PIVOT Vlog
選挙から見える、70年ぶりのメディアシフト
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2025年7月24日

PIVOTのMC陣が普段のニュースや番組収録を通じて感じた「気づき」や「深堀りしたいテーマ」を、より自由に語るアプリ・Web限定のトークコンテンツ「PIVOT Vlog」。 初回テーマは「参院選から見えたメディアシフト」について語る。
メディアシフトで政治が動いた! 佐々木紀彦が解説する参院選の裏側と未来のマーケティング戦略
今回の参院選は単なる選挙結果だけでなく、メディア環境の大きな変化を反映した歴史的な出来事だった。70年続いたテレビ中心の時代に、初めて本格的なライバルが登場し、政治の世界を大きく変えた。PIVOT株式会社代表取締役社長CEOの佐々木紀彦氏が、この現象をビジネスの視点から分析する。

Q. 今回の参院選から見えてくるメディアのシフトとは?
今回の参院選は歴史に残る選挙だったと思う。この選挙から見えてくるメディアのシフトと、皆さんの仕事やマーケティング、ビジネスへのヒントについて話したい。
基本的に、メディアのシフトが起きたことでさまざまな変化が生じたというのが最も分かりやすい説明だろう。歴史を振り返ると、新しいメディアが生まれた時に政治が大きく動くことがある。
19世紀後半には新聞が溢れ、現在のYouTubeチャンネルのように様々な新聞が登場した。ある政治家を支持する新聞や、他の政党を支持する新聞など、多様な媒体が出現し、民主主義や世論が盛り上がっていった。

その後、ラジオが登場し、ヒトラーの台頭があった。戦後はテレビが登場し、アメリカではケネディが有名になり、日本では佐藤栄作首相が新聞を嫌がり、直接伝えられるテレビを重視する戦略を立てた。基本的に1953年頃から日本ではテレビ中心の時代が約70年続いてきた。
そして今、テレビのライバルが70年ぶりに出現し、世論の見え方が変わってきている。これは70年ぶりの変化だと捉えると、見え方が変わるだろう。
Q. SNSが選挙に与えた影響は?
今回の選挙では、選挙.comの鈴木編集長による政治分析・選挙分析を3回にわたって配信したが、YouTubeだけでも合計200万再生に達した。鈴木氏の解説は見事でロジカルだったが、彼の分析によれば、50%以上の人が今回SNSを重視して投票したという。これは今までにないことだ。
前回の衆院選では40%程度だったSNSの影響力が、今回は50%程度まで上昇した。今後の選挙では60%、70%とさらに上がっていくだろう。
Q. メディアシフトによって見えるようになった3つのものとは?
メディアシフトによって、今まで見えなかった3つのものが見えるようになったと思う。
1つ目は、東京中心ではない選挙になったということだ。マスメディアは東京が独占しており、テレビ局も出版社も東京に集中している。さらに最近はメディア業界の人材も東京出身者が増えている。
昔はもっと地方出身者がメディアに入っていたが、現在はメディアの媒体も東京中心で、メディア内の人も東京や都会で育った人が多く、狭い価値観の中で東京から情報を発信していた。それがYouTubeによって様々な人の情報や思いが可視化され、東京中心のメディア構造が崩れ始めた。
2つ目は世代交代だ。マスメディアはシニア層中心の傾向があるが、若い世代の考えが初めて可視化され、それが賛成党や国民民主党などに反映されるようになった。
3つ目は、必ずしも「意識高い系」ではない人々の民意も反映されるようになったことだ。東京の意識高い層がメディアを作ると、リベラル系の意見やポリティカル・コレクトネス、SDGsなどの「きれいな意見」ばかりが出てくる。しかし、実際にはそれが全ての人の感覚ではない。
例えば外国人問題に関しても、実際に外国人が増えて生活が変わるかもしれないという恐怖感を持つ人々の気持ちは、その地域にいなければ分からない。単に「外国人差別はダメだ」と言うだけでは、全国の人々が実際に感じていることが理解できない。

意識高い理想主義だけでなく、現実のより生々しいものが世論に反映されるようになった。これには良い面も悪い面もあるが、一部の偏った人々の意見ばかりが広がることは健全ではないので、より広い層の意見が反映されるようになったことには意義がある。
Q. ネットとテレビの関係は?
今回特徴的だったのは、ネットだけで決まったわけではなく、テレビと一緒になって盛り上がったことだ。テレビ局側も積極的にネット向けに番組を作っていた。テレビ局はコンテンツ制作力が強い。両方が融合していくことで相乗効果が生まれる。
これはマーケティングも同じで、ネットだけでは限界がある。テレビなどの伝統メディアの信頼性や拡散力と組み合わさることで大きな効果が出る。賛成党も神谷代表がテレビに多く出演することでその威力が爆発的に広がった。
今後のマーケティングにおいても、ネットとマスメディア、そして「地上戦」というリアルな対面活動の3つが一体となった時に爆発的な動きが起こるだろう。
Q. ネット戦略をうまく活用している政党は?
賛成党と国民民主党がうまく活用している。他の政党もネット戦略を強化しているが、鈴木編集長が指摘したように、手法も大事だが受けるコンテンツがあるかどうかが重要だ。
若者に訴えかけるようなコンテンツがない状態でネット戦略を展開しても再生数は伸びない。単にYouTubeに力を入れるだけでなく、そこに魅力的なコンテンツが必要だ。
これは我々YouTubeメディアやチャンネルと同じで、コンテンツが大事だ。とにかくコンテンツの質を高め、その上で多くの人に広げられるような形で配信していくことが重要だ。

ビジネスも全く同じで、美味しくない商品や良くないサービスでは、いくらYouTube戦略を頑張っても売れないしリピーターにもならない。
Q. 政治で起きた変化はビジネスにどう影響するか?
政治は票を取ることが重要なため、全員が関わるイベントのようなものだ。そのため政治家はメディアの活用が早い傾向にある。一方、経済やビジネスパーソン、経営者は意外と遅れることがある。
政治で起きた変化は数年遅れでビジネスの世界にも反映されていく。営業、マーケティング、経営のどの仕事をしていても、この流れを捉えなければ置いていかれる可能性がある。今回の政治の動きは、政治だけでなくあらゆるビジネスパーソンにとって示唆に富む事例と言える。