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アベノミクス以来の大相場がやってくる:年内5万2000円も
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2025年10月21日

自民・維新連立が決まり、上昇する株価。マーケットはなぜ高市政権にポジティブに反応しているのか?高市政権の成長戦略のどこに注目すべきなのか?マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストに聞いた。 ▼ゲスト 広木隆|マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 上智大学外国語学部卒。神戸大学大学院・経済学研...
高市新政権が牽引する「大相場」:日経平均5万円超とAI時代を乗り切る「芸風」
高市新政権が誕生し、自民党と維新の会との連立政権が発足した。この政治的転換は市場に大きな期待をもたらし、日経平均株価は急速な上昇を見せている。

広木隆氏(マネックス証券チーフストラテジスト)の解説によると、この「高市トレード」は単なる短期的な動きにとどまらず、日本経済の長期的な成長を予感させるものだ。アベノミクスの「成長戦略」を再定義し、AI時代における働き方改革まで視野に入れた新政権の展望について探る。
Q. 高市政権が市場でポジティブに評価されている理由は何か?
市場が高市氏と自民・維新連立政権を歓迎する主因は、政治の不確実性後退と政権の安定にある。これまでの不透明感が市場の下落要因であったが、連立によって衆議院での議席数が増え、政策決定が円滑に進むとの期待が広がった。特に市場が注目するのは、単なる金融緩和や財政出動の継続ではなく、アベノミクスで未達成に終わった「成長戦略」への高市氏の強い意識である。市場は、高市氏がリーダーシップを発揮し、構造改革を断行することで、日本経済が根本的に好転することに期待している。これは単なる女性首相という話題性を超え、高市氏自身の実行力と成長戦略への強い意志が高く評価されていることを意味する。
Q. 高市氏が提唱する「ワークライフバランスを捨てる」発言の真意とは何か?
高市氏が提唱する成長戦略の重要な柱は、精神論や気合の再燃である。経済は「気から」という考えのもと、国民全体の意欲を高めることが経済成長に不可欠だとの認識がある。この背景には、過労死やブラック労働への反省から、日本の労働観が「働かなすぎ」に傾きつつあるという問題意識がある。高市氏の「ワークライフバランスを捨てる」発言は、こうした現状に警鐘を鳴らし、再び「がむしゃらに働く」気概を取り戻すことで生産性を向上させようというメッセージにほかならない。
現代において「ワークライフバランス」という言葉は、仕事と単なる余暇時間の切り分けと誤解されがちである。しかし本来は、育児や介護など生活上必要な時間との両立を指すべきもの。高市氏はこの機会に、働き方そのものを再定義し、国民が仕事に対して真剣に向き合う姿勢が、ひいては日本の生産性向上に繋がると訴えているのだ。
Q. AI時代において、日本の生産性向上に求められるものは何か?
生産性とは「アウトプットを労働投入量(労働者数×労働時間)で割ったもの」である。日本の労働時間は減少傾向にあり、この分母が縮小する中でアウトプットを増やすには、結局「頑張って働く」しかない局面がある。しかし、AIの劇的な発展は、この生産性向上へのアプローチを変えつつある。アメリカでは、AIを導入した企業でジュニアレベル(若手)の採用が明確に減少している事実がある。資料作成のような定型業務はAIに代替され、人間はより付加価値の高い仕事へとシフトしなければならない。AIを活用し労働投入量を減らすことで生産性を高めるという現実的な選択肢も現れているのだ。

このような状況で生産性を高めるには、人間はAIを使いこなしつつ、AIには真似できない領域で「ガッツ」を発揮することが不可欠だ。意欲と能力のある人材が、その成果を最大限に発揮できる社会構造へ転換することこそが、日本の成長戦略の鍵となる。
Q. 副首都構想や社会保障改革は日本経済にどのような影響を与えるか?
維新との連立によって推進される大阪副首都構想は、株式市場においてポジティブに捉えられている。大阪万博の成功で盛り上がった関西経済の失速を防ぎ、切れ目ない活性化を促す効果が期待される。また、東京への一極集中という長年の課題の是正に向けた具体的な一歩としても評価される。さらに、災害大国である日本にとって、首都機能の分散はリスクヘッジの観点からも極めて重要だ。万が一の大規模災害時にも、機能が維持できるよう都市の中枢機能を分散させておくことは、経済活性化と国家のリスク管理の双方に貢献する。
社会保障改革は、税との一体的な議論が必要な複雑な問題だが、議論の方向性には変化が見られる。これまで高齢者の票が多かったため「シルバー民主主義」として高齢者優遇が強く意識されてきた。しかし、近年では現役世代を重視する政策が支持を得る傾向にあり、高齢者優遇一辺倒ではない、未来志向の制度設計への転換が期待される。これにより、現役世代の将来不安が軽減され、日本経済全体への好影響が期待される。
Q. 高市流インフレ対策:賃金上昇が鍵を握る?
高市氏のインフレ対策の根幹には、「物価上昇を力で抑える」のではなく、「経済成長と賃金上昇」によって物価高を乗り越えるという思想がある。現在のインフレは、供給制約や人手不足に起因する「コストプッシュ型」であり、健全な需要増による「ディマンドプル型」ではないと分析している。そのため、安易な金融引き締めは経済成長を阻害しかねないと日銀を牽制し、成長戦略によって経済を活況にし、自然な需要増に伴うインフレと、それを上回る賃金上昇を目指している。

具体的な施策として、ガソリンの暫定税率廃止などの短期的な対策に加え、中小・零細企業への賃上げ支援を重視する。特に赤字企業でも適用可能な賃上げ税制の導入を提唱し、大企業だけでなく日本経済を支える中小企業の賃上げを促すことで、経済全体の底上げと国民の購買力向上を図る狙いがある。これはまさに「物価上昇を上回る賃金上昇」によって、国民が豊かさを実感できる社会を作るという高市流インフレ対策の本質である。
Q. 日経平均5万円は新たな大相場の始まりか、今後の展望は?
日経平均が5万円を達成したとしても、これは通過点であり、新たな上昇相場の「スタートライン」となる可能性が高い。年末には5万2000円到達も視野に入るとの予測がある。今後の株価を押し上げる要因として、日本企業の中間決算の好調、米国での利下げ観測に伴う世界的なリスクオンムード、そして来期以降の企業業績回復への期待が挙げられる。

現在の市場の状況は、2012年の第2次安倍政権誕生時と極めて似ている。当時の民主党政権による閉塞感を打破する期待から株価が急騰し、実際の政権発足後もその流れが継続し、大相場が始まった経緯がある。今回も石破政権退陣の意向が示された時点から株価が上昇しており、このパターンが繰り返される可能性がある。高市氏が安倍氏の後継者として長期政権を築き、成長戦略を軌道に乗せることができれば、日経平均5万円を起点としたアベノミクスを超えるような持続的な株価上昇トレンドが期待できるだろう。
Q. AI時代に人間が磨くべき「芸風」とは何か?
今後の最大のリスクは、AIバブルの崩壊ではなく、AIの急速な発展がもたらす「AI不況」、すなわち大規模な失業問題である。特にジュニアレベルの採用減少に見られるように、ExcelやPowerPoint作成のような定型業務はAIに代替されつつある。人間はAIに仕事を奪われないため、より高度な、AIにはできない仕事の領域を追求する必要がある。これは、専門職であるストラテジストにとっても例外ではない。
AIとの差別化を図る鍵は、「不連続な発想」や「思考のジャンプ」である。AIは膨大な過去データに基づいて予測を行うが、そこから導かれるのは過去の延長線上の答えに過ぎない。人間が優位に立つには、ロジックを超えた動物的な「勘」や、常識にとらわれない独自の「芸風」を磨くことが求められる。例えば、経済予測の場で突如としてルパン三世の逸話を語り、深い示唆を与えるような、AIには予測不可能な引き出しと展開こそが、この時代を生き抜く術となる。勘を磨き、独自の「芸風」を築く努力は、現代社会を生きる上で不可欠なものとなっている。