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高市政権が不動産市場に及ぼす影響
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2025年11月23日

フラット35の融資限度額引き上げや住宅ローン減税の適用面積変更が意味するメッセージとは?高市政権が不動産市場に及ぼす影響について不動産調査会社東京カンテイ髙橋雅之氏に聞いた。 <ゲスト> 髙橋雅之|東京カンテイ 上席主任研究員 東北大学大学院修士課程修了を経て建設コンサルタント会社に入社。2006...
不動産市場はどこへ向かうのか?高市政権の政策からバブル崩壊の兆候、有望エリアまで専門家が徹底解説
近年の不動産市場は、価格高騰が止まらない状況だ。しかし、この上昇はいつまで続くのか、そして高市政権による政策転換は市場にどのような影響を与えるのか。バブル崩壊の兆候はあるのかなど、誰もが抱く疑問に対し、不動産専門家が現状のデータを基に多角的な分析と展望を示す。
本稿では、高市政権の経済政策が不動産市場に及ぼす影響から、今後の価格動向、さらに投資判断に役立つ重要指標や注目すべきエリアまでをQ&A形式で深掘りする。
Q. 高市政権の不動産政策は「今のうちに買うべき」というメッセージなのか?
高市政権は、スピード感を持ってフラット35の融資上限を1億円に引き上げ、住宅ローン減税の適用面積も40平方メートル以上に緩和した。これらの政策は、これまで購入したくても手の届かなかった層を支援する「アクセル」的な意味合いを持つと専門家は分析する。
政府は現在の不動産価格を下げる意図がなく、むしろ価格が上がり続ける中で購入を検討している層を後押ししている。この動きは、市場に対し「価格が下がることはないので、買えるうちに買うべきだ」という強力なメッセージを発していると捉えられる。

Q. 外国人による不動産購入規制は今後強化されるのか?
高市政権下での外国人規制強化の見方はあるが、専門家は主に安全保障に関わる土地の取得が厳しくなるだろうと予測する。例えば、自衛隊施設周辺の土地売買が規制対象となる可能性だ。しかし、タワーマンションなどの都心不動産購入に全面的な規制がかかることは難しいと指摘する。
これは、日本がWTO協定に基づき「内国民待遇」を原則としているためだ。外国人の不動産取得を一律に制限するには、WTO協定の留保条項を見直す必要があり、その手続きは容易ではないため、現実的ではないだろう。
Q. 現在の不動産価格高騰はいつまで続き、その背景に何があるか?
中古マンション市場において、価格の先行指標となるのは「在庫数」である。在庫数が減ると需給が逼迫し、価格が上昇する傾向がある。2024年に入ってから在庫数は急減し、価格は急上昇している状況だ。専門家は、少なくとも今後半年間はこの堅調な価格水準が維持されると見ている。
この背景には、記録的な円安が大きく影響している。海外投資家にとって日本の不動産は「バーゲンセール」と映り、購買意欲が向上した結果、市場から物件が急速に減少した。さらに、所有者側も「まだ価格は上がるだろう」という期待から売り惜しみ、物件の供給が減少していることが価格高騰に拍車をかけている。
Q. 日本銀行の利上げは不動産市場にどう影響を与えるか?
日本銀行が利上げに踏み切っても、都心部の高額物件市場への影響は限定的だろう。高額物件の購入層は自己資金比率の高い富裕層や現金一括購入者が多く、金利変動の影響を受けにくい構造がある。影響を受けるのは、住宅ローンを利用する一般的な所得層が多い、東京周辺のエリアだろう。
日銀は、景気を本格的に冷やしてしまう「戦犯」になることや、大量に保有する国債の利払い負担増を避けるため、大幅な利上げには非常に慎重な姿勢を示している。過去にマイナス金利を含む大規模金融緩和が価格高騰の主要因となったことは確かだが、近年は金利が上昇しても価格が上がり続けており、価格上昇の要因は低金利から需給バランスや円安など他の要素へシフトしていると考えられる。米国の様な高金利時代が日本に来る可能性は低い。

Q. 不動産バブル崩壊を示す具体的な兆候はあるか?
専門家は、ファンダメンタルズ的に価格が下がる要因は見当たらないと指摘する。構造的に上昇要因が多いため、価格下落シナリオを描くことは困難である。もし暴落が起こるとすれば、それは大規模な自然災害や地政学的リスクといった予測不能な「突発的アクシデント」に限られるだろう。
市場の下落予兆としては、「値下げ率」の拡大と「値下げした物件の割合(値下げシェア)」の急上昇が重要指標となる。これらが短期間で急激に悪化すれば危険なサインであるが、現状、その兆候は全く見られない。一時的な1割程度の価格下落は健全な「調整」の範囲であり、バブル崩壊は短期的に2~3割の大幅な下落を指すという認識だ。バブル崩壊を経験していない若い世代が増えていることも、市場マインドの堅調さを支えている要因の一つである。

Q. 高市政権は次の不動産政策として「ブレーキ」をかけるのか?
高市政権がローン緩和という「アクセル政策」を先行して打ち出したのは、その後に行き過ぎた価格上昇を抑制するための「緩やかなブレーキ政策」を準備している布石と考えることもできる。政府は市場を急冷させるような「ハードブレーキ」ではなく、市場を牽制する程度の緩やかな調整を目指すだろう。
具体的な「緩やかなブレーキ」として考えられるのは、不動産の短期売買に対する譲渡所得税率の引き上げや、居住用財産の3000万円特別控除の見直しなどが挙げられる。また、タワマン節税に関する相続税評価額の算定方法の厳格化など、税制面での調整が現実的な選択肢として検討される可能性がある。
Q. 不動産選びで注目すべき指標や、東京以外で有望なエリアはどこか?
不動産の価格トレンドを読む短期的な指標としては、市場の需給状況を示す「在庫数(水面下の動き)」が非常に役立つ。一方、長期的な資産価値を見極める上で最も重要なのは「人口動態」である。日本全体で人口減少が進む中でも、都市やエリアによって人口増減の傾向は大きく異なるため、将来的に人口が減ると推計されるエリアは避けるべきだ。国が出す人口推計データなどを活用し、10年後、20年後も人口が増え続ける街を選ぶことが不可欠だ。

人口流入があること(特に福岡は九州全土から若いファミリー層が流入している)
大規模な再開発や交通インフラ整備といった「開発イベント」が計画・進行していること
富裕層や海外投資家、インバウンド需要を引きつける魅力的な立地であること
東京以外で不動産価格が上昇している注目エリアとしては、大阪中心部の他、地方中枢都市では福岡、沖縄、そして近畿圏では京都が挙げられる。これらのエリアには、「人口流入」「大規模な開発イベント」「インバウンド需要」という共通の強みがあり、今後の価格上昇ポテンシャルも高い。例えば、かつて有望視された札幌は半導体工場建設で活気付く千歳に注目が移るなど、「開発イベント」の有無がエリアの盛衰を左右する鍵となっている。不動産を選ぶ際には、日々の街の賑やかさだけでなく、将来の人口動態や開発計画も視野に入れるべきである。