PIVOT Vlog
クリエイター必読・必見コンテンツ【東京科学大教授 柳瀬博一】
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2025年9月15日

PIVOTのMC陣やスペシャルゲストが普段の番組収録を通じて感じた「気づき」や「深堀りしたいテーマ」を、自由に語るアプリ・Web限定のトークコンテンツ「PIVOT Vlog」
クリエイターの真髄を学ぶ:一流の作り手たちに共通する「テーマの掘り下げ」とは
多くのクリエイターは一つのテーマを生涯にわたって探求し続けている。東京科学大の柳瀬博一教授に、創作の核心と学びの方法について聞いた。

Q. クリエイターとして学ぶために、おすすめの作品や本はありますか?
あらゆる作品から学べるが、何より大切なのは楽しむこと。実は61歳になった今が人生で一番アニメを見ている時期だ。Netflix、Amazon Prime、Hulu、Apple TV、ディズニープラス、全て契約して小学生のように熱心に視聴している。
多くの作品に触れると見えてくることがある。それは優れたクリエイターは一つのテーマを繰り返し作り続けるという事実だ。自分が作りたい核となるものが見つかれば、何度もリメイクしていいのだ。
Q. 具体的にどのようなクリエイターがテーマを掘り下げ続けていますか?
特に若い方にわかりやすい例として新海誠監督が挙げられる。2016年の『君の名は』が代表作だが、その物語は時空の異なる場所にいる男女の話だ。この二人が会えるか会えないかという展開を軸に世界が動く。

新海監督はデビュー作『ほしのこえ』から一貫したテーマを持っている。『ほしのこえ』は遠い宇宙に旅立った女性と日本に残された男性が通信する物語だ。宇宙の距離によって時間がずれていくという設定が核になっている。
その後の『秒速5センチメートル』も小学校時代の転校で離れ離れになった男女の物語。さらに『天気の子』や最新作『すずめの戸締まり』まで、新海監督は「時空がずれた男女の関係性から何が生まれるか」というテーマを一貫して描き続けている。
Q. 小説家にも同様の例はありますか?
村上春樹氏もテーマ設定が明確だ。デビュー作『風の歌を聞け』から始まる三部作では、主人公「僕」の前に二つの世界が登場する。芦屋の町に戻ってきた自分と東京にいる自分、親友のネズミとの物語において、主人公が複数の場所を行き来する構造になっている。
これは『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』や『1Q84』など後の作品でも継続している。現実と異世界の二つの世界が並行して存在し、どこかで繋がっているという形式だ。村上春樹氏も自分のテーマをガッチリと決めて探求し続けている。
Q. 映画監督でこうした特徴を持つ人はいますか?
クリント・イーストウッド監督も顕著な例だ。若い頃はマカロニウエスタンのアクションヒーロー、中年期は『ダーティハリー』シリーズの刑事役として世界的スターになった。どちらもB級アクション映画と言われるジャンルだが、従来型のアメリカンヒーローの否定形、つまりアンチヒーローとして登場したことが特徴的だ。
イーストウッドが監督業に転じてからの作品、『許されざる者』『ミスティック・リバー』『ミリオンダラー・ベイビー』などのアカデミー賞受賞作でも、共通するテーマがある。それはアメリカが信じてきた正義が崩れていく様を描き、「どうやったら正義は回復できるのか」を問い続けていることだ。

明確な答えを出さないながらも、例えば『ミリオンダラー・ベイビー』では貧しい少女をボクサーに育てる高齢トレーナーの姿を通じて、社会の底辺の現実を描きつつ、正義や正しさを問い続ける。同じことを新しい器で描き続けているのだ。
Q. 日本の漫画家にもそういった例はありますか?
冨樫義博氏の『幽☆遊☆白書』と『HUNTER×HUNTER』も基本的な物語構造は同じだと言える。『幽☆遊☆白書』で飽き足らなかったものを『HUNTER×HUNTER』で書き直しているとも考えられる。
Q. クリエイターとして学ぶ上で大切なことは何でしょうか?
巨匠たちに共通するのは、自分のテーマややりたいことが決まったら、自分でセルフリメイクしながら深めていくことだ。科学者も同じで、一つの概念について「こうではないか」と永遠に問い続けている。
見かけは様々なことをやっているように見えても、実は一つのテーマを掘り下げていくことが、結果として新しい作品になっている。一流のクリエイターには、そういった特徴が案外多い。
いろいろな失敗を経験してもいいが、自分が本当に伝えたいテーマやメッセージを見つけてほしい。そのためには、興味のあるクリエイターの作品をとことん見て、その人の人生のモチーフは何かを見抜くことが大切だ。
Q. 実践的なアドバイスはありますか?
好きなクリエイターを見つけたら、その人の最初の主要作品から最新作まで、面白くなくても全て触れてみることをおすすめする。そうすることで、一人のクリエイターがどう成長し変化したのか、何が変わって何が変わらないのかがはっきりと見えてくる。

気に入った作品が一つでもあれば、その作者のデビュー作から現在までを追いかけることで、創作の核心が見えてくるはずだ。芋づる式に学ぶことで、自分自身の創作の指針も見えてくるだろう。