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未来の戦争をどう防ぐのか?自衛隊・メディア・教育【小泉悠×猪瀬直樹】
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2025年8月22日

戦後から80年が経過し、戦争は遠い昔になった日本。将来、日本は再び戦争を強いられる可能性はあるのか?未来の戦争を防ぐために、日本は何をすべきなのか?小泉悠氏と猪瀬直樹氏に対談してもらった。 <ゲスト> 猪瀬直樹|作家 1987年『ミカドの肖像」により第18回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2012...
戦後の平和神話と安全保障の現実 - 猪瀬直樹×小泉悠対談
戦後日本の「ディズニーランド」とサバンナの現実

Q. 日本は戦後の平和な時代をどう過ごしてきたのでしょうか?
戦後、日本は「ディズニーランド」のような架空の世界に生きてきた。日米安保条約によって安全保障の問題を考えなくてよい状態となり、経済清掃だけに集中してきた。「ディズニーランドでは鉄砲を撃っても紙吹雪の玉だから死なない」状態にあり、サバンナのような国際社会の厳しい現実から逃れていた。
Q. ウクライナ戦争は日本人の安全保障意識にどのような影響を与えましたか?
ウクライナ戦争は日本人の安全保障意識に大きな影響を与えた。ロシアは隣国であり、安倍元首相が北方領土返還に向けて尽力したが、プーチンは安全保障上の理由から返還する気がなかった。日本人は安全保障の意識が希薄で、「お金を払えば島は返ってくる」と考えていたが、ロシアは「米軍基地を置かれたら安全保障を確保できない」と考えていた。日本はようやく戦前の感覚を取り戻しつつある。
Q. 国家の抑止力とはどのように構築されるべきですか?
小泉准教授によれば、日本がウクライナと異なるのは、最初の戦場が海と空になる点だ。いきなり陸に攻めてこられない地理的条件がある。戦争の「最初期段階」において既成事実を作らせない能力を確実に持つことが必要だ。その間にアメリカの介入が得られるよう体制を整えることで、安全保障を確保できる。
Q. ウクライナが国際社会の支援を得られた理由は何ですか?
ウクライナがキエフへのロシア侵攻時に3日間自力で持ちこたえたことが、その後の国際支援につながった。アメリカが重火器や大砲を送ることを決定したのは、侵攻開始後1ヶ月経ってからであり、しかもロシア軍がキエフ攻略を諦めて撤退した後だった。つまり「投資対象」として価値があると証明できなければ、投資(支援)は来ない。日本も自力で持ちこたえる能力を示す必要がある。

Q. 戦前の日本とメディアの関係にはどのような問題がありましたか?
戦前の日本では、メディアが煽り続けたことが戦争へと突き進む一因となった。朝日新聞を含めた多くのメディアが世論を煽り、冷静な判断ができなくなった。現在のネットメディアにも同様の問題がある。
Q. 現代のメディア環境にはどのような課題がありますか?
現代のメディアには、煽ることで注目を集めるという構造的問題がある。特に排外主義的な主張が商業的に利益を生む状況がある。小泉准教授は「煽った方が儲かる、煽った方が言論が回るという悪い循環」があると指摘している。この問題は日本だけでなく、言論の自由がある国すべてに共通する課題だ。

Q. 日本はどのような国家戦略を取るべきでしょうか?
日本はアメリカや中国の真似ができない。GDP、人口、軍事力など様々な点で超大国とは違う道を進む必要がある。日本は「タイ米従属」と批判されるが、実際には多くの国がアメリカに従属している。サバンナのような国際社会では、力関係によるランキングがあり、日本は超一等国にはなれないが、二等国、三等国としてどう立場を確保するかが重要だ。
Q. 日本の未来のために必要な変革は何ですか?
日本は自ら構造改革を行う必要がある。猪瀬は「GHQがすごかったのは、財閥解体や農地解放など構造改革をやったこと」と評価する。それが経済成長の基盤となったが、その後日本は自ら構造改革できず、目詰まりを起こして「失われた30年」になった。「自分で構造改革する力がないとダメ」だと猪瀬は指摘している。
Q. 若い世代はどのように知識や経験を継承すべきですか?
猪瀬は若い世代が直接経験者から話を聞くことの重要性を強調している。かつて93歳の鈴木企画院総裁を訪ねた経験を例に挙げ、「誰も聞きに行っていない」と指摘。オーラルヒストリーの価値を説明し、「朝日新聞に書いてあることは世の中のほんの一部で、それも嘘かもしれない」と語る。直接話を聞くことで得られる「肌感覚」が重要だとしている。

Q. 未来の人材育成について課題は何ですか?
小泉准教授は、現在の日本の人材育成システムに問題があると指摘する。「まっすぐ来ると『タコツボ』に入ってしまう」と猪瀬は言い、日本は「変人率を上げないといけない」と主張している。既存のシステムに満足せず、新しい視点を持った人材が必要だが、そういう人材を拾い上げるシステムが整っていないのが現状だ。