TIME IS
日本株で儲ける投資術/大型株・中小型株の選び方/プロの銘柄精査術/自分の強みを活かせ【宇根尚秀】
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2025年11月16日

多忙なビジネスパーソンへ、圧倒的な成果を上げている著名人が時間術のヒントを提供する「TIME IS」。今回は、ゴールドマン・サックス元トップトレーダーの宇根尚秀氏に「勝つ投資術」を聞いた。 <出演者> 宇根尚秀|ゴールドマン・サックス 元トップトレーダー <参考書籍> 宇根尚秀『最後に勝つ投資術...
AI時代の日本株投資戦略: 超過リターンを生む「精査」と「エッジ」
現在、日本株市場がかつてないブームに沸き、日経平均株価は史上最高値を更新している。この熱狂の裏には何があり、私たちはどう投資と向き合うべきか。本記事では、日本株ブームの本質から、初心者が第一歩を踏み出すヒント、そしてAI全盛時代に人間が超過リターンを獲得するための秘訣までを、Q&A形式で解説する。

Q. 現在の日本株ブームは過去のブームと何が違うのか?
今回の日本株ブームは「This Time Is Different(今回は違う)」と捉えるべきだ。過去の短期マネーとは異なり、長期マネーの流入が特徴である。日本株は過去10〜15年で米国株と同等以上のパフォーマンスを記録し、海外成長を取り込んだ企業経営が奏功した。PBR改革を契機としたコーポレートガバナンス改革も追い風となり、株主還元意識向上と資本効率改善が進んだ。この企業行動変容が「市場の信任」を高め、業績成長とPER上昇を伴う株価の好循環を生み出している。
Q. 投資初心者は、どのような銘柄選びから始めるべきか?
投資初心者は、まず大型株への分散投資から始めるのが賢明だ。ネット証券のスクリーニング機能などを活用し、財務健全性、割安感、配当利回りといった観点で3〜5社程度の大型株を選び、分散投資を推奨する。大型株は、TOPIX構成銘柄のうち時価総額と流動性の高い上位100銘柄を指すことが多い。

銘柄選定では、将来にわたり社会に必要とされ、安定して収益を生み出す可能性が高い企業を選ぶのが王道だ。銀行、半導体、エンタメ、通信、DXコンサルなど、変化に強く成長が見込める大手企業に注目する。これらを長期保有しつつ、年に一度、企業の市場シェア、競合状況、産業構造不況リスクの3点から成長シナリオが崩れていないか確認する作業が重要となる。少額から始め、決算資料を読み解く過程を「楽しい」と感じられるかが、個別株投資の適性を見極めるポイントだ。
Q. 個人投資家にとって中小型株が魅力的なのはなぜか?
投資に慣れた個人投資家にとって、中小型株は大きな魅力を持つ。約4000社の上場企業の中で、証券会社が詳細なリサーチレポートを提供するのはそのうち千社に満たない。このリサーチカバレッジの低さが、他の投資家に見過ごされている、あるいは大手機関投資家には規模的に手が届かない優良銘柄、いわゆる「お宝銘柄」が眠っている可能性を示唆する。
大型株とは異なり、中小型株ではライバルが比較的少ないため、個人投資家が自身の分析力を活かせば、大きなリターン獲得のチャンスが広がる。優良銘柄発掘に「魔法」は存在せず、愚直なスクリーニング作業が不可欠だ。カブタンなどの情報サイトやネット証券のツールを使い、ファンダメンタルズ(成長性、割安性、利益率など)とテクニカル(出来高急増、新高値更新など)の両面から徹底的に絞り込む作業が必要となる。この地道な努力こそ、中小型株投資成功に欠かせない。
Q. プロが行う個別株の「精査」とは具体的にどのような内容か?
株式投資における「精査」とは、表面的な指標に留まらず、個別銘柄を深く掘り下げて評価する作業だ。短期業績の精査では、四半期ごと、セグメントごとの売上や営業利益の推移を詳細に分析し、一過性の利益や費用増の有無などを確認する。これを通して、企業が持続的に利益を生み出す実力と、次の四半期の業績を自ら予測する。

自身の予測を市場期待値(コンセンサス)と比較し、乖離があれば決算発表時のサプライズを予測する手がかりとする。株価はYoYやQoQの成長率変化に敏感に反応するため、業績の「見てくれ」が株価に与える影響を見極めることが重要だ。精査は短期業績に加え、バランスシート、経営者方針、中期経営計画進捗、企業戦略などの多角的な視点から行い、構造的な変化点を読み解くことを意味する。決算資料などに記された「変化の兆し」に市場がまだ反応していない状況は、投資機会となるだろう。
Q. AI全盛の時代に、人間が投資で超過リターンを得る鍵は何か?
AIやクオンツファンドが台頭する現代で、人間が市場平均を上回る超過リターンを得る鍵は、「エッジ(優位性)」活用と「イディオシンクラティックリスク(固有リスク)」への集中にある。PBRや配当利回りといった単純指標に基づく「スタイル投資」はAIに真似されやすく、長期で勝ち続けるには不十分だ。スタイル要因は分散・相殺し、個別の企業が持つ独自の、定式化しにくい価値やリスクの源泉、すなわち固有リスクに焦点を当てるべきである。

超過収益の源泉は、財務諸表に現れない経営方針、事業取捨選択、キャピタルアロケーションなど「その他などの重要事項」にある。成功投資家も、表面的なスタイルを掲げつつ、実際にはこれらの定性要素を深く吟味する。自分の専門知識や関心分野(エッジ)で、企業のビジネスモデルや競合を深掘りする癖が不可欠だ。「ローカルな日本人」としての肌感覚も、外国人投資家にはない独自情報源となり得る。この質的情報を丹念に追い求めることこそ、AI時代における私たちの投資戦略の核心をなすだろう。