Pivotter
辞めNHK→PIVOT MC【西川典孝×小手森千紗】
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2025年8月24日

大企業を辞めてキャリアをPIVOT(方向転換)した“Pivotter”たちへの本音のインタビュー番組。辞めた企業の前からスタートして、今のオフィスまでをめぐりながら、退職・転職・起業のリアルな実態を聞く。 <出演> 西川典孝(NHK→PIVOT MC) 慶應義塾大学卒業後、NHKアナウンサーとして...
NHKからPIVOTへ - 西川典孝と小手森千紗のキャリアチェンジの軌跡
二人の元NHKが、メディアベンチャーPIVOTに転身するまでの道のりと、その理由を語る。西川典孝と小手森千紗、それぞれのキャリアに対する思いと挑戦の軌跡。

Q. NHKには何年在籍していたのですか?
西川典孝は12年2ヶ月、小手森千紗は8年間NHKに在籍していた。小手森は岐阜に3年、沖縄に3年、東京に2年と勤務地を変えながら記者として働いた。西川はスポーツ実況とスポーツキャスターを中心に活動し、AI技術を活用したスポーツ実況の効率化にも取り組んでいた。

Q. NHKでの主な仕事内容を教えてください
小手森は警察担当記者からスタートし、その後は遊軍として経済系の取材など、時事的なテーマを自ら提案して取材を行った。沖縄に赴任してからは米軍を担当し、安全保障問題を取材した。フィリピンでの取材では、米軍の新しい基地が沖縄にどのような影響を与えるかという視点で報道した。
西川は主にスポーツ実況とスポーツキャスターとして活動した。さらに時代の流れに合わせて、AIを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)にも取り組み、全国のアナウンサーが高校野球などを効率的に実況できるアプリを開発して働き方改革に貢献した。
Q. NHKに入社した理由は何ですか?
小手森は高校生の頃から歴史や安全保障問題に関心があり、特に太平洋戦争や日本近代史に興味を持っていた。この関心から、現代の安全保障の最前線である沖縄での取材を希望していた。大学生時代には沖縄の辺野古移設問題のボランティア活動も経験していた。
西川は当初、民放のキー局(フジテレビ、テレビ朝日、日本テレビ)を受けたが最終的には全て落ちてしまった。NHKに合格した後、民放に負けない強みとして「ワールドカップとオリンピックの放送コンテンツの多さ」に着目し、それらの国際大会で活躍することを目標にNHKでのキャリアをスタートさせた。
Q. NHKでの仕事で最も印象に残っていることは何ですか?
小手森にとっては、フィリピンでの米軍基地取材が最も印象に残っている。単に米軍を追うだけでなく、現地の人々への影響も取材することで、「沖縄そのものを取材しているわけではないのに、別の場所を通して沖縄の未来が見える」という発見があった。
西川は、コロナ禍でダンスの番組を立ち上げたことを挙げている。大学時代にストリートダンスを始め、それで人生が変わったという経験から、NHKでダンスの企画を通したいと考えていた。当初は周囲の理解を得られなかったが、2018年のユースオリンピックでブレイキンが種目となり、日本が金メダルを獲得したことをきっかけに企画が通るようになった。その後、学校でのダンス指導や実際のイベント開催など、多くの人と関わる機会を得て、「初めて人の役に立てた」と実感できたという。
Q. NHKで最も大変だったことは何ですか?
小手森は記者として「朝駆け」「夜回り」と呼ばれる取材手法が大変だったと語る。これは取材対象者の家の前で出勤前や帰宅時を待ち、話を聞く方法だ。真夏の炎天下や真冬のマイナス6度の中で6時間待ったこともあったという。

西川は入社当初の実況トレーニングの厳しさを挙げた。毎朝7時半に野球場に集合し、局長と一緒に実況練習をする日々が続き、「ピッチャーが白いボールを今取った。グラブの前にセット。振りかぶった。足を上げて第1球投げました。インコース高め、ボール」などと描写する練習を積んだ。その後も録音を聞き直して指導を受けるという厳しい日々が続き、精神的に追い詰められて不眠症になり、10kg以上太ってしまった時期もあった。
Q. NHKを退職した理由は何ですか?
小手森は特にNHKに不満があったわけではなく、「100年時代」を見据えて一度は転職するだろうと考えていた。PIVOTのホームページでMC募集を見つけ、話を聞いてみようと思ったことがきっかけとなった。将来的にまたNHKに戻る可能性も排除していないという。
西川はアナウンサーとしての将来に不安を感じていた。知名度がある民放アナウンサーと違い、50代60代になったときの自分の生活を考えると、早めにビジネスの道に進んだ方がいいと判断。商社、不動産、人材業界への転職活動をしていたところ、PIVOTからMCとしてのオファーを受け、驚きと喜びを感じた。自分のこれまでの経験を認めてもらえたことに嬉しさを覚えたという。
Q. PIVOTでの仕事の魅力は何ですか?
小手森はNHKでの記者やテレビ出演と比較して、PIVOTでは「自分らしさ」を出せる点を挙げている。NHKでは原稿があり、上司と決めた内容を読むだけだったが、PIVOTでは自分の考えや個人的な話も交えることができる。ただし、試行錯誤の結果、自分の話をあえてせず、国際情勢やニュースの深掘りに徹する方が自分らしいと感じ、そのスタイルで取り組んでいるという。
西川は「自分で作れる」点と「数字が明確に出る」点を魅力として挙げた。NHKでは視聴率が1分単位でしか分からず、なぜ上がったか下がったかの要因分析が難しかった。一方PIVOTのYouTubeやアプリでは1秒単位で視聴者の動向が分かり、年代や性別、職業などの詳細なデータも取得できる。このデータを基に演出やサムネイルをどう変えるかなど、戦術を考えながらコンテンツを作れる点が楽しいと語った。
Q. メディア業界の未来についてどう考えていますか?
PIVOTの代表は、アナウンサーという仕事はテレビという文化と日本という文化が生んだ特殊な職業だったと指摘し、「読む」ことだけに特化した仕事は今後減少していくだろうと予測する。一方で、そこから派生した新たな形のMC、アンカー、YouTuberなどの活躍の場は増えていくと考えている。「記者側も進化していかなければならないし、アナウンサー側も進化していかなければならない」という新しい「異種格闘技戦」のようなメディア業界の変化を展望している。

Q. キャリアをピボット(転換)する人へのアドバイスを教えてください
小手森は「失敗してもやり直せるので、そのための準備をしましょう」と助言する。彼女の場合、記者に加えて制作の経験もあったことが、転職への恐怖心を和らげた。同じ分野で極めることも強みになるが、複数の分野で「食っていける」スキルを持っていれば安心して挑戦できると語る。
西川は「ワクワクする方を選ぼう」とアドバイスする。損得だけで考えるとお金や場所など様々な要素が絡んでくるが、純粋にどちらがワクワクするかで選べば、後から苦労しても耐えられると語る。「自分で選んだ道だから仕方ない」と思えるのは、「ワクワクする方を自分が選んだ」という土台があるからこそだと説明する。