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SFが現実に? テクノロジー期待度ランキング
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2026年1月28日

恐るべきスピードで技術が進歩する現代。 2030年の社会はどうなっているのか? 日経BPクロスメディアで最新のテクノロジーを取材する尾崎憲和氏が、今知るべき技術10選を厳選。 <ゲスト> 尾崎憲和|日経BPクロスメディア編集部 日経BPで15年以上にわたり、IT・技術系メディアの編集と執筆に従事。...
SFの世界が現実となる!未来を変える6つの注目技術
かつては夢物語とされた「空飛ぶ車」や「AIによる自己開発」が現実となりつつある現代。SFの世界が私たちの日常に浸透し始める今、どのような技術が未来を形作っていくのか。日経BPの専門家たちが総力を結集して編纂した書籍『未来を作る100の技術』から、ビジネスパーソンが2030年までに押さえるべき最先端テクノロジーを深掘りする。

本稿では、未来の技術を紐解きながら、これらの進化がもたらす産業や社会への影響、そして新たなビジネスチャンスについて、日経BPクロスメディアで最新のテクノロジーを取材する尾崎憲和氏が解説する。未来を見据え、今から行動するための羅針盤となるだろう。
Q. 日経BPが編纂した『未来を作る100の技術』とは、どのような書籍か?
『未来を作る100の技術』は、日経BPの各専門誌編集長や研究者など50人以上が厳選した「現在進行形」の技術をまとめた書籍である。空想や想像ではなく、まさに開発現場で動いているリアルな技術に焦点を当てており、数年後から数十年後の未来を予測する上で極めて現実的な指針となる。
この書籍の最大の特徴は、100人を超える日経BPの執筆・編集陣が関わった「総力戦」によって作られている点だ。広範かつ多角的な視点から集められた情報は信頼性が高く、未来の動向を読み解く上で示唆に富む内容となっている。読者はこの本を通して、未来の社会を構築している「工事現場」を覗き見るような感覚で、新たな発見を得ることができる。
Q. 読者アンケートに基づく「2030年テクノロジー期待度ランキング」では、どのような技術が上位を占めているか?
日経BP読者を対象としたアンケート調査による「2030年のテクノロジー期待度ランキング」では、社会変革への期待が高い技術が並んだ。具体的には、光量子コンピューター、全固体電池、核融合といった基礎的かつ基幹となる技術が上位を占めている。

特筆すべきは、単なる革新性だけでなく、社会課題の解決に直結する技術への期待の高さである。例えば4位にランクインした建設ロボットは、深刻な人手不足に悩む建設現場において、AI活用による生産性向上と安全性確保の切り札とされている。その他、走行中ワイヤレス給電はEVの利便性を飛躍的に高め、ペロブスカイト太陽電池は建物壁面での発電を可能にし、エネルギー問題の解決に寄与すると期待されている。
このランキングは、技術そのものの進捗度だけでなく、それが社会にどう受け入れられ、どのような影響を与えるかという期待値も反映しており、ビジネスにおける注力分野を考える上でも重要な情報源となる。
Q. SFの世界が現実となりつつある空飛ぶ車の正体と、その普及の現状はどうなっているか?
「空飛ぶ車」と聞くと、SF映画に出てくるような未来的な乗用車を想像しがちだが、その実態は「電動垂直離着陸機(eVTOL)」、つまり大型のドローンである。ヘリコプターと異なり、複数の電気モーターとAIによる姿勢制御で垂直離着陸するため、操縦に高度なスキルを要さず、将来的には自動運転も可能になる。この技術は既に成熟段階にあり、2028年のロサンゼルスオリンピックでは公式輸送手段として活用が計画されるほど、実用化が間近に迫っている。

世界では、航空機メーカーの予測として2040年までに3万機が導入され、30億人の乗客を輸送する可能性があるという試算も出ている。日本では、2025年大阪万博でのデモ飛行が予定されている他、東京・築地市場跡地や大阪・森ノ宮地区などの大規模再開発プロジェクトで発着場の設置構想が進む。これにより、新たな都市交通インフラとして、駐車場だけでなく空飛ぶ車の発着場がビルに設置される未来が現実味を帯びている。
当面は個人が所有するものではなく、物流、エアタクシー、災害救助など、短距離・軽量の貨物や人輸送において、既存の交通手段では難しかった柔軟な移動手段として活躍が期待される。文字通り「荷物を飛ばしといた」という言葉が日常になる日もそう遠くないだろう。
Q. リチウムイオン電池に代わる次世代技術として注目されるナトリウムイオン電池には、どのような特徴があるか?
スマートフォンや電気自動車の普及に伴い、欠かせない存在となったリチウムイオン電池だが、その代替として「ナトリウムイオン電池」が急速に注目を集めている。最大の利点は、原料であるナトリウムが海水から無限かつ安価に調達可能であることだ。高価なレアメタルであるリチウムに依存することなく、資源の供給安定性や地政学リスクを大幅に低減できる可能性を秘めている。

性能面でも、ナトリウムイオン電池は優れた長寿命と高い安全性を誇る。充放電サイクル寿命はリチウムイオン電池の約10倍とされており、製品の長期間使用を可能にする。また、発火しにくいという特性は、消費者の安全安心に大きく寄与する。既に市販のモバイルバッテリーとしても登場しており、そのメリットを体感できる機会も増えている。
唯一の課題は、エネルギー密度がリチウムに劣り、同容量ではバッテリーサイズが大きくなる傾向にあることだが、この弱点は用途によって克服可能である。特に、自動車のように一定の設置スペースが確保できる電気自動車(EV)では、中国BYDが量産を開始するなど導入が進む。さらに、再生可能エネルギーを安定供給するための大規模な「蓄電所」においても、その長寿命性と安全性、コストパフォーマンスから主役となる可能性を秘めており、エネルギー問題の切り札として期待が集まっている。
Q. AIが自らプログラム開発を担うAI駆動開発は、ITエンジニアの仕事にどのような変化をもたらすのか?
AIがシステム開発の一部、あるいは全体を担う「AI駆動開発(AI-driven Development)」は、SF的な響きを持つが既に実用化が始まっている技術だ。これは、AIが人間の言葉による曖昧な指示(例:「緑色の背景でこんなホームページが欲しい」)を解釈し、自律的にプログラミングコードを生成する「バイブコーディング」といった手法を包含する。システム開発における要件定義、設計、プログラミング、テストといった工程のうち、特に人手の掛かるプログラミングやテストの部分をAIが代行することで、開発効率の大幅な向上が見込まれる。
しかし、AIの急速な発展は、ITエンジニアの仕事に大きな影響を与えることも示唆している。一部のプログラマーのリストラ事例が示唆するように、単純なコーディング業務はAIに代替される可能性が高い。これにより、エンジニアが不要になるという懸念も広がっている。
しかし、ITエンジニアが完全に職を失うわけではない。求められる役割がより高度なものへと変化すると予想されている。具体的には、①システム全体を構想し、設計するアーキテクト的役割、②生成AIを正確に指示し、活用できる能力、③過去に人間が作った膨大な既存システムを、AIが生成したシステムへと円滑に移行させる橋渡し役、といった専門性が重視される。AI駆動開発は、IT業界全体の生産性を高めると同時に、エンジニアには時代の変化に適応し、常にスキルをアップデートしていく必要を突きつけているのだ。
Q. 量子コンピューターの出現が現在の暗号にもたらす「2030年問題」とは何か?
現在のインターネット通信の安全性を支えるのは、主にRSA暗号と呼ばれる技術だ。これは、巨大な数の素因数分解の困難性を利用しており、今日のコンピュータでは事実上解読不可能とされている。しかし、量子コンピューターが実用化されると、この素因数分解問題が容易に解かれる可能性が指摘されており、既存の暗号システムが脆弱になる「2030年問題」が迫っている。米国の標準技術研究所(NIST)は、RSA暗号の推奨使用期限を2030年としており、この期限までに新しい暗号技術への移行が世界的に求められている。
この問題で特に警戒されているのは、「今盗んで後で解読(Harvest Now, Decrypt Later)」という脅威である。これは、サイバー犯罪者や国家機関が、現在暗号化されていても将来的に量子コンピューターで解読される可能性がある機密情報を、今のうちに大量に盗み出し、未来の解読に備えるというものだ。たとえ今日安全と思える情報も、数年後には第三者に暴かれるリスクをはらんでいる。

この新たな脅威に対抗するため、量子コンピューターでも解読が困難とされる新しい数学的問題に基づいた暗号技術「対量子暗号(PQC:Post-Quantum Cryptography)」の開発と導入が急務となっている。PQCへの移行は、インターネットを利用するすべての企業やサービスプロバイダーにとって避けられない課題であり、2030年に向けての技術基盤の再構築は、現代社会のデジタルセキュリティを維持する上で不可欠な、国際的な安全保障上の課題と言えるだろう。