PIVOT TALK LIFE
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2025年12月27日

日々の疲れを癒してくれる温泉。アクセスや効能から「自分にぴったりの温泉地」の探し方は?効率的な温泉旅行のスケジュールの立て方は?全国500ヶ所の温泉を巡った温泉ライターの永井千晴氏に聞いた。 ▼プロフィール 永井千晴|温泉ライター 学生時代に温泉メディアのライターとして、半年間かけて日本全国の温泉...
会社員にとって、短い休暇を最大限に活用し、心身ともにリフレッシュできる温泉旅行は魅力的なものである。しかし、準備不足の旅行は疲労につながる可能性もあるだろう。このガイドでは、会社員として働く人々が、効率的で満足度の高い温泉旅行を実現するための実践的な知恵を紹介する。旅行術のコツを押さえ、理想の温泉体験を実現しよう。
会社員が温泉旅行を満喫し、かつ翌週に疲れを残さないためには、休暇の計画が重要である。温泉ライターの永井氏は金曜日の午後休を推奨する。これは、土日のどちらか一日を家事に充てることが可能になり、溜まった家事に追われることなく旅行の疲れも癒せるからだ。金曜午後から旅立つことで、週末をフル活用しつつ、家事とのバランスも取れる。逆に月曜に休暇を取る方法は推奨できない。朝から仕事の連絡が来て、旅行中の開放感が損なわれ、結局仕事のことを考えてしまうからである。

旅行のスタイルに応じて最適な温泉地は変わる。短時間で気分転換をしたいなら、アクセスが容易な熱海が理想的である。東京から新幹線でわずか30分という立地に加え、駅周辺に温泉街がコンパクトにまとまっているため、移動のストレスが少ない。3〜4時間の滞在でも温泉とグルメを楽しめる。箱根の場合、小田原から箱根湯本、さらに各温泉地への移動が必要で、熱海とは異なる体験だ。
友人との週末旅行では、欲張らずに宿を満喫する「直行直帰」を強く勧める。観光名所を巡るために無理なスケジュールを組むと、帰宅が遅くなり、疲れが翌週に残る原因となる。特に箱根のような場所では、観光客が多く、バスの待ち時間や交通渋滞で移動が大幅に遅れることは珍しくない。チェックイン時間に宿へ直行し、チェックアウト後はまっすぐ帰路に着くことで、十分な休息が取れ、日曜日の午後を家事や休息に充てることが可能だ。
混雑と高騰を回避する鍵は「逆張り戦略」にある。一般的に旅行客が多いハイシーズンや連休をあえて外し、オフシーズンを狙うのだ。例えば、ゴールデンウィークや年末年始などの大型連休は多くの人が旅行に出かけ、宿の料金も高くなる。しかし、この時期をわずか1〜2週間ずらすだけで、混雑を避け、宿泊費用も抑えられる可能性が高まる。具体例として、海水浴シーズンがピークの海辺の温泉地には冬に、スキー客で賑わう雪山の温泉地は避けるなどが挙げられる。

また、イベントに合わせて逆張りをするのも効果的である。例えば、多くの人がクリスマスに洋風のディナーを楽しむ中、あえて和風のクエ鍋を食べに長崎の壱岐島を訪れることで、静かで贅沢な時間を過ごすことができる。このように、世間の常識とは異なる行動を取ることで、より快適でお得な旅を実現できる。
年間には、旅行者が少なく、比較的静かに温泉を楽しめる狙い目の時期がいくつか存在する。まず、新生活が始まる4月は、多くの人が環境の変化で旅行を控えるため、穴場といえる。同様に、イベントが少ない2月や11月もおすすめの時期だ。これらの時期は旅行代金も手頃になる傾向があるため、旅費を抑えたい場合にも最適である。
特定の時期におすすめの温泉地選びにも「逆張り」の思考は役立つ。冬場はスキー客が多い山の温泉地を避け、代わりに海沿いの温泉地を訪れるのが良い。例えば、海水浴客が少ない冬の沖縄は、費用を抑えつつ穏やかな時間を過ごせる魅力がある。3月はまだ雪が残る北海道や東北地方を訪れると、オフシーズンの静けさと独特の冬景色を満喫できる。
また、特に露天風呂を楽しみたいなら、5月中旬が年間で最も推奨されるシーズンだ。この時期は気候が温暖で、日差しも強すぎず、山奥の雪も溶けている。さらに、新緑が美しい一方で虫も少ないため、快適に露天風呂の開放感を味わうことができる。筆者自身、この時期の露天風呂の素晴らしさを紹介したところ、多くの共感を呼んだ経験があるという。台風シーズンは近場の温泉を選ぶなど、天候も考慮に入れることで、より快適な旅になるだろう。
温泉の効能を最大限に享受し、より快適な入浴体験を得るためには、いくつかの正しい入浴方法とマナーがある。多くの人が入浴後にシャワーで体を洗い流すが、基本的にこれは避けるべき行為である。温泉の成分は、湯上がり後に肌に残すことでその効能が浸透する。シャワーで流してしまうと、せっかくの有効成分を洗い流してしまうことになるため、非常にもったいない。ただし、肌が弱い場合や、強酸性の泉質などで肌に刺激が強い場合は、シャワーで流した方が良い場合もある。
次に、入浴前には旅館の部屋に用意されているお茶請け(お菓子と緑茶)を摂取することが推奨される。これは、空腹状態で入浴することによって引き起こされる「湯あたり」を予防するためだ。甘いお菓子で血糖値を安定させてから入浴することで、血圧の急な変動を防ぎ、安全で快適な入浴が可能となる。入浴中に脱水症状を起こさないよう、水分補給をこまめに行うことも大切である。

筆者の「人生を変えた」体験として挙げられるのは、山梨県の奈良田温泉である。この温泉の特徴は、「とろとろぬるぬる」とした湯の質感にある。まるで美容液に浸かっているかのような独特の肌触りは、従来の温泉の概念を覆し、お湯そのものから深い感動を与えてくれたという。このようなぬるぬるとした湯は、多くの人を驚かせ、その感触を体験してほしいと筆者は語っている。
温泉は単なるレジャー活動にとどまらず、私たちの人生を豊かにする最高の趣味であり、一生涯楽しめる存在だ。20代から温泉巡りを始めれば、年齢とともに興味や楽しみ方が変化し、深まっていく。それはまるで、人生のフェーズに合わせて常に新しい発見をもたらしてくれるパートナーのようなものだ。人は年齢を重ねても「温泉に行きたい」という気持ちを失わない。これほどまでに長く付き合える趣味に出会えたことは、大きな喜びである。
日本は世界的に見ても温泉文化が非常に豊かな国である。海外の温泉は、台湾のような一部の国を除き、多くが水着着用が義務付けられているスパ形式が主流だ。一方で日本には、多種多様な泉質と文化を持つ裸で入れる温泉が全国津々浦々に存在し、いまだに巡りきれないほどの数が残されている。この日本の恵まれた温泉文化は、世界に誇るべき貴重な資源である。

しかし、日本の温泉は後継者不足や施設の老朽化といった問題に直面しており、多くの素晴らしい温泉旅館が閉業している。温泉はその場所からしか湧き出さない、唯一無二の存在だ。湯を運んでしまうとその質感は変わってしまうため、その場の温泉を体験するには、現地を訪れるしかない。そのため、「推しは推せる時に推せ」という言葉が流行しているが、温泉もまさに「行ける時に行け」が当てはまる。少しでも気になった温泉があれば、手遅れになる前に訪れるべきである。かけがえのない日本の温泉文化を守り、享受するためにも、私たち一人ひとりの行動が重要である。