2026超予測
2026年 採用のプロが明かす生存戦略|「量から質」へ
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2026年1月10日

2026年 転職バブルで重要視される量ではなく質の時代。 転職バブルと言われるものは何が起きているのか? スキルの棚卸しをする相手の最適解は人?AI?なぜ転職が必要なのか? 人材紹介・コンサルティングの領域を専門としている パソナ常務執行役員の岩下純子氏とコンサルティング統括部の山田将人氏に聞いた。...
2026年 転職市場の超予測:『量より質』の時代を生き抜くカギ
激変する現代社会において、個人のキャリアを左右する転職市場もまた大きな転換期を迎えている。
2026年、私たちを取り巻く転職環境はどのような様相を呈するだろうか。活況が続く市場で、これまでとは異なる「量より質」の採用へと変化が進む。特にAI時代の到来は、求められるスキルや人材像に決定的な影響を与えている。
本稿では、最新のトレンドを分析し、これからの時代を力強く生き抜くために個人が意識すべき点について深掘りする。変化の波をチャンスに変え、自身のキャリアを主体的に形成していくための道筋を示していく。

Q. 転職市場の「バブル」は本当に終わったのか?
転職市場の活況自体は今後も継続すると見て良いだろう。中途採用はもはや特別なことではなく、「当たり前」のキャリアパスとして定着した。
総務省の転職者比率の推移からも、就業者における転職者の割合は上昇傾向にある。ただし、「転職バブル」という側面、つまり経験が浅くても採用されるポテンシャル採用は縮小に向かう。

コンサルティング業界の動向がこれを象徴している。数年前の若手大量採用フェーズが一段落し、今は獲得した人材を育成する期間に入った。大手ファームの新卒採用も好調であるため、中途市場における未経験ポテンシャルの求人は減少傾向にある。今後は量的な拡大よりも、企業の課題解決に直結する専門性を持った即戦力人材が求められる「量より質」の時代が加速すると予測される。
若者にコンサル業界が人気を集めた理由の一つに、「キャリアのモラトリアム期間」としての側面が挙げられる。
給与やステータスもさることながら、多様な企業の経営課題に触れ、自身の興味分野や適性を見極めながらビジネス基礎力を集中的に習得できる環境が高く評価された。この傾向は続き、キャリアの入り口として依然魅力的であると言えよう。
Q. AI時代に企業が求める「推進力」とは何か?
AI技術の進化は、求められるスキルの変化を決定づけた。キャリアアドバイザーを対象とした調査では、過去3年間で76%が求められるスキルが変わったと回答し、その最も大きな変化は「推進力」の台頭であると報告された。

AIが資料作成や議事録作成といったジュニアレベルの定型業務を代替する今、人間には課題の発見、関係者の巻き込み、プロジェクトを前進させる力が一層強く求められているのだ。
プロジェクト推進力:単なるITプロジェクトに留まらず、業務改善や新しい価値創出のため、多様な利害関係者をまとめ、物事を成し遂げる能力を指す。
課題発見力:組織や業務における根本的な問題点を見抜き、その解決策を導き出す力である。
主体性:指示を待つだけでなく、役職や肩書に関わらず自ら積極的に行動し、周囲を動かしていく姿勢のこと。
DX力:最新のデジタル技術を活用し、業務プロセスを革新していく力。
キャリア自律:自らのキャリアプランを主体的に考え、学習し、実現していく姿勢。
これらのスキルは、低成長時代において生産性を向上させ、新しいビジネスを生み出す上で不可欠な要素となっている。企業側も求人票に応募要件としてこれらのスキルを明確に記載しており、「大規模プロジェクトの統括経験」などを具体的に求めるケースが増加している。個人の「推進力」をいかに言語化しアピールできるかが、今後の転職活動の鍵を握るだろう。
ITリテラシーにおいても、単にツールを使えるレベルではなく、事業の課題に対しどのITツールが最適かを見極める「目利き力」が重要となる。プログラミングができなくても、ベンダーマネジメントを通して最適な解決策を実現できる能力は高く評価される。
AIにおいても、個人レベルでの活用経験から一歩進んで、業務プロセス全体に組み込み、具体的な生産性向上に貢献できる人材が企業から求められている。AIエージェント関連の求人が増え始めたことは、その現れと言えるだろう。
Q. 女性の転職市場が活況を呈している背景とは何か?
女性の転職市場には強い追い風が吹いている。
転職者比率では男性を上回り、特に管理職の決定数における女性の伸び率が著しい。これは、キャリアアップを目指す女性にとって好機であることを示唆する。
背景には、コロナ禍を経て社会に定着した「働き方の柔軟化」が大きく寄与している。
テレワークやフレックスタイム制などの普及により、出産や育児といったライフイベントとキャリアの両立が以前よりも容易になった。かつては時短勤務での転職は極めて稀だったが、今では子育て世代の女性もキャリアを諦めず、自身のスキルと経験を活かせる場を選べるようになったのだ。
また、企業が女性活躍推進法の施行や人的資本経営の開示義務などを受け、積極的に女性活躍に関する情報を発信するようになった点も大きい。

求職者は企業SNSや採用コンテンツを通じて、ロールモデルとなる女性社員の活躍する姿を具体的にイメージできる。これにより、「この会社なら自分も長く、いきいきと活躍できるかもしれない」という共感や期待が生まれ、より積極的にキャリアチェンジを図る傾向が見られる。
企業が多様な働き方を提供し、「女性が活躍できる環境」を整備することは、結果的に全ての従業員にとって働きやすい環境を作り出し、採用市場における競争力強化に直結している。この動きは今後も加速するだろう。
Q. 後悔しないキャリア選択のために、個人は何をすべきか?
活況な転職市場にあっても、全ての人が転職すべきというわけではない。
最も重要なのは、自身のキャリアの軸を明確にし、自身の価値観と照らし合わせて納得感のある選択をすることだ。転職はキャリア構築の「選択肢の一つ」であり、決して「ゴール」ではないことを忘れてはならない。
そのためには、自身の実績や専門性を「言語化」するスキルを磨く必要がある。自身の過去の経験をただ羅列するのではなく、「AI時代に求められる推進力として、どのような貢献ができたか」「どんな課題を発見し、誰を巻き込んで解決に導いたか」といった視点で棚卸しし、具体的なエピソードとして語れるように準備しておくのだ。
定期的なキャリアの「棚卸し」と「価値観の整理」が不可欠である。どのような仕事や状況で「ワクワク」し、どのような時に「気持ちが動いたか」を振り返ることで、自身の市場価値だけでなく、譲れない価値観や「キャリアの軸」が明確になる。
この自己分析が、転職の要否や目指すべき方向性を判断する羅針盤となる。
この棚卸しは一人で完結するものではない。キャリアアドバイザーや信頼できる友人、家族など、他者との対話を通じて深まることが多い。
AIは迎合的な回答をしやすい傾向があるため、客観的かつ建設的なフィードバックが得られる人との対話が有効である。他者とのやり取りの中で、自分では気づかなかった強みや経験の価値を再認識できる。
キャリアの軸がはっきりしていれば、「人のためになる仕事」「私だからこそできた仕事」といった個別の価値観に基づき、目先の不満に囚われず、現職での挑戦を続ける選択も可能となる。自身のスキルと価値観を言語化し、常に自身の市場価値を把握しておくことが、来る2026年、そしてその先の未来を切り拓く重要な第一歩となるだろう。