PIVOT TALK BUSINESS
中国発LABUBU、爆発的ヒットの理由
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2025年8月31日

20~30代の女性を中心に爆発的ヒットしたLABUBU。高級バッグにつけるのが世界的トレンドとなり、サンリオを脅かす存在に。時価総額8兆円のポップマートが仕掛ける巧妙なマーケティング戦略と、世界市場を狙う次の一手とは何か? 経済ジャーナリストの浦上早苗氏に聞いた。 <ゲスト> 浦上早苗|経済ジャー...
LABUBUブームの秘密を解き明かす!中国発キャラクターが世界を席巻する理由
日本でも大人気となっている中国のキャラクター「LABUBU(ラブブ)」。原宿の公式ショップには連日長蛇の列ができ、SNSでは開封動画が拡散されている。なぜこのキャラクターがこれほどの人気を集めているのか?その背景にある企業戦略とは?経済ジャーナリストの浦上早苗氏に詳しく聞いた。

Q. LABUBUとは何ですか?どんなキャラクターなのですか?
LABUBU(ラブブ)は、中国の企業POP MART(ポップマート)が展開するフィギュアやぬいぐるみのキャラクターです。特徴的な耳と牙を持つモンスターのようなデザインで、「モンスターシリーズ」の一つとして約6〜7年前から存在していました。このシリーズの中で、突如として世界的人気を獲得したキャラクターです。
ポップマートは元々、小さなフィギュアを製作する会社で、彼らの製品は単なるぬいぐるみやフィギュアというよりも「アートトイ」と呼ばれるジャンルに属しています。これは芸術性と資産価値を兼ね備えた収集アイテムという位置づけです。
Q. ポップマートはどのような企業なのですか?
ポップマートは2010年に中国で設立された企業です。創業者は大学卒業後すぐに起業した若い経営者で、マーケティングを専攻していました。当初は様々なおもちゃや雑貨を仕入れて販売する会社でしたが、徐々に自社オリジナルのキャラクターを開発する方向へと舵を切りました。
現在では、中国の主要都市の一等地に店舗を構え、上海の南京東路(中国の銀座と言われる場所)にはAppleやファーウェイの店舗と並んで出店するまでになっています。2020年頃から海外展開を始め、現在は約130店舗を世界中に展開しています。
Q. なぜLABUBUはこれほど人気になったのですか?
LABUBUの爆発的人気の火付け役は、K-POPグループBLACKPINKのLISA(リサ)のインスタグラム投稿だと言われています。約1年前、リサがLABUBUを抱えた写真を投稿したことで、世界中の注目を集めました。これはPR(プロモーション)ではなく、純粋に彼女が好きで投稿したものと見られています。

その後、デヴィッド・ベッカムなど他の有名人もSNSで取り上げ、高級ブランドのバッグにLABUBUをつけて投稿する女性が増えました。このようなSNSでの拡散が世界的な人気につながっています。
特にタイでは人気が顕著です。これはLISAがタイ出身であることや、ポップマートがタイを含む東南アジアに積極的に店舗展開していたことが背景にあります。日本での人気は比較的最近のことで、当初は中国人観光客が多かったものの、今では日本人客も増えています。
Q. ポップマートの成功の秘訣は何ですか?
ポップマートの最大の特徴は「ブラインドボックス戦略」です。これは、箱を開けるまで中身が分からない販売方法で、日本でいうガチャガチャと福袋を組み合わせたようなビジネスモデルです。購入者は特定のシリーズ(例えば12種類)のうちどのキャラクターが出るか分からないまま購入します。

この戦略のポイントは以下のとおりです:
1. ギャンブル性と収集意欲の喚起:希少なレアキャラクターを集めたいという欲求を刺激します。
2. Z世代女性をターゲット:特に収入があり、SNSでの発信に積極的な若い女性を主要顧客としています。
3. 交換市場の構築:同じキャラクターが重複して出た場合のために、交換や売買ができるマーケットプレイスを自社で用意しています。
4. ファンコミュニティの形成:コレクターたちがつながり、情報交換できる場を提供しています。
5. 開封体験の共有:SNSやYouTubeでの開封動画の共有が文化となり、更なる購買意欲を喚起しています。
Q. ポップマートはどのように自社IPを育てたのですか?
ポップマートの歴史には「3つの神風」と呼ばれるヒット商品があります:
1. 第1の神風(2015年頃):日本のキャラクター「ソニーエンジェル」のライセンス商品で大ヒット。
2. 第2の神風(2018年頃):香港のデザイナーとコラボした「MOLLY(モリー)」で成功。
3. 第3の神風(現在):自社開発の「LABUBU(ラブブ)」による世界的ブレイク。
特筆すべきは、多くの中国企業が模倣やライセンスビジネスに依存する中、ポップマートは早い段階から自社オリジナルIPの開発に投資したことです。LABUBUのような自社IPであれば、映画化など様々な展開が自由にできるため、長期的な成長が見込めます。
Q. 中国企業が海外で成功する意義は何ですか?
ポップマートの成功は、中国企業にとって画期的な事例です。特に次の点で重要です:

1. 中国初のグローバルキャラクター:中国発のキャラクターが世界市場で成功したのは極めて珍しいケースです。
2. 経済的意義:中国国内の景気減速の中、海外売上が全体の4割を占めるまでに成長しました。
3. 中国企業のイメージ転換:模倣ではなく、オリジナルコンテンツで成功したことは、中国企業の新たな可能性を示しています。
4. 株価への影響:2023年から2024年にかけて、LABUBUの人気により株価が急上昇しました。
Q. LABUBUビジネスの課題や将来性は?
現在のLABUBUブームには、いくつかの課題も見えています:
1. 偽物の流通:人気の高まりとともに、偽LABUBUが市場に出回るようになりました。
2. 再現性の難しさ:一つのキャラクターの爆発的ヒットを計画的に再現することは極めて困難です。
3. ターゲット層の限定性:主なターゲットは若い女性層に限られており、市場拡大には限界があります。
しかし、ポップマートが長期的に成功してきた背景には、次のような要素があります:
1. 多様なIPポートフォリオ:LABUBUだけでなく、様々なキャラクターを開発し続けています。
2. 戦略的な店舗展開:世界の主要都市の一等地に出店し、ブランド認知を高めています。
3. 日本文化からの学習:ガチャガチャや福袋など日本の販売手法を研究し、独自に発展させています。
Q. 日本企業がLABUBUブームから学べることは?
1. グローバル展開の重要性:国内市場に限定せず、世界市場を視野に入れた戦略が必要です。
2. コンテンツ力の優位性:オリジナルIPの開発と育成が長期的な競争力につながります。
3. SNSを活用した拡散戦略:有名人の自然な発信がもたらす影響力を理解し活用することが重要です。
4. 顧客体験のデザイン:開封する楽しさや収集欲を刺激するような体験設計が鍵となります。
LABUBUの事例は、中国企業がただ模倣するだけでなく、独自の文化と創造性を持ち始めていることを示しています。今後も世界市場において中国発のキャラクタービジネスの存在感が増していくことでしょう。