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2025年10月27日

FP1級芸人サバンナ八木がゲストとマネートークを繰り広げながら視聴者のマネーリテラシーを高める番組。第3回のゲストはMFS 取締役CMOの塩澤崇氏とTERASS社長の江口亮介氏。後編では、人口減少による住宅の二極化、中古マンション購入のポイントを解説する。 <ゲスト> 塩澤 崇|MFS 取締役CM...
日本の住宅市場は大きな転換期を迎えている。人口減少が進む一方、都心部への人口集中は加速し、不動産価格は二極化が顕著である。さらに、金利上昇の局面が到来しつつあり、住宅購入にはこれまで以上の戦略的な思考が求められる。単なる「憧れ」や「なんとなく」で家を買うと、将来大きなリスクを抱えかねない。では、この複雑な時代に、私たちはどのように家を選び、ローンを組み、資産を築けばよいだろうか?本稿では、不動産と金融の専門家による徹底討論を通じて、失敗しない住宅購入のための極意をQ&A形式で解説する。

人口減少が進行する中で、「家の価格は下がる」と考える人は少なくないだろう。確かに日本全体の人口が減れば、空き家は増え、郊外を中心に多くの住宅価格は下落すると予想される。しかし、現実は単純ではない。人口が減少しても、都市部の住宅価格が上がる理由は、人口が都市部に集中する「都心回帰」のトレンドにある。

社会のインフラや商業施設の維持が難しくなる地方から、人々は利便性の高い都心へ移住する。例えば、店舗の閉店や公共交通機関の廃止など、生活利便性の低下は人々の行動を都心へと向けさせる。また、共働き世帯の増加も、通勤や子育ての利便性を重視し、都心に住む選択を後押しする。結果として、都心部の住宅需要は逆に高まり、価格は上昇の一途をたどるのだ。これはすでに日本の主要都市で顕著な傾向であり、不動産市場の「二極化」は今後も加速するだろう。
住宅購入における最大の判断基準は、金利よりも「どこに買うか」という立地選択にあると専門家は断言する。もちろん金利は住宅ローンの返済額に直結するため無視できない要素だが、物件自体の資産価値を長期的に見れば、立地こそが成否を分ける。価値を維持・向上させるには、人口が集中し、将来的な需要が見込めるエリアを選ぶ必要がある。
首都圏では不動産価格の上昇に「の」の字の法則があるとされる。まず都心3区から価格が上がり、その波が神奈川県、次に埼玉県、そして千葉県へと広がっていく構図である。バブル期には郊外で4000万円から5000万円で購入された物件が、現在では300万円といった事例もある。これは立地が悪く、その土地が生み出す収益性(賃貸需要など)が低い物件の価格が暴落した結果だ。一方、価値が保たれる都心部では、単なる金利変動で大きく左右されることは少ない。いかに将来を見据えた立地を見極めるかが、物件選びの真髄といえる。
現在の住宅市場は、年収に対する物件価格の倍率が高騰している。かつては年収の5〜6倍が中古マンションの目安だったが、今や平均11倍にも達している。これは、東京などの都市部で住宅を購入するには、多くの世帯が夫婦でローンを組む「ペアローン」が当たり前になっている実態を物語る。1馬力でこの状況に挑むのは極めて困難であり、専門家は東京での住宅購入を「夫婦で営む不動産事業」と例える。
もし「資産形成」が住宅購入の目的なら、無理をしてまで予算に合わない低資産価値物件を買うべきではない。「買わない」という選択肢も有力な戦略だ。家計に余裕がない場合、安価な賃貸物件に住み、浮いた費用を投資に回して資産を形成する方が合理的といえる。投資によって資金の塊を作り、その資金を頭金に活用して将来的に条件の良い物件を購入するというステップアップ方式もある。
また、住宅ローンについては、今後の金利上昇を見据え、少なくとも2%程度の金利上昇に耐えられる家計設計が重要だ。緩やかながらも金利が上がる可能性が高い中で、ぎりぎりの変動金利を選ぶのは最も危険なパターンだ。もし、そのリスクが許容できないのであれば、固定金利を選ぶべきである。家族がいる場合は、世帯収入を増やすための具体的な家計づくりを話し合うことも欠かせない。
首都圏では新築マンションの供給戸数が10年前の半分以下に激減しており、需要過多で価格が高騰し、高倍率の抽選となることも珍しくない。そのため、新築にこだわらず中古マンションも視野に入れることが賢明だ。
中古マンション選びの最重要ポイントは「管理を買え」である。どれだけ魅力的な物件でも、管理が杜撰であれば長期的な資産価値は低下する。具体的には、マンションの管理組合が適切に修繕計画を立て、積立金が十分に確保されているかを確認することが不可欠だ。総会の議事録や調査報告書を読み込み、将来的な修繕費用の値上がりにも対応できるかを見極める必要がある。投資目的のオーナーが多いマンションは、コスト増を嫌い修繕積立金の値上げに反対することが多く、管理不全のリスクがある点も注意が必要だ。

内装はリフォームでいくらでも変更できるため、物件選びでは「日当たり」「通風」「眺望」といった、後から変えられない要素を重視すべきだ。これらは将来的な売却の際にも大きな魅力となる。加えて、現在良い眺望が確保されていても、目の前の土地に高層ビルが建設される可能性はないかなど、周辺環境の変化リスクも調査が不可欠である。
築年数の古いマンションは、一般的に資産価値が下がりやすい傾向にあるが、築25年を超えたあたりから価格の下落が緩やかになり、価値が安定する傾向があるため、かえって狙い目となる場合もある。しかし、人間と同じく「良い年の取り方」をした物件と「老朽化した物件」の差が大きく表れるため、その見極めが重要である。
良い築古マンションを見極めるには、修繕履歴を確認するとよい。単に壊れた箇所を直すだけでなく、住民の利便性を向上させる「プラスの修繕」(例えば、宅配ボックスの後付けなど)を行っているマンションは、長期的に価値が保たれる可能性が高い。これは、管理組合が将来を見据えて機能強化を行っている証拠である。

しかし、注意すべきリスクも存在する。特に「旧耐震基準」(昭和56年以前に建てられた建物)のマンションは、次の買い手が住宅ローンを組みづらい可能性が高い。金融機関が担保評価を厳しくするため、売却時に買い手が見つかりにくくなるのだ。築年数が古くなるほど、建物の価値は減少し、立地がより一層重要になる。立地が極めて良ければローンが付くケースもあるが、旧耐震物件の購入を検討する場合は、将来の売却まで見据えた慎重な判断が必要である。
現在の複雑な市場環境で失敗しない住宅購入をするためには、3つの重要なポイントがある。
自身の目的を明確にする:家を買う目的が「資産形成」なのか「居住性の確保」なのかをはっきりとさせる。漠然とした購入は、目的に合致しない物件を選ぶリスクがある。
住宅ローンを徹底的に比較する:金利はたとえ0.1%の違いでも総返済額に大きな影響を与える。変動金利か固定金利かを選ぶ際も、最終的には自分が「腹落ち」できるか、リスクを許容できるかを基準にすべきである。
家計を強化し資産運用を行う:インフレ時代においては、家計の強化と積立投資などの資産運用が不可欠だ。住宅ローンという大きな負債を抱えつつも、インフレに負けない財産形成を並行して進める必要がある。
最後に、住宅購入は多くの複雑な要素が絡み合うため、不動産のプロフェッショナルであるエージェントを味方につけることは極めて重要だ。専門知識を持った担当者に相談し、自分の背景や目的に合ったアドバイスを受けることで、リスクを最小限に抑え、最良の意思決定ができるだろう。