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日本株の投資戦略:三大バリュー株を狙え
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2025年8月29日

最高値を更新した日経平均株価。今の株価は割高なのか?中長期的にどう推移するのか?インフレ時代にどんなバリュー株に投資すべきなのか?楽天証券の窪田真之チーフ・ストラテジストに聞いた。 <ゲスト> 窪田真之|楽天証券 チーフ・ストラテジスト 1984年に慶應義塾大学経済学部卒業。住友銀行、大和住銀投信...
日本株の投資戦略:楽天証券 チーフ・ストラテジスト 窪田真之が語る「未来の日経平均と投資のコツ」
株価が4万円を超え、最高値を更新する日本株市場。今後も上昇が続くのか、それとも調整局面を迎えるのか? 楽天証券チーフストラテジストの窪田真之氏に、現在の株価状況と投資戦略について聞いた。
Q. 現在の日本株の状況をどう見ていますか?
日本株は短期的には上昇ピッチが早すぎて加熱気味だが、中長期的には上昇するのが自然な流れだと考えている。年初に立てた予想では、一旦トランプ関税ショックで3万7000円まで下落した後、世界景気ソフトランディングを織り込んで4万4000円まで上昇すると考えていた。実際の動きは予想より派手になっているが、大きな流れとしては予想通りだ。

ただし、4万4000円という水準は来年の企業業績まで織り込んだ形で出している。今期は東京証券取引所全体の利益が横ばいになるが、来期は日本企業がトランプ関税に対応して増益に戻ると予想している。年末になると来期の企業業績のイメージで株価が動くため、それを織り込んで年末の日経平均を4万4000円と予想している。それが8月の時点で一時4万4000円に達したのは早すぎるため、少し加熱していると思う。
Q. 外国人投資家と個人投資家の動きに大きな違いがあるようですが?
トランプ関税ショックで暴落した後、外国人投資家は日本株をどんどん買っているのに対し、個人投資家は売り続けている。過去30年以上、外国人が買えば個人が売り、外国人が売れば個人が買うという傾向がはっきりしている。
これは、外国人は上値を追って買ってくるため、上値に売り指値をしている個人投資家との間で取引が成立するからだ。売る時も外国人は下値を叩いて売ってくるので、下値に買い指値をしている個人投資家が買うことになる。
今回、信用取引の売り残高が1兆円を超えるなど、個人投資家が売りすぎている印象だ。これは日本株に対する見方の違いが原因だろう。外国人投資家から見た日本株の価値と、日本人自身が「日本株はダメだ」と考える見方の差が大きい。
Q. 外国人投資家が日本株を買う理由は何でしょうか?
外国人投資家が日本株を買う理由は主に3つある。
1. 日本企業の株価が割安であること。PBR(株価純資産倍率)が低く、財務内容が優れている上、株式や不動産に多額の含み益があり、買収価値から見て割安だ。さらに今年は自社株買いが急増している。
2. トランプ関税への対応として、日本企業は米国現地生産を進めているため、対応力がある。日本製鉄がUSスチールを買収したり、三菱商事が北米で銅山開発を行うなど、米国現地生産への対応で日本企業は実績がある。
3. 日本の金融政策が緩和的で、財政も拡張的なため、特に非製造業を中心に日本の方が景気が良い。
Q. 不動産株の含み益が大きいとのことですが、具体的にはどうなっていますか?
賃貸不動産の含み益が大きい上位企業では、過去10年以上、含み益が右肩上がりで増えている。しかし不動産株価指数は全然上がっていない。その結果、含み益を考慮した実質PBRで見ると、例えば三菱地所は0.66倍、住友不動産は0.58倍と極めて割安な水準になっている。これほど売却価値から見て安くなったのは過去に例がない。

日本は以前、敵対的買収を完全に拒否する国として知られていたが、今は日本政府も買収提案があった場合は企業価値を高めるものかどうか検討して回答するよう促している。そのため、株価が買収価値から見て安すぎる企業に対しては、海外から買収オファーが出やすくなっている。
Q. 日本の個人投資家はポートフォリオをどう変えるべきですか?
日本の家計の金融資産を見ると、2195兆円のうち半分以上の1120兆円が現金・預金に置かれ、株式等は12.2%しか持っていない。これはデフレ時代には良いポートフォリオだったが、これからインフレが定着する国になると、現金・預金の価値が目減りし、株式の値上がりが続くと考えられるため、適切とは言えない。
参考にすべきは公的年金の運用方法だ。GPIFは国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に各25%ずつ配分する基本ポートフォリオで運用している。このような当たり前の運用でも、2001年度以来、累積で165兆円の運用益を上げている。

重要なのはリバランスだ。株が上がりすぎたら一部売却し、下がりすぎたら買い増すというルールを守ることで、良いパフォーマンスを得られる。例えば、100万円の日経平均インデックスファンドが120万円になったら、20万円だけ売るというようなリバランスは有効だろう。
Q. これから日本株はどのくらい上昇すると予想していますか?
日経平均は年率平均で6.3%くらい上昇し、2030年には5万6000円以上になると予想している。その根拠は3つある。
1. 企業の1株当たり利益の増加:日本企業は海外で利益を拡大しており、年率2.3%程度増えると予想される。
2. インフレ効果:インフレになると物の値段が上がり、名目GDPの伸びが高くなって株価も上昇する。この効果が2.4%。
3. 自社株買いの増加:発行済み株式数が減ることで1株当たり利益が年率1.5%増える。
これらを合わせると年率6.3%の上昇となる。インフレ率をより高く設定すれば、さらに高い目標株価が出てくるが、現時点で見通せる範囲では控えめに2.4%のインフレを想定している。
Q. 具体的にどのような株に投資すべきでしょうか?
日本では現時点で割安株への投資が良いと考えている。成長株で考えられるテーマはAIやバイオなどだが、残念ながらこれらの分野で世界を動かす日本企業はあまり出てきていない。一方、割安株では財務内容が優れ、利益も配当もしっかり出しているのに株価が安い会社が多い。

バリュー株が多いセクターとしては、金融セクター、資源エネルギー関連、製造業の3つが挙げられる。これらはインフレ局面で値上がりしやすい。インフレになると金利が上昇し、金融株の利益が増える。エネルギー価格が上がれば資源エネルギー関連株も上がる。また、製造業も値上げできるようになるため収益改善が期待できる。
具体的な銘柄としては、金融では三菱UFJフィナンシャルグループ、東京海上ホールディングス、オリックスなどがある。資源エネルギー関連ではINPEX、三菱商事、日本郵船などが有望だ。製造業では王子ホールディングス、ブリヂストン、ホンダなどが挙げられる。
Q. Jリート(不動産投資信託)の見通しはどうですか?
Jリートは最近上昇してきているが、これは不動産全体が見直されているためだ。金利上昇がネガティブに働くとの見方で下落していたが、結果として割安になり、最近は不動産の賃料や価格が上昇していることから見直されている。
平均分配金利回りは現在4.6%で、一時は5.2%まで上がっていたが、価格上昇で少し下がっている。私は平均分配金利回りが4%程度が妥当だと考えているので、現状はまだ投資対象として良い水準だ。ただし、リートで短期トレーディングはせず、割安な時に買って長期で持つ方が良い。
Q. 成長株と割安株、どちらを選ぶべきですか?
私は成長株は米国株、割安株は日本株という住み分けが現在は良いと思っている。日本企業ではAIやバイオで世界を動かす企業があまりないが、米国にはそうした企業が多い。一方、日本には財務内容が優れているのに株価が安い割安株が多く存在する。
ただし、個別の投資判断は自己責任で行う必要がある。今回紹介した銘柄も参考程度にとどめ、自分自身で調査・分析した上で投資を検討してほしい。