THE DEEP SHOW
日本の未来へ緊急提言
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2025年12月31日

東野幸治が三木谷浩史に鋭く切り込む「THE DEEP SHOW」。加藤シルビアも巻き込まれたTBS買収騒動の舞台裏、そしてイーロン・マスクが三木谷に漏らした本音とは。日本の未来へ向けた熱き提言まで、剥き出しの本音トークが炸裂する。 <ゲスト> 三木谷浩史|楽天グループ代表取締役会長兼社長 一橋大学...
楽天・三木谷浩史が語る日本経済再生の処方箋
楽天グループ創業者の三木谷浩史氏が、日本経済の現状と未来について語った。かつて楽天がTBS買収に動いた理由から楽天モバイル事業の独自戦略、「懲罰的な」税制がもたらす弊害、そして中央集権体制の課題まで、多岐にわたるテーマにわたって、日本の取るべき道を明確に提示した。このQ&A形式の記事は、三木谷氏が指摘する日本の根深い問題と、それを乗り越えるための具体的な処方箋を探るものだ。

Q. かつて楽天はTBSの買収を試みた。その狙いは何だったのか?
楽天がTBS買収を検討した理由には、大きく二つあった。第一は「ネットとテレビの融合による新ビジネス創出」である。インターネットとテレビが融合すれば、他にないサービスが生まれると三木谷氏は見ていた。もう一つは「日本の衰退を食い止めるためのジャーナリズム復活」だ。日本が緩やかに衰退する中で、欧米のCNNやFOXニュースのように、メディアが明確な方向性を示す報道が国を良い方向へ導くと考えていた。
現在の日本のテレビ報道は、特定の立場を持たずに真ん中を取りに行く傾向があり、結果としてビジョンが見えにくい状態であった。当時の報道に対しては、疑問符がつくような違和感があったと言う。現在はテレビ局の買収には「もういいかな」と興味を失っており、モバイル事業を基盤としたプラットフォーム提供やAIを活用したライブショッピング、海外コンテンツ配信に注力する戦略へとシフトしていると話す。

Q. 楽天モバイルが日本市場に参入した理由と、「完全仮想化」とは何か?
楽天モバイル参入の根本的な理念は、「携帯電話の民主化」である。三木谷氏は、携帯電話のネットワークは現代における「デジタルの道路」と捉え、誰もが適正な価格で高品質に利用できるべきインフラであると主張する。国内の携帯市場が主要三社に独占され、利用料金が高い状況を打開し、家計負担の軽減を目指したのである。高速道路が無料であるべきという発想が、デジタルの道路にも適用されるべきという考えが根底にある。
この「携帯電話の民主化」を実現するためのカギが「完全仮想化」技術である。従来の携帯電話ネットワークは、信号処理に高価な専用ハードウェアを使用しており、それが高い通信料金の要因となっていた。楽天はこれを、市販の安価な汎用サーバーとソフトウェアで代替する世界初の取り組みを導入したのだ。汎用チップは大量生産され価格が安く、ムーアの法則により性能向上が速い。この革新的な技術により、設備投資と運用コストを従来の4割削減し、大幅な低価格化を可能にしている。

Q. 楽天モバイルの「一石三鳥」モデルとは具体的にどのようなものか?
楽天モバイル事業は、単なる通信事業にとどまらない「一石三鳥」のモデルを確立していると三木谷氏は語る。第一は、携帯事業単体での収益化である。第二に、楽天経済圏全体への貢献だ。楽天モバイルのユーザーは、楽天市場でのショッピング利用が平均で6割から7割増加するというデータがあり、他のサービスへの送客効果も非常に大きい。そして第三に、自社開発した「完全仮想化」技術を海外の通信事業者へ販売する収益である。
当初は「絵に描いた餅」と批判されることもあったが、同技術は世界に先駆けて実現され、現在では既存のハードウェアベースのネットワークよりも高いパフォーマンスを発揮しているという。マスコミからは大失敗と報じられることもあるものの、契約者数は1000万件に迫り、ネットワーク品質も向上している。このようにモバイル事業を楽天エコシステムの中核として位置づけ、その成功を着実に収めつつあると語った。

Q. AIは楽天経済圏をどのように進化させるのか?
AIは楽天経済圏において、これまでのショッピング体験を根本から変えるだろうと三木谷氏は予測する。現在の検索機能はキーワードのマッチングが中心だが、AIの進化により、ユーザーの意図や文脈を理解する「意味検索」へと移行する。例えば、「今日のテレビ出演に合う服が欲しい」といった曖昧な要望にもAIが応え、適切な商品が提示されるようになる。TikTokやInstagramのアルゴリズムのように、ユーザーが意識しないまま好みの商品に出会える「パーソナライズされた買い物体験」が主流になるだろう。最終的には、現在の「買い物かごに入れてカード番号を入力する」といったプロセスは陳腐化し、AIとの対話を通じて、よりシームレスな購買体験が実現する。
また、AIの進化と並行して「通貨」の概念も変わりつつあると話す。ステーブルコインのような新たな通貨の形が台頭し、ネット上での取引は一層加速するだろう。このようなキャッシュレス化は、日本経済に莫大な恩恵をもたらす可能性がある。日本の現金取り扱いコストは年間5兆円にも上り、これが全てデジタル決済に移行すれば、新たな経済価値を生み出す。この変革を推進するには、政府が「マイナポイント」のように期間限定で強力なインセンティブ施策を打ち出し、デジタル決済の優位性を国民に示すことが不可欠だと提言する。
Q. 日本経済の停滞は税制にあるのか?「懲罰的な税制」とは何か?
日本の税制は、長期的な経済成長戦略を欠き、「ぶん取れるところからぶん取れ」という短絡的な財務省のロジックに陥っていると三木谷氏は強く批判する。これは、努力して成功を収めた個人や企業に対する「懲罰的な課税」であり、経済全体の活力を削いでいる。日本経済は過去30年間で、ドルベースで見るとマイナス成長に陥っており、これは政府の経済政策が誤っていた証拠だ。
例えば、スペインは「ベッカム税制」を導入して高所得者の所得税率を20%に抑え、イタリアは肖像権に課税しないなど、各国は優秀な人材を引きつけるために戦略的な税制を採用している。しかし日本は、所得税率が56%にも達する世界でも有数の高税率国家であり、キャピタルゲインや配当にも二重課税が行われている。このような状況では、グローバルな競争力を持つ人材や企業は税率の低い国を選び、日本を避けるのが当然だと指摘した。
適切な税制とは、税金を安くすれば民間の投資や消費が促され、経済が「2回転、3回転」して成長し、結果としてより多くの税収が得られるという発想であるべきだ。政府が税金で富を再分配するよりも、資本主義のメカニズムで資金を循環させる方が経済は健全に成長すると強調した。しかし日本は、この長期的な視点を欠き、単年度の収支合わせに固執するあまり、成長の芽を摘んでいると警鐘を鳴らす。

Q. 日本の政治・中央集権体制は経済成長にどう影響しているか?改革は可能か?
日本の成長を阻む要因として、中央集権体制の硬直性を挙げる。例えば「地方税」は名ばかりで、その税率や配分は国によって決められ、地方自治体に自助努力の余地がない。これにより、地方は国からの交付金に依存する社会主義的な構造となり、地域間の健全な競争が生まれず、国全体のダイナミズムが失われていると指摘する。
アメリカのように州ごとに税率や規制が異なれば、企業や人々はより良い条件を求めて移動し、経済的な活性化につながる。地方分権を進め、各地方が税率や独自の規制(例:自動運転の認可)を決められるようになれば、その地域は自律的な成長戦略を描き、地域間の競争が始まる。これが日本全体を活性化させる上で不可欠だと主張した。
また、日本の過度なリスク回避文化がイノベーションを阻害していると懸念を示す。自動運転技術が顕著な例で、些細な事故が起これば、開発途中の技術全体が「悪」と見なされ、その進展が全面的に停止する傾向がある。社長がすぐに頭を下げるような文化では、自動運転のような新しい挑戦は決して進まないだろうと厳しく断じた。
Q. イーロン・マスクが語ったベンチャーの役割から見る、日本に必要な変革とは何か?
三木谷氏は、イーロン・マスクが語った「ベンチャーの役割は国家権力への反逆だ」という言葉を引用し、日本の現状を変えるために必要な「突破力」の重要性を強調した。マスク氏は、テスラの初の死亡事故が発生した際にも、「年間に人間の運転で10万人もの死者が出ている中、テスラはまだ1人だ」と述べ、短期的な問題に囚われず、長期的な視点でイノベーションを推進する姿勢を見せた。このエピソードは、現状の常識や規制を打ち破り、新たな価値を生み出す気概がいかに重要かを物語る。
しかし日本は、小さな事故が起きただけで新技術が全面禁止となるような「ゼロリスク志向」が根強く、これがイノベーションを阻害している。このままでは、日本の成功者やベンチャー企業は海外で活動することが合理的だと考え、流出してしまうだろうと警鐘を鳴らす。かつて東京にあった国際企業の多くのアジア本社がシンガポールなどに移転したように、日本から優秀な人材も企業もいなくなってしまう可能性に直面していると締めくくった。
