PIVOT TALK BUSINESS
脱他責思考のマインドセットとは
(2202)
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2025年10月22日

転職や昇進など、キャリアの悩みは尽きない。 ガリバーインターナショナル(現・IDOM)経営にも携わった吉田行宏氏は、成長する人としない人の差に「ブレーキ」の存在があるという。 誰もが成長し続けるためのマインドセットを聞いた。 <ゲスト> 吉田行宏|アイランドクレア代表 元ガリバー専務として創業4年...
成長を阻害する「大きな子供ブレーキ」の正体と、マインドセットで自走する組織を作る秘訣
誰もが心の中に抱える「ブレーキ」は、個人の成長だけでなく組織全体の発展をも妨げることがある。特に「大きな子供ブレーキ」と呼ばれる無意識下の負の感情は、私たちから行動力と主体性を奪う要因となりかねないものだ。では、この厄介なブレーキを外し、働く仲間やチームのマインドセットを向上させるためにはどうすればよいのだろうか。本記事では、私たちの成長を阻害する見えないブレーキの正体を探り、目標達成へと導く具体的なアプローチについて解説する。

Q. 成長を妨げる「大きな子供ブレーキ」とは何か?
「大きな子供ブレーキ」とは、大人になっても無意識のうちに残っている、自己中心性、自己顕示欲、見栄、妬み、怒り、恐れといった子供っぽい負の感情群を指すものだ。これは個人の行動を躊躇させ、ときにチームの目標達成を阻害する要因ともなる。例えば、音楽サークルを例に挙げると、目標達成に尽力するAさんに対し、Bさんは上達せず自信をなくし、Cさんは優勝へのこだわりから練習に馴染めず、Dさんは意見を強く主張するが周囲から反感を買い、Eさんはプライベートを優先して練習に集中できない。このような状況は、各々が抱える「大きな子供ブレーキ」によって生じると考えられる。
過去の経験もこのブレーキに大きく影響している。親から厳しく躾けられすぎた結果、会議で意見を言えなくなる人は少なくない。これは過去の「意見を言うと厳しくされる」という恐れが、大人になってもブレーキとして機能し続けているためだ。たとえ周囲が「自由に意見を言っていい」と促しても、根深く残るこのブレーキが発言を抑制するのだ。
Q. このブレーキを外すにはどうすればよいか?
「大きな子供ブレーキ」は、すぐに手放せるものではなく、解消には時間と段階的な努力が必要となる。まず最も重要な一歩は、このブレーキの「存在を知る」ことだ。自分自身や周囲の人間が、時に「大きな子供」として行動し、負の感情に支配されている可能性を認識することが大切である。

自分の心の内にそうした感情があることを自覚するだけで、その後の言動に対する客観的な視点を持てるようになる。例えば、パートナーとの関係においても、すぐに感情的にならず「今、自分の『大きな子供』が出てきているのかもしれない」と一歩引いて考えることで、衝動的な衝突を避け、より建設的な対応が可能となる。
また、上司が不合理に見える行動をした際にも「もしかしたら、上司の『大きな子供ブレーキ』が働いているのかもしれない」と理解することで、無用に苛立つことなく、その背景を洞察できるようになるだろう。存在を知り、認識することで、感情に振り回されることなく、冷静に対処する力を養うことができるのだ。
Q. 部下やチームメンバーの成長を促す具体的な方法は何か?
部下の成長を促すには、単純な命令や指示だけでなく、「経験の場」を提供し、主体性を育むことが極めて重要である。人は与えられたタスクをこなすだけでなく、自ら考え、行動することで大きく成長する性質を持っている。
例えば「トイレットペーパーがなくなったら交換しろ」という指示では、ただの作業となりがちだが、「会社の備品が常になくならない仕組みを考えるプロジェクトのリーダーを任せる」とすれば、メンバーは主体的に解決策を探し、最適な仕組みを考案しようと努める。このようなアプローチは、たとえ小さな仕事であっても、深い洞察と問題解決能力を育む貴重な経験となるのだ。

また、指導においては、相手との信頼関係の深さに応じた柔軟な対応が求められる。関係性の浅い新入社員には、まずは優しく接して信頼関係を築き、マインドセットが成熟した幹部クラスのメンバーには、時に厳しくも本質を突くフィードバックを与えることが重要だ。上司から厳しい言葉をかけられることを、単なる叱責ではなく、自分への期待と信頼の表れと捉えられるマインドセットを育むことが、対等で質の高いコミュニケーションの土台となるだろう。
Q. 「モチベーション」と「マインドセット」の違いは何か?マインドセットを高めるにはどうすればよいか?
「モチベーション」と「マインドセット」は混同されやすい概念だが、その本質は大きく異なる。モチベーションは、褒められたり、昇給があったりといった外部からの影響によって変動する、一時的な高揚感を示すものだ。これは短期的には有効であるものの、常に外部からの刺激を必要とし、刺激がなければ下がるという不安定さを伴うため、自律的な成長には不向きである。

一方「マインドセット」とは、その人の人生観や哲学といった内側から湧き出る、安定した思考の枠組みを指す。一度高まると簡単には下がらない持続性があり、外部環境に左右されず、自らを強く支える土台となるのだ。成長を求めるなら、外部要因に依存するモチベーションの維持よりも、内発的なマインドセットの向上に注力すべきである。
マインドセットを高めるには、メンバーが自ら考え、深く関与できる「場」を作ることが有効だ。その具体的な方法として「弁証法的会議」が挙げられる。これは、全員が自分の意見を同時に提出・議論する会議手法である。この方式は、声の大きい一部の意見に流されることなく、全員が当事者として真剣に思考し、議論に参加することを促す。これにより、参加者一人ひとりの主体性が育まれ、組織全体のマインドセットが高まり、自走する組織文化が醸成されるものだ。
Q. 働く動機となる「4つのアクセル」とは何か?そのバランスはどう考えるべきか?
成長を加速させる「動機アクセル」は、以下の4象限で整理できる。

「目に見える自分/家族の報酬」:金銭的なメリット(給料、昇格など)
「目に見えない自分/家族の報酬」:やりがい、自己成長、スキルアップ
「目に見える他者の報酬」:仲間の昇給や昇格、顧客からの目に見える評価
「目に見えない他者の報酬」:仲間や社会への貢献、顧客や会社の繁栄
これらの動機に優劣はなく、どの矢印が太い、長いといった「正解」は存在しない。重要なのは、これら全ての「矢印」がバランスよく、太く長い状態であることが、継続的な「働くパワー」の源泉となる点だ。自分の動機を定期的に棚卸しし、現状どの領域を強化したいのかを意識することで、より強く持続的なアクセルとなる。
個人の価値観や人生の時期によって、動機の優先順位や太さは変化する。若いうちは経済的メリットを重視する傾向があるかもしれないが、経験を積むにつれて自己成長や仲間、社会への貢献といった目に見えない動機に価値を見出すようになるのは、素晴らしい成長の証と言える。自分の内なる動機と向き合い、それらをバランスよく育てることが、自己成長を促進する基盤となるのだ。
Q. 自分の人生を豊かにするために持つべき心構えとは何か?
「仕事も自分の人生も、その経営者は自分自身である」というマインドセットを持つことが、人生を豊かにするための最も重要な心構えだ。自分の人生を他人に委ねず、全ての選択と結果に対して自らが責任を持つ意識を持つ必要がある。

現状に不満があるならば、他人のせいにしたり、誰かに「やらされている」と受け身になるのではなく、自ら行動を起こすべきだ。会社の方針に異論があれば、萎縮せずに意見を述べることも大切である。たとえ、その結果として今の職場を離れることになったとしても、主体的に意見を表明し行動した経験は、必ず次のキャリアや人生に活かされるだろう。
常に自らが舵を取り、自分の「大きな子供ブレーキ」だけでなく、他者のブレーキさえも許容し、自己責任で前向きに取り組むマインドセットは、やがて豊かな人生へと繋がっていくものだ。自分の可能性を信じ、自らの選択と行動で人生を切り開いていくことこそが、真の「経営者」たる所以であり、それができるよう応援したい。