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石破vs.反石破の最終決戦:総裁選はあるのか?勝つのは誰か?
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2025年9月4日

党四役が辞意を表明した自民党。石破首相は辞任を受け入れるのか?前倒しの総裁選はあるのか?9月8日の投票を左右する要素は何か?そして、新総裁によって連立シナリオはどう変わるのか?朝日新聞の林尚行・前政治部長に聞いた。 <ゲスト> 林尚行|朝日新聞 前政治部長 1995年朝日新聞入社。小泉純一郎、小沢...
早期総裁選は行われるのか? 自民党の混迷する政局を読み解く
9月8日の意思確認書提出を巡り、自民党内は大混乱——石破政権の行方と権力闘争の構図
朝日新聞前政治部長の林尚行氏に、参院選後の自民党の動きと早期総裁選の可能性について聞いた。石破茂首相の続投を巡る議論、党4役の進退、9月8日の総裁選管理委員会に向けた動きなど、自民党内で繰り広げられる権力闘争の最前線を詳説する。

Q. 参院選敗北後も続投した石破首相だが、党4役が辞任表明した今、政権はどうなるのか?
党4役(幹事長の森山裕氏、総務会長の鈴木俊一氏、政務調査会長の小野寺五典氏、選対委員長の木原誠二氏)は辞表を石破総裁に預けました。これは完全に辞任したわけではなく、「責任を示すが、実際に辞めるかどうかは総裁の判断に委ねる」というものです。
特に注目すべきは森山幹事長の動向です。彼は石破政権を支える最重要人物であり、彼がいなくなれば石破政権は持たないと広く認識されています。森山氏自身も「辞表は出したが、それを有効にするかどうかは総裁の判断」と述べています。これは社長に辞表を出しながら「私が辞めるかどうかは社長次第です」と言っているような状況です。

石破首相は一貫して森山幹事長に辞めてほしくないと考えており、辞表を受け取った後も「余人をもって代えがたい」と評価しています。この言葉は文字通り「他に適任者はいない」ということですから、辞表は預かっても、すぐには辞めさせない意向と考えられます。
Q. 9月8日に予定されている「総裁選前倒し」の意思確認はどのような形で行われるのか?
9月8日に総裁選管理委員会が開かれ、そこで総裁選前倒しの意思確認が行われます。自民党所属国会議員295人と47の都道府県連代表を合わせた過半数である172以上の署名があれば、早期総裁選が実施されることになります。
議員たちは署名・捺印した意思確認書を自民党本部に持参することになります。これは単なる手続きではなく、党本部の階下にいる記者たちの前を通らざるを得ないため、誰が石破首相を不信任したかが公になる仕組みになっています。この方法に対して「石破首相に不満のある議員をさらし者にするのか」と批判する声もあります。

現時点では、署名が過半数を超えるかどうか誰にも予測できない状況です。議員たちの心理は揺れ動いており、同じ議員に定期的に話を聞いても「絶対に署名する」と言ったり、「世論調査で石破内閣支持率が上がっているし、周りの様子を見てから決める」と言ったりと、日々変化しています。
Q. 早期総裁選が実施された場合、誰が候補者になるのか?
現在、可能性がある候補者としては高市早苗氏、小泉進次郎氏、林芳正氏、小林鷹之氏の4名が挙げられています。
最も優勢なのは小泉進次郎氏と見られています。水面下では小泉氏を積極的に支える動きも出始めていますが、彼のキャリアが総裁・首相として十分かという疑問も残ります。小泉氏は幹事長や官房長官、財務大臣といった主要ポストを経験しておらず、危機における能力に疑問符がつくという見方もあります。
高市氏は麻生派から支持を受ける可能性がありますが、前回の総裁選では国会議員から十分な支持を得られませんでした。また、彼女を支持してきた議員の何人かが衆議院選挙で落選しており、今回も同じように強い支持を集められるかは不透明です。
林氏は政策立案能力が高く評価されていますが、財政規律を重視するタイプのため、減税に積極的な国民民主党などとの連携には課題があります。
小林氏はまだキャリアが浅く、野党との人脈も限られているため、最も厳しい状況かもしれません。
Q. 自民党内の権力闘争の構図はどうなっているのか?
現在の権力闘争は「反石破」か「親石破」かという構図になっています。ただし「親石破」はほとんどおらず、石破首相は「史上最も脆弱な党内基盤の総理大臣の一人」と言えます。

「反石破」の中心勢力は麻生派、旧安倍派、旧茂木派の3派閥で、これらを合わせると120〜130議員程度と見られています。過半数の172に達するには、もう少し支持を広げる必要があります。
注目すべきは「疎石破」と呼ばれる議員たちの動向です。これは石破首相を担いだものの、その後の彼のやり方に不満や不信を持ち始めている岸田派や菅派の議員たちです。彼らが「反石破」派と同じ行動をとれば、一気に過半数を超える可能性があります。
この1週間の情勢は流動的で、「攻め」と「守り」のターンが目まぐるしく変わっています。これまでは執行部(石破首相側)が土俵を作り、攻めのターンでした。しかし、9月2日の両院議員総会で攻めのカードを出し切った感があり、今度は反石破派の攻めのターンに移っています。例えば、政務官の中から「辞任してもいい」という声が10人ほど出始めているなど、石破首相への圧力が強まっています。
Q. 石破首相は署名が過半数を超えた場合、どのような対応をとる可能性があるのか?
2つの選択肢があります。1つは臨時の総裁選に応じるパターン、もう1つは衆議院を解散して総選挙に打って出るパターンです。石破首相は内閣総理大臣として解散権を持っているため、自民党総裁でなくなったとしても解散は可能です。
最近では「世論が味方をしてくれるなら解散して総選挙を行い、過半数を回復すれば文句はないだろう」という声も出ています。しかし、政権発足から1年も経っていない中での解散には大義があるのか疑問視する声もあります。
また、前回の参議院選挙では自民党や立憲民主党が相対的に沈み、維新の会や国民民主党といった既存政党でない政党に支持が集まる傾向が見られました。このような状況で解散して本当に勝てるのかという懸念もあります。
仮に解散せず総裁選が行われる場合、石破首相が立候補するにはまず20人の推薦人を集める必要がありますが、これは非常に困難でしょう。早期総裁選は事実上「石破下ろし」を目的としたものであり、「ダメだ」と言われている人が再び立候補するのは厳しい状況です。
Q. 石破首相を支持する世論が高まっている理由は何か?
政治記者歴25年の私でも「これは見たことがない」と思うほど不思議な現象です。石破首相は参院選で敗北したにもかかわらず、その後の支持率が上昇しています。
この背景には「政治とカネ」の問題が影響しているようです。自民党に対する不信感の根底には裏金問題があり、有権者は選挙では自民党に投票しなかった。しかし、石破首相を「辞めろ」と叫んでいる人たちが裏金問題に関わっていた政治家たちだと気づき、「石破首相をいじめているのはそちらか」という反発心から、石破首相への支持が高まっているという見方があります。
Q. 新しい総裁が選出された場合、連立の枠組みはどう変わるのか?
新しい総裁が選出されても、すぐに連立の枠組みが変わることは考えにくいでしょう。ただし、総裁選の「裏メニュー」として、野党との連携が争点になる可能性はあります。
例えば、小泉進次郎氏は菅直人氏が松井一郎氏(維新)と親しいことから、維新との連携が考えられます。また、麻生太郎氏が実力を持てば国民民主党との連携も視野に入ります。麻生氏と茂木氏は岸田政権時代に国民民主党を動かし、予算に賛成させた実績があります。
林芳正氏は財政規律を重視するタイプであるため、減税を掲げる国民民主党との連携はハードルが高いかもしれません。小林鷹之氏はキャリアがまだ浅く、野党との人脈も限られているため、連携の構築は難しい可能性があります。
いずれにせよ、新しい総裁になってもすぐに連立が拡大することは難しいでしょう。現在、ガソリン税減税や給付金、消費税などの財政に関わる問題で与党内の意見統一もできていない状況では、政権合意を形成して予算を組むという連立政権の基本的な機能を果たすことは容易ではありません。