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エプスタイン問題:トランプ支持層 分裂か
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2025年7月29日

アメリカを揺るがす「エプスタイン問題」を徹底解説。今、アメリカ連日報道されるこの問題。事件の概要やエプスタイン氏の死をめぐる陰謀論から、トランプ大統領との繋がりまで深掘り。さらにMAGA派の亀裂や政権運営への影響を、明海大学の小谷哲男教授が分析した。 <ゲスト> 小谷哲男|明海大学外国語学部教授 ...
エプスタイン問題とトランプ政権の危機

Q. 最近米国で注目を集めている「エプスタイン問題」とは何ですか?
エプスタイン問題とは、米国の大富豪であったジェフリー・エプスタイン氏をめぐる一連の出来事を指します。エプスタイン氏は2000年代以降、未成年少女に対する性的搾取や人身売買に関わったとされています。2008年に有罪となって収監され、2019年にも再び有罪となり収監されましたが、刑務所内で死亡しました。

公式には自殺とされていますが、この死をめぐって「民主党系政治家が事実を隠すために殺害したのではないか」という陰謀論が広がり、米国政治において重要な論点となっています。特に保守系メディアが積極的に報じており、トランプ前大統領とその支持基盤「MAGA」との関係に影響を与えています。
「国内では連日報道され、トランプ大統領とMAGA支持層との対立を引き起こしている」
Q. トランプ大統領はこの問題にどう関わっていますか?
トランプ大統領は2017年の1期目当選後から、このエプスタイン問題を陰謀論として取り上げ、民主党を批判する材料としてきました。彼はエプスタイン氏が構築した少女売春ネットワークに民主党系政治家や献金者が顧客として関わっており、その事実を隠すためにエプスタイン氏が殺害されたと主張してきました。
2024年の大統領選挙期間中も、「再び政権につけば、エプスタインファイルを公開して民主党の闇を暴く」と訴えていました。しかし、実際にはトランプ氏自身もエプスタイン氏と長年親しい関係にあったとされ、最近ではエプスタイン氏の顧客リストにトランプ氏自身が載っていたのではないかという疑惑が浮上しています。トランプ氏が広めた陰謀論が「ブーメラン」となって自身に返ってきている状況です。
Q. トランプ大統領は再選後、この問題にどう対応していますか?
トランプ大統領は当初、司法長官に対してエプスタインファイルの公開準備を命じました。しかし、司法長官が内容を検討した結果、7月に入って「公開するに値するものはなかった」として非公開を決定しました。

この決定がMAGA支持層の怒りを買い、トランプ大統領への批判が高まっています。MAGA支持層は「民主党の闇が明らかになる」と期待していただけに、失望は大きく、中にはトランプ大統領自身も関与しているのではないかという疑念を抱く支持者も出てきています。
「マガの支持層が、あの民主党の闇を暴くことを望んでいた支持層が大きく刺激されて、今トランプ大統領に対する批判が高まっている」
Q. MAGA支持層の反応はどうなっていますか?
MAGA支持層にとって、エプスタインファイルはトランプ政権2期目の最大の関心事でした。彼らは「ディープステート」と呼ばれる闇の政府がエプスタイン氏の少女売春ネットワークを作り、その存在を隠してきたと信じており、トランプ政権によってそれが暴かれることを期待していました。
しかし、その期待が裏切られたことで、支持層からは「トランプ自身も関与しているのではないか」「自分の身を守るために有権者との約束を破ったのか」といった激しい批判が起きています。これに対しトランプ大統領は、SNSで「このつまらない問題にこだわる支持層は不要だ」と述べるまでに至り、両者の亀裂は深まっています。
Q. トランプ大統領はこの危機にどう対応しようとしていますか?
トランプ大統領は支持層の関心を別の方向に向けようと、「オバマゲート」と呼ばれる新たな疑惑を提起しています。これは2016年の大統領選挙後、当時のオバマ政権が「ロシアゲート」(ロシアが選挙に介入してトランプ氏を勝たせたという主張)を作り出したという主張です。

当時の機密文書を公開することで、オバマ前大統領への不信感を煽り、エプスタイン問題から支持層の関心をそらそうとしています。MAGA支持層の多くはオバマ氏をディープステートの中心人物と見なしているため、一部ではこの新たな疑惑に関心が移りつつありますが、まだ完全にはトランプ大統領の狙い通りにはなっていません。
「やはりこのエプスタイン問題というのは、ディープステートとも絡んで民主党の闇に焦点を当てる問題だと考えられています」
Q. このオバマゲートについての専門家の見解は?
2016年の選挙へのロシアの介入については、アメリカ議会の調査によって実際に介入があったという結論が出ており、相当な証拠も示されています。一方、トランプ政権の国家情報長官が公開した機密文書は、オバマ政権がロシアゲートを捏造したとトランプ氏が主張する根拠になっていますが、その文書をそのまま読んでも、そのような解釈をするのは無理があるとされています。
これはトランプ大統領が新たな陰謀論を作り出し、支持層の関心をそらそうとしているものと見られています。
Q. ウォールストリートジャーナルとトランプ大統領の対立とは?
今月、ウォールストリートジャーナルがトランプ氏とエプスタイン氏の個人的な関係を決定づけるような記事を発表しました。これによりエプスタイン氏の顧客リストにトランプ氏が載っていても不思議ではないという印象を与える内容でした。トランプ氏はこの記事が出る前に圧力をかけて阻止しようとしたと言われています。
この記事の出版がMAGA支持層がトランプ氏から離れる大きなきっかけとなったため、トランプ氏は記事がフェイクニュースであると主張するために、同紙のオーナーであるマードック氏を訴える行動に出ました。
Q. エプスタイン問題は今後のトランプ政権にどのような影響を与えますか?
内政面でも外交面でも、トランプ大統領はMAGA支持層をこれ以上怒らせないよう、より保守的な政策を推進する可能性があります。不法移民対策のさらなる強化や、大学に対する統制強化といった内政策、関税をさらに活用して外国に圧力をかけるといった対外政策が考えられます。
すでにウクライナ支援政策に影響が見られ、当初は長距離攻撃兵器の供与に前向きだったトランプ大統領が、MAGA支持層からの反対を受けて「攻撃能力については考えていない」と立場を変えました。MAGA支持層はアメリカの対外関与に消極的なため、トランプ大統領はより孤立主義的な外交政策を取る可能性が高まっています。
「議会の動きが最も注目される。場合によっては司法妨害をしたということでトランプ氏に対する弾劾という可能性も見えてくる」
Q. 今後の展開で注目すべき点は?
政権側もこのまま情報を出さないとまずいと判断し、エプスタイン氏の裁判記録や、すでに収監されている共犯者への聴取を進めています。ただし、共犯者に対しては司法取引を持ちかけ、トランプ氏に有利な証言を引き出そうとしているという見方もあります。
より重要なのは議会の動きです。民主党だけでなく共和党議員の中からもエプスタインファイルの全面公開を求める声が高まっています。この動きが広がれば、トランプ氏の望むような形で問題が収束せず、大きなスキャンダルに発展する可能性があります。場合によっては司法妨害として弾劾につながる可能性も考えられるため、今後は議会の動向が最も注目されます。