ビジネス虎の巻
ビジネスでつまずく人の共通点【OWNDAYS田中修治】
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2025年12月11日

「ビジネス虎の巻」、今回のゲストはOWNDAYS会長・田中修治氏。倒産寸前のOWNDAYSを再建した実体験に基づいた社長がつまずく共通点とは?好きなことを仕事にするメリット・デメリットについても解説する。 <出演者> 竹内由恵(renag coffee代表) <ゲスト> 田中修治|OWNDAYS...
OWNDAYS会長・田中修治氏が語る!起業成功のための「失敗回避」戦略
多くの企業家が目指す成功の道。しかし、OWNDAYS会長の田中修治氏は、その道を歩む上で何よりも「失敗を未然に防ぐこと」が重要だと説く。自身もかつて倒産寸前のOWNDAYSを再建し、現在は若手経営者のアドバイザーを務める田中氏が、成功の近道ではない、「負けないビジネス」の本質をQ&A形式で解説する。
「好きを仕事にする」ことのメリットと落とし穴、社長のメディア露出の危険性、そしてスモールビジネスが採るべき戦略的な価格設定まで、実践的な視点からその洞察を深める。竹内由恵が挑戦するコーヒービジネスを例に、具体的な問いを通して、起業家が陥りがちな罠とその回避策を明らかにする記事である。

Q. なぜ「成功法則」ではなく「ビジネスの失敗を未然に防ぐ方法」を共有したいと考えるのか?
人それぞれ異なる背景や環境を持つため、万人に通用する「成功法則」というものは存在しない。私自身がうまくいった方法が、他の人にも当てはまるわけではない。しかし、「失敗の共通点」は意外と多く存在する。この普遍的な失敗パターンを未然に防ぐことで、倒産確率を減らし、事業の継続性を高めることが可能だと考えている。

ビジネスにおける最大の失敗は、潰れてしまうことだ。小さな失敗の積み重ねが最終的に倒産という結果を招くため、一つでも多くの失敗を回避することが重要となる。失敗が少ない分だけ、新たな挑戦の機会も増える。利益が小さくとも、事業を長く継続させることこそが、ビジネスで最も大事なことではないだろうか。
Q. 自身の起業の原動力について、「お金のためじゃない」という意見に反論していますが、その真意は何ですか?
私は元々貧乏な家庭に育ったため、子どもの頃から「金持ちになりたい」という強い執着心を持っていた。これが、他人と異なる道を進み、起業する原動力となった「中二病」的な夢の継続だったと自覚している。起業したいというよりも、「お金を稼ぎたい」という純粋な欲望が根源にある。
「お金のためにやらない」というスタンスは、商売とは言えない。営利企業を運営する上でのビジネスマンの最大の使命は、利益を出し、雇用を生み出し、納税することにある。これこそが、社会貢献の究極の形である。人を不幸にしたり、苦しいだけのビジネスは続かない。結果的に楽しく、やりがいがあり、人々に貢献し、かつ利益を生み出す事業だけが、長期的に成功し、成長を遂げると言えよう。

Q. 自分の「好き」を仕事にすることのメリットとデメリットについて、具体的に教えてください。
「好き」を仕事にする最大のメリットは、その分野に対する情熱が尽きることなく、深く、専門的に探求できる点にある。コーヒーを例に取れば、一般の域を超えた知識やマニアックなこだわりを追求しやすく、その結果として他にはない独自性や専門性を確立し、それがファンを惹きつける原動力となるだろう。
しかし、デメリットとして、「好き」という感情がビジネス判断に偏りを生む可能性をはらんでいる。例えば、「売れないけど最高に美味しいコーヒー」と「売れるがそこそこの美味しいコーヒー」があった際、好きが高じて前者に固執し、利益度外視の選択をしてしまう危険性がある。事業が大きくなり社会的責任が増すと、個人の趣味嗜好が成長のボトルネックとなりかねない。趣味嗜好とビジネスは、一定の距離感を保ち、冷静な経営判断が必要なのだ。
Q. 社長のメディア露出が「消えゆく社長」の共通点であると指摘しています。その理由と、どのような悪影響があるかを説明してください。
社長という人間は承認欲求やエゴの塊である場合が多く、メディアに出始めると、自分が有名人になったかのような錯覚に陥りやすい。これは一種の「勘違い」だ。本来は会社の宣伝のためにメディアを活用していたはずが、いつの間にか「自分が目立つこと」が目的化し、会社がそのための「ステージ」に成り下がってしまう。
この行動は社員から見れば、「社長は暇なのか、仕事しろ」と不満を生み、社内の結束力を損ねる可能性がある。また、社長個人の過激な言動や炎上が、会社全体のブランドイメージを著しく毀損することにもつながる。特に消費者向けビジネスを展開している場合、個人のイメージダウンが、地方の店舗の売上にまで悪影響を及ぼしかねない。そのため、過度なメディア露出は避けるか、少なくともその目的と影響を深く考慮すべきだ。
Q. 顧客の習慣に商品やサービスを組み込むことが重要だと述べていますが、その顧客視点はどのようにして知るべきですか?
商品が顧客の「習慣」にどう入り込むかを明確に定義することが、失敗しないビジネスの秘訣である。顧客の行動ルーティーンを深く理解し、「この商品はどんな状況で、どのような役割を果たすのか」を具体的にイメージすることが重要だ。コーヒーであれば、「朝、目覚めるための一杯」なのか、「仕事の合間のリフレッシュ」なのか、あるいは「特別な日を彩る贅沢な一杯」なのか。それぞれで顧客が求める価値やシチュエーションは全く異なる。
この「習慣」や「役割」を明確にすることで、パッケージデザイン、宣伝広告、店員の接客トークまで、すべての要素を一貫した戦略として構築できる。良い商品を作っただけでは単発的な売上で終わるが、顧客の習慣に深く組み込まれることで、長期的なリピートと継続的な売上を確立できるのだ。社内で商品の役割について細部まで議論し、顧客の日常を想像することが、事業を安定させる鍵となる。
Q. スモールビジネスが成功するためには、どのような価格戦略が有効ですか?
スモールビジネスは、初期段階で絶対に「高価格」から始めるべきだ。低価格戦略は、大量生産と販売による規模の経済が働く大企業向けの戦術であり、個人や小規模企業が低価格で勝負しようとすると、薄利多売となり、やがて疲弊してしまうだろう。

一度「低価格」のブランドイメージが定着してしまうと、後から価格を上げて高価格帯の商品を展開しようとしても、消費者から受け入れられることは非常に難しい。ユニクロが10万円のダウンジャケットを売れない一方で、高級ブランドが9,800円のTシャツを売れるのは、まさにそのブランドイメージと価格帯が逆転しているからだ。もし私が過去に戻れるなら、決して安売りからビジネスを始めなかったと断言する。安易な価格破壊は、将来的な成長の道を閉ざしてしまう可能性がある。価格は原価ではなく、提供する「価値」で決まるものだと理解し、自信を持って適正な高価格を設定することが肝要である。
Q. 商品ラインナップに「役割」を持たせるとのことですが、どのように定義すべきですか?
商品のラインナップには、漫然とアイテムを増やすのではなく、それぞれに明確な「役割」を持たせることが重要だ。例えば、入門編・定番品・上級編といった「商品階層」を設けることで、顧客をステップアップさせていく戦略が有効となる。これにより、顧客のニーズに応じて多様な選択肢を提供しつつ、全体としてのブランド体験を設計できる。
さらに、ラインナップの一部には、必ずしも「売れる」ことだけを目的としない商品も必要である。例えば、売上は伸びないが非常に個性的で目を引くアイテムを「ブランドの象徴」として置くことで、売り場全体の魅力を高め、顧客の関心を引きつけるフックとなる。また、定番品で安定した利益を確保しつつ、期間限定のユニークな商品で話題性を生むなど、それぞれのアイテムに「集客」「利益」「ブランドイメージ向上」といった役割を割り当て、計画的にポートフォリオを構築する。行き当たりばったりではなく、意図を持って商品を揃えることが、持続的な成長には不可欠となるだろう。