PIVOT TALK BUSINESS
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2025年10月13日

AIが人間を超えるシンギュラリティも囁かれる現代。人間がAIと共に考えるには? ベストセラー『AIを使って考えるための全技術』著者の石井力重氏は「まずは”困りごと”から始めよ」と説く。課題ケースに応じたAIの考え方をスタジオで実践。 <ゲスト> 石井力重|アイデアプラント代表 早稲田大学非常勤講師...
近年、AIの進化は目覚ましく、ビジネスの現場に大きな変革をもたらしている。AIに仕事を奪われるといった漠然とした不安を抱く声もあるが、AIは単なる自動化ツールではない。人とAIが協力し、共に創造性を発揮する「人機協奏」の時代が到来しているのだ。
本動画では、発想法の専門家である石井力重氏が提唱するAI活用術を紹介する。AIとの新たな関係性を築き、ビジネス課題を解決し、私たち自身の創造的思考を向上させる実践的なアプローチを深く掘り下げていこう。

AIは現在、人間の言語を人間と遜色ないレベルで理解し、応答する能力を持つに至っている。チューリングテストでは70%以上の被験者がAIの応答を人間によるものと誤認したほどで、AIが単なる道具ではなく、人間の思考パートナーとして十分機能することを示している。

この変化は、AIが私たちにとって思考を共有できる「第二の脳」となり得る可能性を示唆する。今までの仕事術が根底から見直されるだけでなく、AIと人間が密接に連携することで、一人では成し得なかった創造的成果を生み出せる未来が現実のものとなりつつあると言えよう。
AIだけにアイデア出しを任せると「戦略の同質化」というリスクを招く可能性がある。複数のチームがAIを使用した場合、高品質ではあっても似通った結果に収束しやすくなるため、競争優位性を失う恐れがある。人間の独自の視点と発想を加えなければ、真の差別化は実現できないだろう。
さらに、AIに思考を丸投げし続けると、私たち自身の創造的思考力、いわゆる「創造的自己効力感」が低下する研究結果も示されている。AIをただ使うだけではなく、人とAIが協力し、イマジネーションを共に広げる「人機協奏」のアプローチが重要となる。この協働関係により、高いレベルの成果を達成しつつ、人間としての自信と能力を維持・向上させることができる。
AIが事実に基づかない情報を生成する「ハルシネーション」は、多くの利用者が直面する問題である。これはAIが「とにかく答えようとする」という内部的な評価関数によるもので、あたかもテストでわからない問題を適当にマークシートに塗りつぶす人間の行動と似ているという。
この問題に対処するため、プロンプトに「9割以上の自信がない限りは答えないでください」という一文を加えるだけで、ハルシネーションをある程度抑制することが可能になる。より確実性を求めるなら、ChatGPT、Gemini、Copilotといった複数のAIに同じ質問をし、回答が一致するかを比較することも有効である。複数のAIが同じハルシネーションを起こす可能性は極めて低いからだ。
多くの企業ではAIの社内導入に苦戦している。トップダウンでAI利用を強制しても、「また新しいツールか」「面倒だ」という抵抗を生みやすい。成功の鍵は「困り事集め」と「AI小ネタピッチ」というボトムアップのアプローチにある。

まず、社員の日常的な「困り事」を丁寧にヒアリングし、その解決策をAIを使って作成・提示する。例えば、「会議が長すぎる」といった悩みにAIが具体的な改善案を出す姿を見せるのだ。この実例を通じて「自分も使ってみたい」という意欲を喚起する。次に、昼休み前など気軽に集まれる時間帯に「AI小ネタピッチ」を実施し、最新のAIツールや面白い活用事例を短時間で共有する。この継続的な情報共有により、社員はAIの無限の可能性に気づき、自発的な利用へと繋がるだろう。
AIは具体的なビジネス課題に対して、従来の人間中心の発想では生まれにくい、多角的かつユニークな解決策を提供できる。「多数の専門家」という技法を用いることで、会議の長期化問題に対し、技術、ビジネス、社会科学者、ユーモアの専門家など、多様な視点からのアイデアを短時間で引き出すことが可能になる。例えば、「発言回数をコインで管理し、長すぎると減点、簡潔だと加点」といった、会議のゲーム化提案などが生まれたりする。従来は費用と時間がかかっていた専門家の招聘を、AIによって瞬時かつ無料で行えるため、アイデア出しのハードルは大幅に下がる。

また、営業活動で提案がなかなか響かないという悩みには、「広い観点」という技法が有効である。人間は一度思考を深めると視野が狭くなりがちだが、AIに「人・物・プロセス・意味価値・環境・五感」という6つの視点から提案を考えさせることで、思考の固定化を打ち破り、新たな切り口を発見できる。例えば、ウォーターサーバーの営業課題に対して「営業担当が水のソムリエ風に体験ストーリーを語る」といった人間中心のユニークなアイデアが生まれたりする。これらを足がかりに人間がさらに発想を広げ、顧客に刺さる魅力的な提案へと昇華できる。
AIが提供するアイデアは、決して最終成果物ではない。それは人間がさらなる発想を広げるための「材料」として捉えるべきだ。例えば、キャッチコピーの作成のようにマンネリ化しやすい作業でも、AIに「九つの型(SCAMPER法)」などの発想フレームワークを適用させることで、意図的に多様な角度からの意外性のあるアイデアを引き出せる。

例えば「ボタンで連結する傘」のキャッチコピー作成において、AIは「雨の日のデートにつながる距離感」や「パステルカラーでつながる楽しさ」といった、より感情的かつ創造的なフレーズを生成する。これらのアイデアは、人間の思考の補助輪となり、新しい商品利用シーンの想起や、商品改良への新たな着想に繋がる。「聞き間違いも創造性」という言葉があるように、AIの出したアイデアを人間の側が面白く解釈し、さらなる高みへと昇華させるプロセスこそが、AI時代の真の創造性と言える。
AIとの対話の蓄積は、あなたの独自の思考パターンや感性、そして仕事のノウハウが詰まった「新しいタイプの資産」となる。自分の「必勝パターン」や「ハウツー」を言語化し、プロンプトとしてAIに学習させることで、AIはあなた好みの高品質なアウトプットを効率的に生成する最強の思考パートナーへと進化する。
これにより、あなたは自身の専門スキルを「プロンプト」という形で他者にも共有できるようになる。あなたの分身ともいえるAIは、あなたがいなくても「あなた的な思考」で業務をサポートし、組織全体の創造性向上に貢献する。これは、これからのビジネスパーソンが持つべき重要なスキルセットと言えるだろう。