PIVOT TALK FOOTBALL
パラグアイ戦レビュー&選手採点。上田・佐野・渡辺が見せた進化
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2025年10月11日

土壇場で追いつき、2対2の引き分けとなった日本代表のパラグアイ戦。無得点に終わったアメリカ遠征からどこが修正されたのか?進化が見えた選手は誰か?ブラジル戦に向けた課題は何か?ミムラユウスケ氏に聞いた。 <ゲスト> ミムラユウスケ|スポーツライター 2006年7月にスポーツライターとしての活動をはじ...
日本代表対パラグアイ戦レビュー: 見えた収穫と課題、ブラジル戦への戦略
日本代表とパラグアイ代表の一戦は2-2のドローに終わった。しかしこの試合は、ただの結果にとどまらない。日本代表の今後のチーム作りにおいて、重要な示唆に富む内容となったのだ。強豪との激戦を通じて浮き彫りになった課題と確かな成長の兆しは、来たるブラジル戦に向けて重要な教訓を提供する。本記事では、この試合を徹底分析し、その全貌を解き明かす。
Q. なぜこの試合は日本代表にとって「意味があった」と言えるのか?
現在の日本代表が採用するのはボトムアップ型のチーム作りである。選手個々やチーム全体で生じたエラーを議論の出発点とし、そこから修正を加えていくプロセスを重視している。この試合は、チームの良い点と悪い点が共に顕著に現れ、選手間の具体的な議論を促す上で非常に有意義であった。

これまでの「戦術的な決め事がない」という選手からの声に対し、コーチ陣は攻撃における「台本」を提示した。これにより、選手たちは具体的な戦術を試し、その是非について議論する基盤を得た。その結果「頭でっかちになり自由な発想が失われた」という新たな課題も発生したが、これは次の段階へ進むための貴重なフィードバックである。
Q. 日本代表の攻撃に見られた良い点と課題は何か?
先制点は、複数選手による高い位置での激しいカウンタープレスから生まれた。奪ったボールを素早く縦につなぎ、小川航基がゴールを決めたこのシーンは、日本が目指す「守備から攻撃への素早い切り替え(ポジティブトランジション)」を体現した理想的な形であった。
同点ゴールは、上田綺世の卓越したFWとしてのクオリティが光るものだった。一度ゴール前から引いて相手のマークを外し、クロスに合わせるという質の高い動きは、個の力で試合を打開する重要性を示した。チームの攻撃における多様性が増した瞬間である。

攻撃における課題として、戦術に意識が集中しすぎるあまり、自由な発想が失われた点が挙げられる。特に、3人目の絡みが少なく、二者間の連携に終始する場面が散見された。これは相手守備をかく乱し、より多くの決定機を生み出す上で克服すべき課題である。
Q. 守備面ではどのような収穫と課題が露呈したか?
守備面では、試合開始から15~20分間の連動したハイプレスが効果的であった。前線の選手が積極的にボールを追うプル型のプレスは、相手のゴールキックが全てロングボールになるほど機能し、大きな収穫であった。
しかし、2失点はいずれも具体的なヒューマンエラーによるものだった。1失点目では、ボールにプレッシャーがかかっていない状況で瀬古歩夢がオフサイドトラップを試み、マークを放棄した結果、裏のスペースを突かれた。VARがない親善試合の状況も影響したが、判断ミスであることは明らかである。
2失点目は、瀬古が相手FWに楽にヘディングシュートを許したシーンに起因する。相手に体を寄せるだけでなく、絶妙なポジショニングや相手のバランスを崩す細かい駆け引きが欠けていた。板倉滉のように高いレベルで実践される個人戦術と比較すると、守備の質の向上が不可欠である。
一方で、ポジティブな側面もあった。前線の選手と最終ラインの選手たちが、いつハイプレスを仕掛けるか、いつ引くべきかというラインコントロールについて、試合後に活発な意見交換を行っていた。それぞれがリスペクトを持って課題を共有できたことは、チームとしての成長を示す要素である。
Q. 高評価を得た選手と、代表デビュー戦で課題に直面した選手の特徴は何か?
渡辺剛は守備のリーダーとして統率力を発揮し、前線の選手のハードワークに応える姿勢でチーム内の信頼関係を深めた。所属クラブであるフェイエノールトでファン・ペルシ監督から個別の指導を受けるなど、戦術理解度と応用力が際立っている。今後の更なる成長に期待が集まる選手だ。

佐野海舟は、ボール奪取から瞬時に攻撃へと切り替える判断力と、複数の相手を引きつけ縦に突破するドリブル、質の高いクロスで違いを見せた。守備的MFながら高い戦術眼と攻撃センスを併せ持ち、今回の代表戦で最高のパフォーマンスの一つを披露した。
田中碧は、プレミアリーグ基準の高いインテンシティで守備に貢献し、経験の少ない佐野とのコミュニケーションを通じて、彼の良さを引き出した。コンビネーションが機能したことは評価に値する。
斉藤光毅は、代表デビュー戦特有のプレッシャーに直面し、持ち味を発揮しきれなかった。劣勢の中での投入だったこともあり、「全部やらなければ」という気持ちから守備に奔走し、攻撃面で期待されるパフォーマンスを示せなかった。本田圭佑や守田英正も経験したように、代表戦で自分の力を最大限出すことは難しいが、ここでの経験は今後の成長につながるだろう。
Q. ブラジル戦へ向け、強豪との対戦で得られた教訓と戦略的な視点はどうか?
久保建英の今回の招集は、負傷に関する「セカンドオピニオン」を求める戦略的な意味合いが大きかった。スペインと日本のドクターで異なる診断が得られることで、今後の久保自身のケアに役立つというものだ。これは、アジア人選手特有の身体的特性への配慮としても捉えることができる。
強豪ブラジル戦の鍵は、「カウンターを考えた守備」であると久保建英は語る。相手にボールを支配される時間帯が増える中で、闇雲にボールを奪いに行くのではなく、どの位置でどうボールを奪い、どのように効率的に攻撃に転じるか、チームとして設計することが重要だ。
ブラジル戦では、3バックと4バックの使い分けも予想される。練習では、センターバックが本職の選手をサイドバックに配置した4バックでの守備練習も行われていた。対戦相手の脅威に応じて柔軟なシステム変更があるかもしれない。
鎌田大地の起用法は、ブラジル戦の日本の戦術意図を測る指標となる。もし鎌田がボランチで起用されればボールポゼッションを重視する狙い、シャドーやトップ下であればカウンターや速攻を意識する意図が強いと考えられる。彼のポジションに注目することで、日本代表の試合プランが見えてくるだろう。