を統合する仕組みが必要だ。
維新が推進する「副首都構想」は、災害時の首都機能バックアップという危機管理的な側面に加え、日本の経済成長を牽引する拠点としての可能性を秘めている。単なる首都機能の分散に留まらず、副首都を規制緩和の特区と位置づけ、「スーパーシティ」構想と連携させることで、AIやIoTといった未来技術の社会実装を試みる実験場として機能させることが可能だ。これにより、経済発展の新たな起爆剤となると期待する。
Q. 行き過ぎた円安を是正するために、政治はどのような役割を果たすべきか?
現在の円安水準について、藤田氏はこれ以上の急激な進行は国民生活、特に輸入物価の高騰を通じて悪影響を及ぼす「ギリギリのライン」にあると認識を示した。多くのエコノミストも円安が日本の経済にとってポジティブに作用しているとは考えていない。
政治が為替介入や金融政策に直接口を出すことは、中央銀行の独立性を損ないかねないため、避けるべきだ。その代わりに、政治が果たすべきは「王道」の政策である。具体的には、歳出改革を断行し、財政規律への信頼を市場から勝ち取ることが求められる。
政治が、ばらまきではない堅実な財政運営を行うことで、市場は日本財政への信頼を取り戻し、結果的に為替の安定や長期金利の抑制につながる。日銀が政治圧力に晒されることなく、データに基づいて冷静かつ独立した判断を下せる環境を整備することこそが、政治の最も重要な役割であると藤田氏は語った。
Q. 自民党内での改革を断行するために維新が果たすべき役割は何か?
高市総理は、公明党との連立を解消したことで、これまで政治的なしがらみから解放され、本来実現したかった改革を断行できる状況にある。維新の掲げる改革路線と高市総理の思想は多くの点で一致しており、これは日本政治を変える大きな好機だと藤田氏は捉えている。

しかし、自民党は巨大な組織であり、多くの既得権益と結びつき、改革に後ろ向きな勢力も少なくない。歳出改革や規制緩和といった痛みを伴う改革は、自民党単独では進めることが極めて困難であると指摘する。選挙で票を失うことを恐れ、「減らす」政策よりも「使う」政策が優先されるため、自民党内には構造的な抵抗が常にある。
この現状を突破するために、しがらみがなく、改革を党是とする維新が自民党と共に政策を推進することが不可欠だという。積極財政と歳出改革の両輪を回し、供給サイド改革を断行し、既得権益に切り込む「改革のエンジン」としての維新の役割こそが、高市政権の改革を成功させ、停滞する日本経済を成長軌道に乗せる鍵となる。