ECONOMICS101
【2025年終盤のマーケット大予測】シナリオ別の日経平均
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2025年10月1日

日経・東証IRフェア2025で開催された注目対談「2025年年末マーケット予測」を大公開。永濱利廣氏と田中渓氏が語る今後の経済とは。 <ゲスト> 永濱利廣|第一生命経済研究所 首席エコノミスト 早稲田大学卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。第一生命保険入社後、日本経済研究センターを経て、...
日経平均株価は2030年に6万円台へ?日本経済の未来と賢明な投資戦略
日本経済は今、歴史的な転換点を迎えている。株価の高騰、日銀の金融政策転換、物価上昇と賃上げの定着は、私たちの資産形成や生活にどのような影響をもたらすだろうか。多くの投資家やビジネスパーソンがその行方を見守る中、市場の第一線で活躍する専門家たちが、日本経済の現状と将来について語った。彼らの見解から、今後の金融政策、経済成長の可能性、そして個人が取るべき投資戦略までをQ&A形式で深く掘り下げて解説する。

Q. 2030年、日経平均株価が6万円台に達するという予測の根拠は何か?
ブルームバーグで注目されたレポートによると、日経平均株価は名目GDPと長期金利という二つの要素によって、過去20年間の変動の92%が説明可能である。この分析モデルに、政府が半年ごとに発表する「経済財政の中長期試算」のデータ(名目GDP成長率、長期金利の見通し)を当てはめると、驚くべき予測が導き出される。

最も悲観的なシナリオとして、「過去投映ケース」(名目GDP成長率0.7%、長期金利が現状維持)を採用しても、日経平均株価は2030年に6万円台、さらに2034年には8万円台に達すると推計された。これは、ウォーレン・バフェット氏も推奨する長期ホールド戦略の強力な裏付けとなるデータであり、短期的な市場変動に惑わされず、長期的な視点での日本株保有が安心できる材料といえるだろう。
Q. 日本銀行の追加利上げはいつ、どのような背景で行われると予想されるのか?
日本銀行による追加利上げの可能性は年度内にあと1回とされ、10月もしくは1月が有力な時期と見られている。特に日銀の金融政策変更は、「展望レポート」の公表タイミングと一致する傾向があり、直近では10月がその時期にあたる。タカ派(金融引き締め派)のメンバーが利上げを提案し、ETF売却といった出口戦略への積極的な動きが見られる点も、早期利上げ観測を裏付けている。
また、政策決定において為替相場の動向が大きな鍵を握るという指摘がある。長年の歴史を見ても、日銀の政策は為替レートに左右される傾向があり、過度な円安が続く場合は利上げを加速させる要因となり得る。市場では12月利上げの可能性も指摘されているが、これはトランプ関税の影響などの経済データを踏まえ、拙速な判断を避けるべきだとの見方が根拠にある。日銀が企業決算(11月)やボーナス動向(12月)といったデータを精査し、12月や1月まで利上げ判断を遅らせる可能性も十分に考えられる。
なお、9月に突如行われたETF売却の方針発表は、市場にサプライズをもたらした。これは、通常見られる事前報道なしでの政策変更だったため、意表を突く形となった。しかし、その背景には、株価が絶好調で市場が過熱しているタイミングを捉え、将来的な利上げと組み合わせた際のショックを最小限に抑えるという、日銀の巧妙な戦略があったと評価されている。ETFの売却ペースが「解消まで112年」という超長期的なものであると判明すると、市場は冷静さを取り戻した経緯がある。この出来事は、日銀が市場への影響を慎重に見極めつつ、金融政策の正常化を着実に進めている姿勢の表れといえるだろう。
Q. 金利上昇は不動産市場や日本財政にどのような影響をもたらすのか?
金利上昇は、不動産市場に直接的な影響を与える要素だ。不動産関係者の間では、利上げが1%未満に止まることを願う声が多い。これは、金利が1%を超えると国債の利払い費が財政を圧迫し、最終的に財政破綻につながるという懸念があるためだ。

しかし、日銀が財政的な懸念を政策判断の決定的な要因として意識している可能性は低い。日銀は現在、日本国債の半分近くを保有しており、政府が日銀に支払う国債の利息は、最終的に国庫納付金として政府に戻る循環がある。そのため、金利上昇が日本の財政に与える負担は、一部で言われるほど深刻ではない。加えて、日銀が保有するETFの段階的な売却も、その売却益が国庫納付金として政府の税外収入となるため、日本の財政にとってプラスに作用するという意外な効果が指摘されている。これは財政健全化に貢献する新たな財源となり得る。
Q. 今後の市場動向を踏まえ、投資家はどのような戦略で資産形成を進めるべきか?
今後の不透明な市場環境において、賢明な投資戦略としては「長期投資を主軸とするポートフォリオ構築」が挙げられる。具体的には、まずは資産の8割程度をインデックスファンドなどによる長期投資に振り向け、安定した資産基盤を築くのが有効だ。長期投資は時に「退屈」に感じることもあるが、着実なリターンを生み出す土台となる。
そして、残りの2割程度を個別株や暗号資産(クリプト)、債券、未公開株などのオルタナティブ資産に充てることで、リスクを管理しつつ、投資の多様性や面白さを享受できる。資産が増えるにつれて、長期投資の割合を6割程度に下げ、変動資産の割合を増やすといった柔軟な調整も可能となる。特に、長期投資の配当収入だけで最低限の生活が賄えるレベルに達するまでは、長期投資の比率を高く保つことが推奨されている。これは精神的な安定だけでなく、確実な資産形成を促す上でも重要な戦略となる。
Q. 日本経済はデフレに逆戻りしないのか?成長への道筋はどうか?
日本経済がデフレに逆戻りする可能性は極めて低い。過去のデフレ期には企業が価格転嫁できず、人件費を抑制できたことが主因であった。しかし現在、日本では構造的な人手不足が深刻化しており、人材確保のために賃上げは不可欠である。この賃上げコストは企業によって製品・サービス価格に転嫁される構造へと完全に変化しており、インフレ経済への局面転換が起きている。今後もこの状況は続くと見られる。

政府が提示する経済見通しの中には、「高成長実現ケース」という、米国並みの潜在成長率(1%台後半)を達成するシナリオも存在する。しかし、現実的にこの高い成長を維持することは難しい。一方で、そこまで到達しなくても「成長移行ケース」や、先に述べた「過去投映ケース」であっても、物価上昇と緩やかな経済成長が見込まれる。次期総理が誰になるかによって、成長戦略のアプローチは異なり得る。例えば、高市氏のような候補者であれば積極的な財政出動による「資本投入型」の成長を、小泉氏のような候補者であれば規制改革を通じた「生産性向上型」の成長を目指す可能性がある。しかし、最終的には日本企業がグローバルに事業展開しており、世界の成長を取り込む力があるため、日本経済の未来を過度に悲観する必要はない。
Q. AI時代において、投資やビジネスに活用できる「信用力」の重要性とは何か?
AIが事実や数値を瞬時に提示できる現代において、情報の価値は「何を言うか」から「誰が言うか」へと劇的に変化している。企業広告やPRが、その裏に金銭的動機があると見透かされることで信用を得にくい時代にあって、個人が築く「信用力」は極めて重要な資産となっている。この信用力は複利で増加する特性を持ち、価値ある情報を無償で発信し続ける人物が何かを成し遂げたい時、多くの協力者を得られる可能性を秘める。
この「信用力」の本質は「誠実さ」に集約される。具体的には、自身が思ってもいないことを口にしないこと、そして短絡的な注目を集めるために強い否定的発言を避けることが不可欠だ。SNS時代においては、簡潔で強い否定的な発言は注目を集めやすいが、それは短期的な「小遣い稼ぎ」のようなものであり、長期的な信頼構築を損なう。目先の利益に惑わされず、誠実に情報発信を続けることが、お金以上の価値を生み出し、AI時代における真の「人的資本」となるだろう。