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投資の本質とは何か?【奥野一成×杉村大蔵】
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2025年9月27日

売買型とオーナー型投資の違い学びである。今の日本人に伝えたい“投資の本質”とは何か?奥野一成氏と杉村太蔵氏に聞いた。 【出演】 奥野一成(農林中金バリューインベストメンツ株式会社 常務取締役兼最高投資責任者 CIO) https://x.com/okunokazushige 杉村太蔵(タレント/...
投資の本質とは何か?専門家が教えるオーナー型株式投資の魅力
NISAの累計買付額が56兆円を超えた今こそ知りたい「投資の本質」とは?奥野一成氏と杉村太蔵氏が初共演で議論を交わす。

Q. 投資の本質とは何か?
投資とは単なる売買ではなく、素晴らしい企業のオーナーになることだ。農林中金バリューインベストメンツの奥野一成氏は、投資を「社会の課題を解決する企業のオーナーになる行為」と定義する。

「投資と聞くと、安く買って高く売ってリターンを得ることと捉える人が多いですが、本質的には素晴らしい企業のオーナーになることです。例えばディズニーに投資すれば、ミッキーマウスが世界中のディズニーランドで、株主のために踊ってくれているというセンスを持てるかどうかが重要です」
杉村太蔵氏も「投資は社会の課題を解決したり、社会をより良くするための応援」だと語る。単に自分の資産形成だけでなく、社会貢献という側面があるという視点だ。
「資産形成と投資は少し違う意味合いを持っています。資産形成は自分の老後のためでいいと思いますが、投資となると、その会社に成長してほしい、その会社が成長すると社会がより良くなるという観点もあるのではないでしょうか」
Q. なぜ資本収益率は経済成長率を上回るのか?
経済学者トマ・ピケティの「21世紀の資本」では、資本収益率(投資によるリターン)が経済成長率(労働者としてのリターン)を必ず上回ると指摘されている。これは構造的な問題だが、個人としては資本側に回る、つまりオーナーになることが解決策となる。

奥野氏は「売買することではなく、オーナーになることが重要です。自分で売買していると、それは自分が働いているだけなのです」と説明する。
杉村氏は投資の本質をわかりやすく例える。「お金は自分の子供だと思っています。この子供を不安だからといって銀行に預けておくのは、家の中に閉じ込めておくようなもの。リスクはないかもしれませんが成長しません。この子をブリヂストンや三菱商事など優良企業に送り出して鍛えてもらい、20年経って大きく成長して帰ってきてほしい。できれば年に2回くらい仕送りしてきてほしい。そういう感覚です」
Q. 売買型とオーナー型株式投資、どう違うの?
投資には大きく分けて「売買型」と「オーナー型」の2種類がある。奥野氏によると、売買型はバリュエーション(PERやPBRなど)に注目し、株価が安い時に買って高くなったら売る投資スタイル。一方、オーナー型は1株あたり純利益(EPS)がずっと増えていく企業に投資し、長期保有するスタイルだ。
「最も大きな違いは学びがあるかどうか。売買型は相場やチャートの動きは学べるかもしれませんが、それはビジネスパーソンとしての学びではありません。オーナー型なら、ブリヂストンがなぜ強いのか、社会の課題を解決し続けるビジネスモデルなのか考えることになります。これはビジネスパーソンとしての大きな学びになります」
杉村氏自身も、以前はデイトレードをしていたが、現在は長期投資スタイルに変更した。「私は46歳ですが、70歳までは持ち続けたい。あと25年はポートフォリオを基本的にガチッと決めて持ち続けるイメージです」
Q. 優良企業を見分ける「参入障壁」とは?
長期的に成長し続ける優良企業を見分けるポイントは「参入障壁」だ。奥野氏は企業を選ぶ際、①付加価値(世の中のためになるか)、②競争優位性(参入障壁)、③長期持続性、の3要素をチェックする。中でも最も重要なのは参入障壁だという。
「例えばVISAやMasterCardのような決済システムは、今から新規参入して信用を得るのは不可能です。規模の経済が働くビジネスは、新規参入者が既存企業に追いつくことが極めて難しい」

具体例としてコストコのビジネスモデルを挙げる。「コストコは儲けの7割がメンバーシップ費。通常の小売りは原材料に3割上乗せしますが、コストコは13%しか上乗せしない。商品点数も4,700点に絞り、大量仕入れでディスカウントさせる。だからメンバーシップ費を払ってでも、トータルでお得になる」
Appleも参入障壁が高い企業だ。「iPhoneという機械を作って儲けるのではなく、AppStoreやアクセサリーで収益を上げ、ユーザーを囲い込む。一度Appleの製品を使うと、データが他の環境に完全に移行できないため、ずっとAppleを使い続けることになる」
Q. 投資にはどんな学びがあるの?
オーナー型投資の大きな魅力は、ビジネスパーソンとしての学びが得られること。奥野氏は「投資を通じて企業のビジネスモデルを研究することは、自分の仕事にも活かせる」と言う。
「コストコの例で考えると、単なる物売りではなく『ここに行けば最も安いものが手に入る』という価値を提供している。こうした発想を抽象的に考えると、自分の仕事においても『こうした方がいいのでは』と上司に提案できる。投資でちょっと儲かるよりも、ビジネスパーソンとしての学びを得られる方が人生においてはるかに価値がある」
杉村氏も「企業のバランスシート(BS)を追いかけて見ていくのは勉強になる。事業をしっかり理解することも必要になり、それが普段の生活にも活きてくる」と投資による学びの価値を強調する。
Q. 投資家として大切な姿勢は?
奥野氏は「ウォーレン・バフェットが1990年代に言った言葉が好きです。『当時の中央銀行総裁グリーンスパンが自分の耳元で金融政策について何を囁いてくれても、自分のやることは変わらない』と言い切った。大統領が何を言うかわからなくても、コカ・コーラが儲かることを自分は知っている、というのがバフェットの姿勢です」
投資家にとって、短期的な経済・政治の動向に左右されず、企業の本質的な価値を見抜く目を持つことが重要だということだ。
投資の本質は単なる売買ではなく、優れた企業のオーナーになって成長を共有すること。それによって自分の資産形成だけでなく、社会課題の解決に貢献できる。そして何より、投資を通じて得られるビジネスの学びこそが、人生における真の価値となるのだ。