ビジネス虎の巻
英語学習の最適アプローチ【斉藤淳×ATSU】
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2025年9月29日

子どもを英語堪能にするには早い方がいいのか?敏感期か否かによってアプローチは変わる?日本に暮らしながら子どもをバイリンガルにする教育の最適解について斉藤淳氏とATSU氏に聞いた。 <ゲスト> 斉藤淳/JPREP代表 ATSU/英語YouTubeチャンネル Atsueigo サムネイル 写真:iS...
早期英語教育の落とし穴?グローバル人材を育む親の心得と学習法
多くの親が抱える英語教育の悩みは尽きない。「早期から始めないと手遅れになるのでは」「インターナショナルスクールに入れるべきか」といった焦りを感じる者も多いだろう。
しかし、子どもの英語教育には盲点が存在し、やみくもに高額な投資をするだけでは成功は遠のくことがある。
本稿では、本当に効果的な子どもの英語教育、大人の再学習、そして留学の真の価値について、識者の見解を基にQ&A形式で深掘りしていく。
子どもが持つ「好き」の力を最大化し、親自身が理想の姿を示すことで、自律的なグローバル人材を育む道筋を探る。

英語学習に関する親の一般的な焦りの克服法
「英語ができる」の明確な定義と目標設定
効率的な英語学習の順番と具体的な手法
留学の真の価値と最適な活用方法
Q. 小学生での早期英語学習は本当に必要か?焦りの背景と子どもへの向き合い方を教えてほしい。
小学生で英検上位級に合格する事例に親が焦る必要はない。発表会向けの「詰め込み」学習は、必ずしも将来の応用力ある語学力につながらない場合も多い。
子どもの「好き」を優先し、その時間を確保することが重要だ。プログラミングやスポーツなど、興味ある分野に没頭する経験が、後に他の学習に取り組む集中力や探求心を育む基盤となる。
英語は多くのスキルの一つであり、絶対的なものではない。中学から真剣に英語を始めても、ケンブリッジ大学のようなトップ校へ進学した例もある。
親は隣の子やSNS上の成功事例と比較せず、子どもの昨日と今日の成長を見守り、できた点を褒める姿勢が、子どもの健全な発達につながると言える。
Q. 日本のインターナショナルスクールにさえ通えば、子どもの英語力は自動的に劇的に伸びるのか?
インターナショナルスクールに在籍したからといって、英語力が自動的に向上するとは限らない。これは大きな盲点である。
理想的な環境は、英語を母語とする同世代の子どもが8割程度を占める中で学ぶことだが、現実は英語非母語話者ばかりで構成されるクラスも珍しくない。
教師も含めノンネイティブの英語に常に触れる環境では、期待した学習効果は得られにくいだろう。安易に高額な授業料を払う前に、生徒の国籍比率、教師の言語能力、具体的なカリキュラムなど、教育体制を慎重に見極める必要がある。
イギリスの私立校ですら、経営悪化から留学生を増やし、英語非母語話者の割合が増加傾向にあるという背景も理解しておくべきだ。
Q. 「英語ができる」とは具体的にどのような状態を指すのか?日常会話の難しさや具体的な目標設定も教えてほしい。
「英語ができる」の定義は、挨拶や簡単な受け答えではない。自分の意見を正確に伝え、相手の話し内容を明確に理解し、ビジネスミーティングやアカデミックな議論に参加できるレベルを指す。

定量的には、多くの海外大学が留学生に求めるIELTS 7.0以上、TOEFL 90点以上を目安とすべきだ。これはアカデミックな世界で通用する英語力の「最低基準」である。
「簡単な日常会話だけできれば良い」と考える人もいるが、実際の日常会話は食事、趣味、仕事、悩みなど多岐にわたる話題について詳細な説明を求められるため、非常に難しい。
そのため、結果として高いレベルの目標を設定することが、本当に必要な日常会話能力の向上にもつながると理解しよう。
Q. 年齢を重ねてから英語学習を始める場合、何から手をつけるべきか?効率的な学習順序と具体的な手法を教えてほしい。
大人になってからでも、英語力の向上に順序は変わらない。まずは知識面から「発音→文法→単語」の順で学習すべきである。
発音は知識量が少なく、1日3時間の集中学習で2〜3週間あれば体系的な知識は完了できる。文法も同様に1日3時間で2〜3ヶ月で基礎を固められる。
発音と文法という「終わりがある」学習を先に片付けることで、その後は「ほぼ無限」にある単語学習に集中できる状態を作ることが効率的だ。
文法学習のゴールは、高校レベルの文法事項を他人に具体的な例文で説明できるようになることだ。単語学習は、1周で完璧を目指さず、発音記号を見ながら発音し意味を確認し、簡単な英文を自作するサイクルを何周も繰り返すことが重要となる。
Q. 英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)の中で、最も重点的に強化すべきスキルは何か?その理由も知りたい。
4技能の中で最も焦点を当てるべきは「スピーキング」だ。スピーキングは、自分の発音や文法、単語の知識を瞬時にアウトプットする必要があり、他の技能と比較して最も高い総合力が求められるスキルである。

スピーキング能力を鍛えれば、「大は小を兼ねる」という原則に基づき、ライティングやリーディングの能力も派生的に向上する。例えば、話すような感覚で文章を書いたり、読んだりすることが可能になる。
スピーキングの具体的な練習法として、演劇や詩の朗読のように、セリフやきちんとした文章を暗唱することも非常に効果的だ。英語を母語とする者でさえ、人前で話す表現力を磨くために演劇を必修科目にしている学校もある。
Q. 英語学習を継続させ、最大限の成果を出すために最も重要なことは何か?学習の「継続」「量」「質」の関係性とは?
英語学習における最も重要な要素は「継続」であり、次に「量」、最後に「質」が来る。多くの人が、魔法のような最適な学習法(質)ばかりを追い求めがちだが、学習量が少なく、継続しなければその効果は限定的だ。1日10分の学習を続けても、飛躍的な成長は難しい。

継続を促すためには、長期的な目標(例:海外でのキャリア構築)を設定し、それに向けて到達すべき短期目標(例:〇月までに英検合格、〇点獲得)をマイルストーンとして複数設けることが有効だ。
忙しい社会人は、運動しながら英語コンテンツを視聴するなど、「ながら学習」を工夫し、日常の中に学習時間を確保することも重要である。常に成長機会を探す意識が、英語力を実践的に高めていくことに繋がる。
Q. 留学の真の価値は語学力向上以外にもあるのか?日本での学習との違いや最適な時期について知りたい。
留学の真の価値は、語学力の習得にとどまらない。異文化を持つ人々との協働体験を通じ、多様な価値観を理解し、国際社会で通用する振る舞い方を肌で学ぶ機会が最大の利点である。
例えば、海外の議論では積極的に発言しなければ評価されないなど、日本と異なるコミュニケーション様式を実感することは、深い異文化理解に繋がる。
留学前に日本で英語の土台を固めることで、現地での実践が「アハ体験」として知識の定着を促進し、学びを加速させるだろう。また、海外での生活はキャリア選択の幅を広げ、日本を客観的に見る視点も与えてくれる。
1年間の短期留学であれば、中学3年生から高校1年生頃が、語学力と学力のバランスが取れており、帰国後の進路にも比較的影響が少なく、推奨される時期だ。