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ホワイトカラーの8割は消滅する:冨山和彦
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2025年12月11日

AI革命によりホワイトカラーは本当に消えるのか?ブルーカラーは本当に稼げるようになるのか?AI革命によって日本経済は復活するのか?日本共創プラットフォームの冨山和彦会長に聞いた。 <ゲスト> 冨山和彦|日本共創プラットフォーム(JPiX)会長 1960年生まれ。東大法学部卒。在学中に司法試験合格、...
AI時代に7割のホワイトカラーが消滅する!これからの働き方と生き残り戦略
現代社会を劇的に変えるAI革命は、インターネットを超える影響を持つ究極の産業革命である。蒸気機関が「筋肉」を、情報通信技術が「コミュニケーション」を拡張したように、AIは人間の「大脳新皮質」そのものを代替・拡張しようとしている。
この未曽有の変化の波は、私たちの働き方、特にホワイトカラーに壊滅的な影響を与えるとされる。本稿では、日本共創プラットフォーム会長の冨山和彦氏の見解に基づき、AI時代の到来がもたらす激変をQ&A形式で深く掘り下げ、個人と企業がこの波をいかに乗り越えるべきかを明らかにする。

Q. AI革命はどれほど社会に影響を与えるのか?
AI革命はインターネットを超える、あるいはそれを内包する形で「大脳新皮質」の代替と拡張を進める、まさに究極の産業革命と言える。産業革命の本質は人間の能力の代替・大拡張にあり、過去には蒸気機関が筋肉の代替を、情報通信革命が脳の外部的な機能(見る、話す、伝える)の代替・拡張をもたらした。今回のAIは、脳そのものの中枢機能、すなわち情報処理や意思決定の中核を担う。
現在のAIブームは一部でバブルだと指摘されるが、これは過去のドットコムバブルに酷似している。ドットコムバブル崩壊後、インターネットの普及は着実に進み、現在のGAFAMのような巨大IT企業が誕生した。同様にAIバブルが弾けたとしても、投じられた莫大な資本によってAI関連インフラが整備され、結果として社会変革のインパクトはさらに大きくなるだろう。この波はもはや避けられないと理解すべきだ。
Q. ホワイトカラーが消滅するとは具体的にどのようなことなのか?
経済合理性が追求されれば、既存のホワイトカラー(デスクワーカー)の実に7割から8割が消滅する可能性がある。これは、動力革命時に大多数を占めた農民が工場労働者へと大移動した歴史の繰り返しに他ならない。現在の日本企業の組織において、一般的な管理部門、例えば経理、経営企画、IT部門、そして一般的なプログラマーなど、主に二次情報の仲介・加工・分析を行う業務はAIによる代替の対象となる。

一方で、生き残る仕事は「現場で一次情報を得るノンデスクワーカー」と「AIを部下として使いこなすボス」である。例えば、身体性や情緒性を伴う仕事、顧客と直接対面する営業職、医師、パイロットなどがこれに該当する。これらの仕事は、サイバー空間で完結しないリアルな一次情報や人間同士の感情労働が伴うため、AIによる完全な代替は難しい。これまでのホワイトカラーに存在した「歌って踊れて笑かして泣かせられる人」が生き残る素養を持つといえよう。
日本企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)で既に世界の競合から周回遅れとなっている。売上比で5%も重い販管費は、そのまま利益率と投資力の差に直結し、国際競争で致命的なハンディキャップとなっている。このDX敗戦の上にAIトランスフォーメーション(AX)の波が押し寄せれば、さらに深刻な状況に陥りかねない。もはやDXとAXへの本気の対応なしに、日本企業の生き残りは難しいだろう。
Q. AI時代において、どのような仕事が生き残り、求められるのか?
これからの時代に求められるのは、従来のイメージの「ブルーカラー」ではない「AI武装したライトブルーカラー」である。AIが台頭すると、その影響はホワイトカラーの「代替材」となるが、ノンデスクワーカーにとっては「補完材」として機能し、生産性を飛躍的に向上させる。人手不足が深刻化する日本では特に、この傾向が顕著になるだろう。

現在の給料高騰が見られる職種は、植木職人や重機オペレーターなど、高度な技能を要する現場の仕事だ。これらは単純な肉体労働ではなく、知識と経験を活かした「身体性のある知的生産活動」へと変化している。AIの力を借りることで、かつてのホワイトカラーが培った知見が現場で活かせる余地は大きい。例えば、空調完備された建機を操作するなど、必ずしも肉体を酷使するイメージとは異なると言う。日本社会全体がこの変化を促進する必要がある。
「知的スマイルカーブ」という概念を理解することが重要だ。このカーブの両端に位置する、「AIを操るボス」と「AI武装したブルーカラー」の所得が向上し、従来のルーティンワークを担ってきた中間層のホワイトカラーは沈む傾向にある。中間層のホワイトカラーは、24時間休みなく、パワハラ・セクハラにも一切動じず、指数関数的に進化し続けるAIとの競争にさらされるため、非常に不利な状況だ。早くその競争の土俵を降りるべきである。
Q. リスキリングやキャリアチェンジは、どのように考え、実行すべきか?
キャリアチェンジを考える際、古い時代の価値観や他人の評価、家族のコンセンサスに囚われる必要はない。「変わらざるを得ない状況」が目の前にあるからだ。自身の親族や友人からの反対は、最も時代遅れの意見であり、それに従えば時代の流れに置いていかれる可能性が高い。「家族を説得しなくてもよい」という考え方も重要だ。また、「有名企業に勤める」といった過去の「メンツ」や「虚栄心」に縛られることは、消費者として付加価値のないものにお金を払わなくなった現実から目を背けているに過ぎない。自分自身の幸福のために、自己の意思で変化を選択するべきである。

もし現在の仕事に未来がないと感じたら、会社からのリストラの打診はむしろ「千載一遇のチャンス」と捉えるべきだ。退職金を手にし、新しいスキル習得に投資して、「ライトブルーカラー」の世界に飛び込む方が、10年後にははるかに大きな差がつくという。バブル崩壊時に企業が潰れた後、そこから転職した人々が新たな分野で成功を掴んだように、危機は新たなチャンスを呼ぶ。基礎学力の高い元ホワイトカラーは、高度な技能職の世界でも頭角を現せるはずである。
Q. 人気のコンサルタントや商社で働くことは、AI時代において将来性があるのか?
現在人気の高い職種であるコンサルタント、特にジュニア層は、AIとの競合が避けられない時代に突入する。情報収集や分析、資料作成といった業務はAIが最も得意とする分野であり、パートナーがAIを駆使すれば、スタッフは従来の3分の1でプロジェクトを遂行できる。若手コンサルタントの仕事は、AIによって大幅に代替される運命にある。ただし、様々な産業に触れて学ぶことができるため、入社後3年から5年程度でビジネスの基礎を身につける「ビジネススクール」としての価値は依然として高い。ただし、これを長期的なキャリアとは考えず、次のステップへの通過点として割り切るのが賢明だろう。
商社においても同様に、若い時期に幅広い経験を積むことは有効である。しかし、日本の商社を含む大企業では、優秀な人材でも30代の約10年間、意思決定権を持たず、上司の指示に従う「部下稼業」に費やす「暗黒の30代」が存在する。これは、自ら問いを立てて責任を持つ「ボス力」を育成する機会を奪い、キャリアの無駄を生み出している。「名選手名監督にあらず」の例にもあるように、部下経験がボスに必須という考えは間違いだ。ボスと部下は根本的に異なるプロフェッショナルであると認識し、早期に「ボス力」を磨く機会を模索すべきである。情に流されず、全体をメタ的に見て非情な判断を下せるボスがこれからの企業には求められている。
Q. AI時代の働き方で注意すべきことは何か?
AI時代を生き抜くために最も重要なのは、「自分の仕事がAIにどれだけ代替されるか」を積極的にテストし、現実を直視することである。AIがやってくれることは、人間が行うことの価値がゼロになる瞬間を意味する。この現実から逃げずに、むしろAIを最大限に活用し、自らのスキルと役割を進化させることが不可欠だ。
「知的スマイルカーブ」の両端に位置する「AIを部下として使いこなすボス」か、あるいは「AI武装した現場のプロフェッショナル(ライトブルーカラー)」のいずれかを目指す戦略的なキャリア選択が求められる。組織の中で漫然と中間層にとどまることは、指数関数的に賢くなるAIとの競争において不利な立場に置かれる。この激変期において、自身のキャリアパスを主体的に見極め、常に学習と変化を恐れない姿勢が、豊かな未来を切り開く鍵となるだろう。