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箱根駅伝2026 優勝予測
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2025年12月31日

第102回箱根駅伝を前に、芝浦工業大学 駅伝部監督の徳本一善氏、“3代目山の神”の神野大地氏が大会を徹底分析。順位予想から各大学の戦略、注目の選手を聞いた。聞き手はノンフィクションライターの泉秀一氏。 ▼プロフィール 神野大地(M&Aベストパートナーズ 陸上部 プレイングマネージャー) 中学で陸上...
史上稀に見る大混戦!箱根駅伝2026年大会をプロが徹底分析
今年の箱根駅伝は史上稀に見る混戦が予想される。大学駅伝の指導者や実業団で選手として活躍する二人の識者が、それぞれの知見から優勝候補とレース展開を徹底的に分析する。彼らは何を見て、何を予想するのだろうか。そのプロの視点に迫る。

Q. 「三強」か「五強」か?今年の箱根駅伝が例年にない混戦と言われるのはなぜだろうか?
今年の箱根駅伝は実力が拮抗しており、予想が非常に困難であると識者たちは語る。優勝候補については、「三強」(青山学院、駒澤、中央)と、これに國學院と早稲田を加えた「五強」という二つの見方が存在している。

徳本氏は、優勝が見えるのは「三強」だが、それを崩す可能性を持つ「グラデーションのある五強」と捉えている。一方、神野氏は、全体的なレベルアップにより明確な序列はなく「五強」と見るのが自然だと語る。
Q. 両識者の一致する優勝候補とその根拠とは?また、異なる視点の3位予想にはどのような違いがあるだろうか?
両識者とも1位に中央大学、2位に青山学院大学を予想した。
中央大学を1位と予想する理由は、1万メートル平均タイムがトップである総合力の高さにある。さらに、夏に「走り込み」重視のトレーニングにシフトしたこと、藤原監督と選手たちが「優勝」を明確に公言できるようになった精神的な成長が大きな要因である。出雲と全日本での結果は疲労によるものであったが、全日本2位で箱根への手応えを掴み、メンタル面でも仕上がったと見られている。

青山学院大学が2位と予想された背景には、箱根駅伝における圧倒的な経験値と原監督の勝負強さがある。徳本氏は青学が1位でもおかしくないほど実力差はないと見ており、出雲での不調から全日本で修正する展開は昨年の勝利パターンと同様であると指摘した。しかし、エースの黒田選手以外に「乗るか反るか」の選手が多く、安定性において一歩劣ると分析された。
3位予想については、徳本氏が駒澤大学を挙げた。駒澤は他校をかく乱する「ゲームを壊せる」存在と評され、特に復路6区を走ると予想される伊藤選手の力が鍵となり、往路で1分以内の差であれば復路での逆転も十分にありうるという。一方、神野氏は國學院大学を3位に挙げた。國學院は往路を担う「カルテット」の力が強力だが、彼らが期待以上の走りをしない限り優勝は難しく、復路の選手層において上位2校には及ばないと分析している。
なお、早稲田大学は今年は優勝争いに絡むのは難しいと評価されたものの、2〜3年後には強力な新入生たちによって優勝を争うレベルに達すると予測された。
Q. 駅伝の勝敗を占う上で「1万メートル平均タイム」のようなデータはどれほど意味を持つのだろうか?また、監督たちが駆使する「情報戦」の重要性とは?
1万メートル平均タイムはチームの総合力や選手層の厚さを示す重要な指標であり、長距離である箱根駅伝においては上位チームとの相関関係が高いと両識者とも認めている。しかし、タイムだけでなく、ロード適性、登り下りの得意不得意、さらには当日の天候など、データだけでは読み解けない多様な「変数」を考慮する必要がある。
レースの勝敗は、監督同士による激しい「情報戦」にも大きく左右される。徳本氏が過去に1区に留学生を起用した際には、他校の監督から配置を探る連絡が相次いだ経験があると語った。戦力が拮抗している時ほど、相手の出方を予測し、自チームの区間配置を決定する心理戦が常に行われているのが実態である。
Q. 往路、特に1区と2区の展開が箱根駅伝の行方に与える影響は大きいと言われるが、具体的な予想はどうだろうか?
往路のレースは、1区で中央大学が先行し、他校がそれにどう対応するかが焦点となる。各校は中央の逃げを警戒するため、昨年のような大差はつきにくく、30秒以内の混戦で2区に襷が渡されると予想される。もし有力校以外の選手が飛び出した場合は、優勝争いをするチームはそれを無視して、あくまでライバル校とのタイム差に注力する。
2区はレースの最大の勝負どころだ。青山学院のエース、黒田選手は他校のエースより1分速く走る可能性があり、ここで1分以上の差をつけられれば、青学がそのまま独走態勢に入ることも十分にありうる。他校にとっては、30秒以内で食らいつくことが必須条件である。また、11月の記録会で27分台の好タイムを出した選手が多いが、その疲労が箱根で響く可能性も指摘され、ピーク調整の難しさが波乱の要因となりうるとも言われる。
Q. 山の区間(5区・6区)や復路の展開において、優勝戦線に絡むために各大学はどのような戦略を取ることが予想されるだろうか?
今大会は「山の神」と称される絶対的なエースが存在しないため、5区(上り)の展開は予測が難しい。4区終了時点で1分以内の差に複数のチームがいれば、5区のパフォーマンス次第でどのチームにも往路優勝のチャンスがあるだろう。特に早稲田大学は5区に実績のある選手を擁しており、4区終了時点で1分半差以内ならば、5区での逆転往路優勝の可能性も秘めている。
復路の鍵を握るのは6区(下り)で、駒澤大学の伊藤選手がゲームチェンジャーとなる可能性が高いとされている。彼は他校の選手よりも1分近く速いタイムを出すと期待されており、往路の遅れを一気に挽回できるかもしれない。一般的に、6区終了時点で先頭にいるチームがそのまま優勝する確率が非常に高いとされ、1分以上の差がつくと復路での逆転は極めて困難になるとされている。

エース級の選手が復路に配置される場合、それは戦略的な温存ではなく、怪我や体調不良といった不安材料を抱えている可能性が高いと識者は指摘する。したがって、復路にエースがいたとしても、それが必ずしも「逆転の切り札」になるとは限らないと判断される。
Q. なぜ近年、大学生ランナーのレベルが飛躍的に向上し、多くの選手が好記録を出しているのだろうか?
大学生ランナーのレベル向上の大きな要因は、厚底シューズの普及とそれに伴う指導者と選手の「マインドセットの変化」である。以前は不可能と思われていたタイムでも「自分たちも出せる」という意識が浸透し、挑戦的な練習に取り組むようになった結果、記録が大幅に向上した。現在では、「28分台は当たり前、エースは27分台でないと認められない」という意識が広まり、日本長距離界全体のレベルが底上げされている状態だ。この高速化の流れはまだ続くと予想される。
Q. ケニア人ランナーが日本の大学駅伝で果たしている役割と、彼らが日本陸上界にもたらす影響にはどのようなものがあるのだろうか?
ケニア人選手が日本に来る最大の動機は、自らの家族の生活を支えるためである。母国ではランニングが唯一の成功の象徴とされており、彼らにとって日本は実業団への「登竜門」となる。彼らは単なる助っ人にとどまらない。日本人選手にハングリー精神と多様性をもたらし、チーム全体のレベルアップに貢献する。異文化の中で共に生活することで、国境を越えた強い絆が生まれることも多い。
彼らをマネジメントする際には、文化や価値観の違いから難しい面もある。特に大学では金銭的インセンティブの提供が難しく、モチベーション維持に課題を抱えることもある。一方、実業団では結果に応じた報酬体系が確立されており、これがモチベーションとなっている。識者らは、現在の日本長距離界のレベルは高く、オリンピックで入賞を果たす実績があるため、「世界で戦えていない」という評価は、メダルへの期待が過度であるために生じているという見解を示している。