
【脳科学で証明 早生まれの潜在能力】
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2025年8月28日
早生まれの不利はあることで9割解決できる。16万人のMRIを見てきた脳科学者・瀧靖之氏が、子どもの潜在能力を引き出す方法を解説。 <ゲスト> 瀧靖之|医師 東北大学加齢医学研究所教授/専門:脳発達・加齢・脳画像分析 東北大学大学院医学系研究科博士課程修了。東北大学スマート・エイジング学際重点研究セ...
早生まれの潜在能力と子どもの才能を引き出す方法
「早生まれ」の子どもは学校生活で不利になりがちと言われますが、実は脳科学的に見ると有利な面もあるようです。東北大学教授で医師の瀧靖之氏が語る「早生まれの潜在能力」について、また子どもの才能を引き出す親の関わり方について紹介します。

Q. 早生まれは本当に不利なの?
生まれ月による学力差は確かに存在します。2020年に東京大学の山口教授が発表した論文では、早生まれよりも遅生まれの子どものほうが成績が良い傾向があり、学年が上がるにつれてその差は縮まるものの、完全には解消されないという結果が出ています。

しかし、これは集団としての傾向であって、個人に必ず当てはまるわけではありません。早生まれだからといって必ず不利になるわけではなく、むしろ脳科学的に見ると、有利な点もあるのです。
Q. 早生まれが有利になる理由とは?
早生まれの子どもたちは、遅生まれの子どもたちよりも早い時期から「脳の可塑性」を得るチャンスがあります。可塑性とは、脳が変化する力、能力を獲得する力のことです。
例えば、6歳で小学校に入学する場合、早生まれの子は生まれてすぐに小学校に入ることになります。つまり、より若い段階から様々な刺激を受け、脳の可塑性を高める機会が多くなるのです。これは一種の「先取り教育」のような効果があると言えます。
結果的に、早い段階から多くの刺激を受けることで、学業成績も最終的には伸びやすい可能性があります。
Q. 早生まれの子どもの自己肯定感を高めるには?
早生まれの子どもの不利な面として大きいのは、環境的な要因です。身体的な発達が遅れることで、例えば走るのが遅いなど、他の子と比べて劣っていると感じてしまうことがあります。それが自己肯定感を下げる原因となっています。
この自己肯定感さえ高めてあげれば、脳の可塑性という点では先を行っているため、むしろ有利になる可能性があります。
自己肯定感を高める最も効果的な方法は「褒めること」です。特に重要なのは「結果」ではなく「努力」を褒めることです。「100点取ったから凄い」ではなく、「頑張ったことが凄い」と伝えることで、子どもはもっと努力しようという気持ちになり、脳の可塑性も高まります。
Q. 褒めるだけでなく叱ることも大切?
最近は「褒めて育てる」ことが強調されていますが、実は褒めるだけでなく、適切に叱ることも重要です。データによれば、褒められる経験が多く、同時に叱られる経験も適度にある子どもは、自己肯定感が高く、困難を乗り越える力も強いという結果が出ています。

叱る際のポイントは、点数が悪かったからといった結果を叱るのではなく、社会的なルールを破ったときなど、叱るべきところをしっかり叱ることです。
子どもにとって最もつらいのは、自分に関心を持ってもらえないことです。褒めるにも叱るにも、子どもをよく見ていることが前提となります。子どもは自分を見てもらっているという実感が、自己肯定感を高める大きな要素となります。
Q. 遺伝と環境、どちらが知能に大きく影響する?
頭の良さは遺伝なのか環境なのかという議論がありますが、現在の脳科学では、特に学業や思考力、判断力、記憶力といった能力については、遺伝よりも環境的な要因、つまり努力の方がはるかに大きいとされています。
脳全体で見ると遺伝的な要因もある程度影響しますが、特に私たちが生きていく上で重要な能力については、努力によって伸ばすことが可能です。
Q. 早生まれの受験戦略はどうすればいい?
東大合格者を多く輩出している都内の超有名中学校のデータを見ると、4月から6月生まれの合格者を1とした場合、1月から3月生まれの合格者は0.1倍、つまり1/10程度という結果があります。中学受験では、早生まれの不利が顕著に表れているようです。
しかし、高校受験になるとこの差はかなり縮まります。さらに大学受験、特に医学部などの難関大学になると、生まれ月による差はほとんどなくなります。つまり、年齢が上がるにつれて早生まれの不利は解消されていくのです。
そのため、特に中学受験では、第一志望を1つに絞るのではなく、「第一志望群」として複数の学校を候補にすることが効果的です。どの学校に入れても「第一志望に入れた」という気持ちで前向きに捉えられるようにすることが大切です。
また、家族全体で受験に取り組む姿勢も重要です。中学受験は「家族の受験」とも言われるように、家族みんなで支える環境づくりが大切です。
Q. 子どもの才能を伸ばすために他にできることは?
子どもの才能を伸ばすには、様々な環境の多様性を経験させることが効果的です。自然体験、芸術体験、文化的な活動、ボランティアなど、多様な体験が脳の可塑性を高めます。
特に運動と音楽は脳に良い影響を与えます。運動をすると海馬という部分が刺激され、神経細胞が増えて記憶力が高まります。実際に、授業前に少し運動をさせると成績が上がったという研究結果もあります。
また、楽器演奏は脳のありとあらゆる部分を使うため、非常に効果的です。オリンピック選手の中には、子どもの頃にピアノを習っていた人が多いという興味深い事実もあります。
Q. センスは生まれつきのものなの?
芸術やスポーツでよく「センスがある」と言いますが、実はセンスも生まれつきのものではなく、生まれてからの様々な経験によって養われるものです。

センスが良い人は、知らず知らずのうちに多くの絵を見たり、ファッションなどの情報に触れたりしているのです。これも環境による影響が大きいということの証です。
子どもの潜在能力を引き出すには、親の関わり方が非常に重要です。特に早生まれの子どもは、自己肯定感を高めることで、持っている可塑性の高さを活かすことができます。結果ではなく努力を褒め、様々な経験を積ませることで、子どもは大きく成長していくでしょう。
