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総裁選展望:主要候補者の経済政策と政治思想をマトリックス分析
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2025年9月11日

10月4日の投開票が決まった自民党総裁選。有力候補者の経済政策、政治思想、支持者層、野党連携にはどのような違いがあるのか?誰が現時点で優勢なのか?マーケットはどう反応するのか?経済アナリストのジョセフ・クラフト氏に分析してもらった。 <ゲスト> ジョセフ・クラフト|経済アナリスト/東京国際大学 副...
日米関税合意の真相と自民党総裁選の行方 経済アナリスト ジョセフ・クラフト氏に聞く
「アメリカ側の言い分がほぼ通ってしまった」——日米関税交渉の衝撃の内幕と、与野党連携の鍵を握る自民党総裁選の展望

Q. 日米関税合意は日本にとって良い結果だったのでしょうか?
実はそうではありません。9月4日に署名された大統領令と赤沢大臣の記者会見を見ると、ほぼアメリカ側の言い分が通ってしまったことに驚きました。もう一つ驚いたのは、ほとんどのメディアがこの問題を深く掘り下げていないことです。
この合意には非常に問題のある条件が含まれています。例えば、80兆円の融資枠組みについて、当初は時間制限がなかったはずですが、実際には2029年1月19日(トランプ大統領の任期中)までに全額を支出しなければならないという条件が付いています。これは現実的ではありません。国内需要は80兆円もないため、海外企業にも融資する必要が出てくるでしょう。
さらに融資先はトランプ大統領の裁量で決定され、日本は45日以内にそれを承認するか判断し、資金を振り込まなければなりません。承認しない場合はアメリカが関税を引き上げられるという条件も付いています。
融資の利益配分についても、融資回収までは日米で50-50で分担しますが、回収後の利益はアメリカが9割、日本が1割という信じがたい条件になっています。これは金融の常識からしても考えられない仕組みです。

Q. なぜ日本はこのような条件を受け入れたのでしょうか?
日本側が大きく妥協したのは、自動車関税と自動車部品の関税を15%に引き下げること、そして日本の農産品の関税をTPP並みの水準で維持することという二つの目標を得るためだったと推測します。
しかし、その他の条件では大きく譲歩しています。例えば、15%以下の関税は15%に引き上げられ、15%以上の関税はそのままです。一方、ヨーロッパの場合は全て15%に下がるため、日本はヨーロッパよりも不利な条件になっています。
また、アメリカ側の説明によれば、日本は主要産業で「画期的開放」をするとされています。さらに、アメリカ企業は日本でアメリカの安全基準のみで製品を販売できるようになります。
アメリカ側はこの合意によって貿易赤字が縮小し、経済が拡充すると主張していますが、実際にはそうなるとは思えません。将来、成果が出ないとなれば、アメリカがさらに日本に圧力をかけるリスクも残されています。
Q. 自民党総裁選はどのような仕組みで行われるのでしょうか?
総裁選はフルスペック方式で10月4日に投開票が行われます。議員票295票と党員票295票の計590票で候補を選びます。1人の候補が過半数を取れば当選となり、過半数を取れない場合は決選投票に入ります。
決選投票では、1回戦の1位と2位の候補が争います。この場合、議員票は同じ295票ですが、党員票は都道府県連の47票になるため、党員票の影響が薄まります。
前回の総裁選では、高市氏は党員票を多く獲得しましたが、議員票では少なかったという特徴がありました。そのため、フルスペック方式の1回戦では高市氏に有利な面があるかもしれませんが、決選投票になると不利になる可能性があります。

Q. 現時点での有力候補と支持基盤はどうなっていますか?
JNNの世論調査によれば、次の総理にふさわしいのは誰かという質問に対して、小泉氏と高市氏が同率1位で19.3%となっています。興味深いのは、自民党支持層に限ると小泉氏が29.1%、高市氏が19.1%と、小泉氏が強くなる点です。

属性別に見ると、小泉氏は女性、特に高齢者に人気があり、高市氏は男性と若者・中高年層に支持されています。自民党員は高齢男性が多いため、党員票では高市氏が有利かもしれません。
派閥の動向も重要です。菅グループと石破グループは小泉氏を支持していますが、麻生派・茂木派・岸田派はまだ態度を明確にしていません。岸田派は林氏を支持する可能性があり、この場合、本来小泉氏に行くはずだった票が分散する可能性があります。
最終的には麻生派がどちらに行くかで流れが決まるでしょう。麻生氏は前回高市氏を支持しましたが、今回はあまり積極的に支持する声が聞こえてきません。
Q. 総裁選後の連立・連携の可能性はどうでしょうか?
自民党が少数与党となった現状では、総理になるためには野党の支持が必要です。それぞれの候補者と野党との関係を見ると、茂木氏は国民民主党と、高市氏は参政党と、小泉氏は日本維新の会との関係が強いと言われています。
政策面では消費税が大きな争点になるでしょう。石破政権は消費税を維持し、2兆円程度の給付金でインフレ対策を行おうとしています。一方、立憲民主党と維新は食品への軽減税率0%を12年間実施する案を出しており、これには約5兆円の財政コストがかかります。

政策スタンスから見ると、維新との連携・連立の可能性が高いと考えられます。維新の重要政策である副都心構想は、自民党としても受け入れやすいものであり、ここで折り合いがつけば連携が進む可能性があります。そうなると、自民党内では小泉氏と維新の関係が軸になるかもしれません。
Q. マーケットは総裁選をどう見ているのでしょうか?
マーケットは誰が総理になっても財政拡張の可能性が高いと見ています。実際、30年国債の金利は上昇傾向にあり、10年国債との金利差は拡大しています。これは財政拡張への警戒感の表れです。
候補者の金融・財政政策スタンスを見ると、高市氏は金融緩和派・財政拡張派として突出しています。一方、他の候補者は比較的中道的な立場にあります。そのため、高市氏以外が当選した場合、マーケットの反応は限定的になるでしょう。
為替市場では、アメリカの利下げ期待を背景に日米金利差が縮小しており、理論的にはドル安・円高に向かうはずですが、最近はその動きと一致していません。今後1〜2ヶ月以内には145円以下の円高になる可能性があると予想しています。

Q. 次期政権の経済政策の課題は何でしょうか?
最大の課題はインフレ対策です。ただし、消費税減税はインフレ対策というよりも景気対策であり、むしろインフレを加速させる可能性があります。
一方、給付金は社会保障として位置づければ有効な対策になりえます。お金を使わずに貯金されても、安心感を与えるという意味では目的を達成できます。
また、食料品にかかる消費税を5%あるいは0%にすることは、直接物価を下げる効果があり、経済対策と社会保障の間を取る意味では議論の余地があります。
問題は、消費税減税を行うと恒久的な財源が必要になることです。短期的な減税は事業者のコスト負担が大きく、また消費の前倒しを招くだけで効果が限定的です。長期的な視点での政策立案が求められます。
Q. 総裁選の結果をどう予想しますか?
現時点では小泉氏が60〜70%の確率で当選すると見ています。高市氏は残りの25〜30%、林氏と茂木氏は合わせて5%程度でしょう。
ただし、総裁選はまだ始まっておらず、何が起きるか分かりません。小泉氏と高市氏の両方に否定的な意見が強まれば、茂木氏のような実務型の候補が浮上する可能性もあります。
また、前回の総裁選では小泉氏はディベートで失速した経緯があり、今回も同様のことが起きる可能性があります。現時点では小泉氏が有利ですが、状況は流動的です。
特にトランプ政権との関係という観点では、茂木氏が最も経験があり頼りになるでしょう。しかし、総裁選はそれだけで決まるものではなく、他の候補者も総理になれば外交関係を構築していくことになります。