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ベゾスも学んだ「モンテッソーリ教育」。デジタルより手を重視
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2025年8月1日

日本でも実践例が増えているモンテッソーリ教育。その中心要素は何なのか?日本式の教育とどこが異なるのか?モンテッソーリ教育を専門とする児童発達学博士の島村華子氏に聞いた。 <ゲスト> 島村華子|モンテッソーリ教育研究者 上智大学卒業後、カナダに渡り、モンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取...
モンテッソーリ教育の真髄とは?研究者が語る「子どもの可能性を引き出す」教育法
子どもたちが自分で考え、行動し、周囲への影響を考えて責任ある行動ができる人間に育つ。そんな教育理念として世界中で支持されているモンテッソーリ教育。しかし、「自由すぎる」「何をどう実践すればよいのか分からない」といった声も聞かれます。オックスフォードで博士号を取得し、20年以上モンテッソーリ教育に携わってきた研究者が語る、その本質と実践方法を紹介します。

Q. モンテッソーリ教育とは一言で言うと何ですか?
子どもたち自身が持つ可能性を引き出し、自立した個人として成長させながらも、自分の行動が地域や周囲にどのような影響を与えるかを考え、責任を持って行動できる人間を育てる教育です。
モンテッソーリ教育の根本的な考え方は「子どもは空っぽの器ではない」ということです。子どもは生まれながらにして好奇心や知的能力、可能性を持っている存在であり、教育者の役割はそれを引き出すことにあります。
また、子どもは「第二の市民」ではなく、大人と同じように権利を持った存在であり、有能な一市民として尊重されるべきだという考え方が基本にあります。
Q. モンテッソーリ教育の中心的要素はどのようなものですか?
モンテッソーリ教育には5つの中心的要素があります。

1. 子どものイメージ:子どもは生まれながらにして好奇心が強く、自ら学び成長する有能な存在であり、社会や環境に働きかける変化の担い手です。また、地域社会や平和づくりに不可欠な存在として捉えられています。
2. 整えられた環境:モンテッソーリの教室は、子どもの機能的な自立を促し、秩序感や知的好奇心を満たす教材や家具で設計・整理されています。例えば、自分で洗濯ができるアクティビティや、靴ひもを結ぶ練習ができる教材などが用意されています。
3. 個別化されたカリキュラム:子どもがどのタイミングでどの教材に取り組むかは、その子次第です。一斉に同じことをするのではなく、個々の興味や発達段階に合わせて学びを進めていきます。
4. 異年齢混合のクラス編成:3〜6歳、6〜9歳、9〜12歳というように、異なる年齢の子どもたちが一緒に学びます。これは実社会の構造を反映しており、上の子が下の子に教えることでリーダーシップを培い、下の子は上の子に憧れを持って学ぶという相互作用が生まれます。
5. 教師の役割:教師は子どもの発達に応じた学びを促すために、観察と対話を重視します。子どもの興味を観察し、適切な教材を提案するファシリテーターとしての役割を担います。
Q. 教材にはどのような特徴がありますか?
モンテッソーリの教材は「手を使って学ぶ」ことを重視しています。例えば、足し算を紙の上で学ぶのではなく、実際にビーズを触って、混ぜて、数えて学びます。抽象的な概念が肉体的な感覚と結びつくよう設計されているのです。
また、自己修正の仕組みが組み込まれているため、間違った時に大人が指摘しなくても、子ども自身が気づいて直せるようになっています。例えば、パズルのピースが合わないと最終的に全部はまらなくなるので、自分で間違いに気づくことができます。
教材はエリアごとに分けられており、日常生活の練習をするエリア、感覚を刺激するエリア、数学のエリア、言語のエリア、文化や地理のエリアなどがあります。これらの教材は認定された製造元から購入することが求められています。
Q. 「忠実度の高い」モンテッソーリ教育とはどのようなものですか?
モンテッソーリ教育を名乗る施設は多いですが、本来のモンテッソーリ教育の理念に忠実かどうかを判断するいくつかの基準があります:

1. 異年齢のクラス編成(3〜6歳の子どもたちが一緒に学ぶなど)
2. 資格を持つメインの教師とアシスタントの存在
3. 認定されたモンテッソーリ教材の使用
4. 週5日制のプログラム
5. 外部からの介入がない3時間の連続したワーク時間
これらの基準を満たしていない場合、モンテッソーリの名を冠していても、本来の教育理念からは離れている可能性があります。
Q. モンテッソーリ教育とデジタル技術の関係はどうなっていますか?
基本的に幼児教育の段階ではデジタル機器やスクリーンの使用はあまり推奨されていません。モンテッソーリ教育では、子どもが手で触れて体験することが重視されており、受動的な学びよりも能動的な体験が大切だと考えられています。

小学校高学年になると調べ物などでコンピューターを使用することはありますが、特に幼少期は実際に自分の手で触れて学ぶことが優先されます。YouTubeやデジタルゲームについても同様で、教室内ではあまり取り入れられていません。
Q. モンテッソーリ教育の世界的な普及状況はどうなっていますか?
世界全体で見ると、モンテッソーリ教育を実践する施設は約2万ヶ所あるとされています。アメリカでは約500の公立学校がモンテッソーリ教育を取り入れていますが、主流の教育方法というわけではありません。
モンテッソーリ教育の認定機関としては、モンテッソーリ本人とその息子が立ち上げたAMI(Association Montessori Internationale)と、アメリカにあるAMS(American Montessori Society)が代表的です。これらの機関から認定を受けるプロセスは非常に厳格です。
Q. モンテッソーリ教育の基本的な考え方は現代社会に合っていますか?
モンテッソーリ教育の「自分で考えて、自分で責任を持ち、地域のコミュニティの一員として活躍する」という考え方は非常にユニバーサルであり、現代社会に適合すると言えます。
特に民主主義社会では、個人の権利を尊重しながらも、その個人が周囲に与える影響を考慮するというモンテッソーリの理念は、個人主義と集団主義を融合させた考え方として受け入れられやすいでしょう。
ただし、受験競争が激しい日本のような環境では、子どもの興味や好奇心よりも、「勝ち抜く力」が重視される傾向があるため、完全に浸透させるには文化的なすり合わせが必要かもしれません。
Q. モンテッソーリ教育は子どもの権利とどう関連していますか?
モンテッソーリ教育は子どもの権利を非常に重視しています。子どもは「第二の市民」ではなく、大人と同じように権利を持った存在であり、有能な一市民であるという考え方が基本にあります。
この考え方は、子どもの人権尊重の思想と深く結びついており、子ども自身の興味や好奇心を尊重し、自発的な学びを促進することで、子どもの権利を実践的に保障しようとしています。