PIVOT Vlog
スポーツ実況とMCは何が違う?【西川典孝】
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2025年10月20日

PIVOTのMC陣などが「深堀りしたいテーマ」を、自由に語るアプリ・Web限定のトークコンテンツ「PIVOT Vlog」 <目次> 00:00 元アナウンサー直伝!声の表現術 04:58 スポーツ実況の舞台裏
元アナウンサーが明かす「声の操り方」プロの技で相手の心を掴む方法
言葉は情報を伝えるだけのツールではない。その裏側にある「声」には、聞き手の心を動かし、状況をコントロールする計り知れない力がある。
本稿では、長年声のプロとして活躍した元アナウンサーが、いかに声色を操り、相手に最適なメッセージを届けていたのかを深掘りする。
ビジネスシーンでのプレゼンテーションから日常の会話まで、声の表現力を高めるための実践的なヒントを具体的なイメージとともに解説する。

Q. プロはどのように声をコントロールし、印象を操作しているのか?
声のプロにとって、発声は単なる音を出す行為ではない。それは、自分の体から放たれる「空気の振動」をいかに相手に届けるか、という物理的なプロセスをイメージする。
相手との距離や状況に応じて、この「音の筒」のイメージを変化させるのが技術だ。例えば、目の前のディレクターへ向かって話す際は、口から相手の顔に真っ直ぐ向かうような、直径10~15cmほどの細い筒をイメージし、声を届けている。
これは、集中した、パーソナルな印象を与えることに繋がる。対照的に、大勢の聴衆を相手にする場合は、この筒をより大きく、広範囲に広がるように意識する。
このように、話す相手や場所に合わせて、発する声の「広がり」や「密度」を意図的に調整し、相手に与える印象や伝わり方をコントロールできるのだ。
プロのアナウンサーは、自分の体全体を一個の「楽器」と捉える。
自分の口という楽器がどのような音色を奏でるのかを常に意識し、状況に応じて音色を変化させることで、最も効果的なコミュニケーションを図る。これは単なる発声練習を超えた、表現者としての思考である。この意識は、会話、プレゼンテーション、さらには日常の挨拶に至るまで、あらゆるコミュニケーションシーンに応用が可能である。
Q. 声で相手の心をつかむための具体的なイメージとは何か?
相手との心の距離を縮めたい、あるいは秘密めいたニュアンスを伝えたい時、プロは「音の筒」の「密度」に意識を向ける。親密な距離での会話では、筒の密度を濃くし、吐く息の量を意図的に増やす。
これは、相手の耳元でささやくような、まるでそこに物理的な濃密な空気があるかのような感覚を生み出し、緊張感や色気のある声を意図的に作り出す。
この声の波動は、相手に寄り添い、親密さや信頼感を醸成する効果がある。
ビジネスの場で相手に共感を示したり、深い話をする際に、この「濃い筒」の話し方を活用すれば、より強く信頼関係を築けるだろう。
逆に、広い範囲に声を届けたい場合や、活発な議論を促したい場合は、筒を大きくし、広がりを持たせる。このような声は、聴衆全体にエネルギーを伝え、参加を促す。声をコントロールするこのイメージを持つことで、意図的に相手への印象を操作し、感情を揺り動かすことができるのである。
Q. 会話の流れを声の「矢印」で自在に操る方法があるか?
会話の進行は、話し手が発する声のトーンや抑揚、つまり「声の矢印」によって大きく左右される。この矢印を意識的に使い分けることで、会話の主導権を握り、相手の反応や感情をコントロールすることが可能となるのだ。

例えば、鋭く核心を突く質問を投げかける際は、声のトーンをわずかに上げ、「え、それどうしたいのですか?」と、問いかけの終わりが上向きに突き抜けるような「上向きの矢印」をイメージする。
これにより、相手は質問の重要性を認識し、集中して答える体勢に入る。この「上向きの矢印」は、活発な議論や問いかけが重要な場面で効果的である。
一方で、相手に共感を示し、安心感を与えたい時は、声のトーンを少し下げ、話の終わりが落ち着いて下がる「下向きの矢印」を用いる。
「うん、やはりそうなんですね。」といった、ゆったりとした語り口は、相手に「話を聞いてもらえている」という安心感を与え、心を開かせやすくする効果がある。
これにより、相手は本音を話しやすくなり、より深い議論へと移行できるだろう。
MCやファシリテーターが会話に彩りを与えるのも、このような「声の矢印」の巧みな使い分けによるものだ。自身のコミュニケーションに「声の矢印」の概念を取り入れることで、意図的に会話の質を高められる。
Q. 聴衆を惹きつけるスポーツ実況の秘密とは?
スポーツ実況アナウンサーの役割は、単に試合の状況を伝えるだけではない。聴衆にまるでその場にいるかのような臨場感を与え、興奮を共有させることが使命である。
そのための重要なテクニックの一つは、ワントーン上げた声で描写することである。
「プロ野球クライマックスシリーズ第2戦、横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガースの1戦、1回表、1番センター桑原が今、右バッターボックスに入りました!」のように、やや高めのトーンでリズミカルに情報を提示することで、聞き手の脳裏に鮮やかな映像を呼び起こし、試合への没入感を深めるのだ。
そして、最も重要な局面では、「間」の使い方が聴衆の心を掴む。
例えば、「8回の裏、2対2の同点!阪神タイガース、ここで一気に勝ち越しのチャンスなるか!
(ここで一瞬の間)
横浜DeNAベイスターズ、ピッチャー第9を投げた!」といった具合に、重要な展開の直前に意識的な静寂を置くことで、一気に緊張感を高め、次の瞬間への期待感を最大限に引き出す。
この「間」の演出は、ビジネスにおけるプレゼンテーションでも、キーポイントや結論を提示する前に活用すれば、聴衆の注意を引きつけ、メッセージの効果を飛躍的に高められる。
Q. 幅広い表現力を持つ元アナウンサーがこれから挑戦したい分野は何だろうか?
スポーツ実況者としての印象が強い元アナウンサーだが、意外にもNHK時代のメインの専門ジャンルは野球ではなくサッカーだったという。NHKでは春夏の甲子園があるため、全てのアナウンサーが野球実況を必須で学ぶものの、本人の専門はあくまでサッカーにあったのだ。

しかし、そうした訓練によって得られた汎用性の高い実況スキルは、多岐にわたるスポーツに対応できる表現力を養ってきた。
今後PIVOTにおいて、サッカーや野球といったメジャースポーツに留まらず、自身の得意分野である陸上競技、体操、アルペンスキー、スノーボード、ストリートダンス、ブレイキンといった、より多様なスポーツコンテンツの開拓
にも意欲を示している。彼の持つ幅広い知識と経験は、これまでのスポーツ番組とは一線を画す、新しい視点と熱気を視聴者に届けるだろう。これにより、視聴者は多様なスポーツの魅力を再発見し、PIVOTの新たなファン層の獲得にも繋がる可能性を秘めている。